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第15章 セトラー国の一日
第202話 時期早々
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私の名はカール・セラーズ。
シェイラ国の外交官だ。
しばらく前から我が国は、ジリヤ国と貿易が盛んになった。
いや、盛んにおこなわないと、いけなくなったと言うべきか。
その原因はアスケル山脈から採取される鉱石だ。
あの誰も平定が出来ないと言われていたアスケルの森に、セトラー国と言う国が興りジリヤ国に大量の鉱石を卸している。
あの森には上位の魔物が住み、我が国も先々代の王の時に挑んだが完敗だった。
そんな森を平定して国を興すほどの逸材が野に埋もれていたとは。
その前後にドラゴンバスターが現れたと言う噂が上がった。
すでにそのドラゴンバスターは、ジリヤ国に取り込まれていると思ってい良いだろう。
なぜなら緑竜の素材を、ジリヤ国経由で各国に売っていたからだ。
そのドラゴンバスターが、セトラー国を興したのではないかと思われる。
そう考えれば頷ける。
ジリヤ国はその鉱石を使い鉄製品の大量生産を始めた。
製鉄技術も向上しており、街は潤いたくさんの労働者で賑わうと言う。
見事な剣や盾、弓矢の鏃など鉄や鋼製品は作り放題。
そして我が国は言われるままに、武器や鉄製品を購入するしかなかった。
そうしなければジリヤ国と、武力の差が出きてしまうからだ。
ジリヤ国は丈夫でよく切れる剣が普及し、我が国は旧式の剣のままでは太刀打ちできなくなる。
この大陸のほとんどの人族は、シャルエル教を信仰している。
そのためここ数百年、大きな戦争が無かったと思われがちだがそれは違う。
戦争が無かったのは大きな飢饉や災害が無かったからだ。
各国の兵力も拮抗していたからに過ぎない。
自分の生活が危うくなれば、わが身可愛く他国への侵略が始まる。
だが今後、ジリヤ国は脅威になる。
製鉄製品が増え人口も増加する。
人口が増えれば動員できる兵士の人数が大きくなると言う事だ。
戦いはまず数の勝負だ。
勝てるとわかったら、何かの理由を付けて攻めて来るかもしれない。
そうならない様に、うまくやって行くためには媚びるしかない。
いつ牙を向くか分からない相手の顔を伺いながら、ジリヤ国と並び立つために武器を購入し武力を蓄えていく。
同格になるためには、ジリヤ国と同じだけの軍備を整える必要があるからだ。
だが資金が続かない。
その証拠に税率を上げれば国民は生活が出来ず、『流民』となり他国に流れて行ってしまう。
どうしたものか?
そう考えていると今度はセトラー国は、ラードルフ国と貿易を始めたと言うではないか?!
何と言うことだ。
セトラー国の国主はジリヤ国とのみ、手を結んでいるのではなかったのか?
このままいけばラードルフ国も、いずれは大国になっていくだろう。
だがおかしい?
そんな簡単に広い範囲の、アスケルの森を平定できるものなのか?
聞くところによればセトラー国の住民は、異種族と流民を集めた600人くらいだという。
そんな少ない人数で国土を広げることが可能なのか?
いやいくらドラゴンバスターが居ても、1人ではできないことだ。
ではどうしたことか?
考えられることはアスケルの森の魔物が、何かしらの理由で衰退しているのではないかと言うことだ。
そうだ、それ以外には考えられない。
前回遠征をしたのは70年以上も前だ。
その間に調査隊を出したこともなく、何か大きな変化があったのかもしれない。
そうでもなけれな600人で平定はありえない。
我が国寄りのアスケルの森を、セトラー国に取られる前に手に入れなければ…。
セトラー国西暦2年2月28日。
シェイラ国は3,000人規模の軍を編成し、アスケルの森北部の遠征を開始した。
ジリヤ国から購入した武器を手に進撃し当初は順調に進むと思われていたが、その地域を縄張りにしている火竜に阻まれ軍は敗走する。
シェイラ国に戻って来れた兵士は、1/3にも満たなかったと言う。
この敗退を機にシェイラ国の国力は衰退する。
兵士のほとんどは普段、農家をしている農民兵だった。
アスケルの森から帰らない兵士が多く、田畑を耕すものが居なくなり、男が少なくなり出生率が低下した。
国力を盛り返すのに何十年もかかる負け戦だった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ここはセトラー国。
エリアスはこれからのことを考える。
ラードルフ国との貿易も順調に進んでいるようだ。
それから落ち着いたら今度は、セトラー国の北に位置するシェイラ国との貿易だ。
まあ、物事は焦らず順番にだけどね。
アスケルの森の魔物は3つの勢力に分かれている。
南のラードルフ国近郊はマンティコア。
セトラー国近郊は大地の長虫。
そしてシェイラ国近郊は火竜だ。
マンティコアと長虫はすでにフルボッコにして、アルバンさん達から押収した『契約魔法』で使徒にしている。
魔物は自分より強い者には逆らわない。
しかし火竜は、やっかいだから後回しにしている。
自分の縄張りから出てくることも無いので、こちらも干渉しないことにしている。
えっ?シェイラ国がアスケルの森へ侵攻したって?
敗退ですか。だろうね、お気の毒に。
それならしばらくは、貿易どころではないね。
立ち直れると良いけど…。
シェイラ国のアスケルの森への侵攻は、無謀な判断だったと後世の歴史家は語る。
シェイラ国の外交官だ。
しばらく前から我が国は、ジリヤ国と貿易が盛んになった。
いや、盛んにおこなわないと、いけなくなったと言うべきか。
その原因はアスケル山脈から採取される鉱石だ。
あの誰も平定が出来ないと言われていたアスケルの森に、セトラー国と言う国が興りジリヤ国に大量の鉱石を卸している。
あの森には上位の魔物が住み、我が国も先々代の王の時に挑んだが完敗だった。
そんな森を平定して国を興すほどの逸材が野に埋もれていたとは。
その前後にドラゴンバスターが現れたと言う噂が上がった。
すでにそのドラゴンバスターは、ジリヤ国に取り込まれていると思ってい良いだろう。
なぜなら緑竜の素材を、ジリヤ国経由で各国に売っていたからだ。
そのドラゴンバスターが、セトラー国を興したのではないかと思われる。
そう考えれば頷ける。
ジリヤ国はその鉱石を使い鉄製品の大量生産を始めた。
製鉄技術も向上しており、街は潤いたくさんの労働者で賑わうと言う。
見事な剣や盾、弓矢の鏃など鉄や鋼製品は作り放題。
そして我が国は言われるままに、武器や鉄製品を購入するしかなかった。
そうしなければジリヤ国と、武力の差が出きてしまうからだ。
ジリヤ国は丈夫でよく切れる剣が普及し、我が国は旧式の剣のままでは太刀打ちできなくなる。
この大陸のほとんどの人族は、シャルエル教を信仰している。
そのためここ数百年、大きな戦争が無かったと思われがちだがそれは違う。
戦争が無かったのは大きな飢饉や災害が無かったからだ。
各国の兵力も拮抗していたからに過ぎない。
自分の生活が危うくなれば、わが身可愛く他国への侵略が始まる。
だが今後、ジリヤ国は脅威になる。
製鉄製品が増え人口も増加する。
人口が増えれば動員できる兵士の人数が大きくなると言う事だ。
戦いはまず数の勝負だ。
勝てるとわかったら、何かの理由を付けて攻めて来るかもしれない。
そうならない様に、うまくやって行くためには媚びるしかない。
いつ牙を向くか分からない相手の顔を伺いながら、ジリヤ国と並び立つために武器を購入し武力を蓄えていく。
同格になるためには、ジリヤ国と同じだけの軍備を整える必要があるからだ。
だが資金が続かない。
その証拠に税率を上げれば国民は生活が出来ず、『流民』となり他国に流れて行ってしまう。
どうしたものか?
そう考えていると今度はセトラー国は、ラードルフ国と貿易を始めたと言うではないか?!
何と言うことだ。
セトラー国の国主はジリヤ国とのみ、手を結んでいるのではなかったのか?
このままいけばラードルフ国も、いずれは大国になっていくだろう。
だがおかしい?
そんな簡単に広い範囲の、アスケルの森を平定できるものなのか?
聞くところによればセトラー国の住民は、異種族と流民を集めた600人くらいだという。
そんな少ない人数で国土を広げることが可能なのか?
いやいくらドラゴンバスターが居ても、1人ではできないことだ。
ではどうしたことか?
考えられることはアスケルの森の魔物が、何かしらの理由で衰退しているのではないかと言うことだ。
そうだ、それ以外には考えられない。
前回遠征をしたのは70年以上も前だ。
その間に調査隊を出したこともなく、何か大きな変化があったのかもしれない。
そうでもなけれな600人で平定はありえない。
我が国寄りのアスケルの森を、セトラー国に取られる前に手に入れなければ…。
セトラー国西暦2年2月28日。
シェイラ国は3,000人規模の軍を編成し、アスケルの森北部の遠征を開始した。
ジリヤ国から購入した武器を手に進撃し当初は順調に進むと思われていたが、その地域を縄張りにしている火竜に阻まれ軍は敗走する。
シェイラ国に戻って来れた兵士は、1/3にも満たなかったと言う。
この敗退を機にシェイラ国の国力は衰退する。
兵士のほとんどは普段、農家をしている農民兵だった。
アスケルの森から帰らない兵士が多く、田畑を耕すものが居なくなり、男が少なくなり出生率が低下した。
国力を盛り返すのに何十年もかかる負け戦だった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ここはセトラー国。
エリアスはこれからのことを考える。
ラードルフ国との貿易も順調に進んでいるようだ。
それから落ち着いたら今度は、セトラー国の北に位置するシェイラ国との貿易だ。
まあ、物事は焦らず順番にだけどね。
アスケルの森の魔物は3つの勢力に分かれている。
南のラードルフ国近郊はマンティコア。
セトラー国近郊は大地の長虫。
そしてシェイラ国近郊は火竜だ。
マンティコアと長虫はすでにフルボッコにして、アルバンさん達から押収した『契約魔法』で使徒にしている。
魔物は自分より強い者には逆らわない。
しかし火竜は、やっかいだから後回しにしている。
自分の縄張りから出てくることも無いので、こちらも干渉しないことにしている。
えっ?シェイラ国がアスケルの森へ侵攻したって?
敗退ですか。だろうね、お気の毒に。
それならしばらくは、貿易どころではないね。
立ち直れると良いけど…。
シェイラ国のアスケルの森への侵攻は、無謀な判断だったと後世の歴史家は語る。
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