完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ

文字の大きさ
上 下
201 / 254
第15章 セトラー国の一日

第201話 道徳心

しおりを挟む
 セトラー国に作った学校に通う子供達が随分と増えて来た。
 住人を含めてアレン領から通いで炭鉱や鉱石掘りに来ている親が、働いている間に子供を学校に預けて行くようになったからだ。
 預けていく親も自分達の稼ぎだけで生活できるようになり、子供を働かさなくても済むようになったこともある。
 主に授業をしているのは妻のノエルさんだ。
 妊娠しており、つわりもまだ続いているようだが、家に居て何もしないのは嫌だと言って子供達に勉強を教えている。


 授業は主に数学や読み書きだ。
 そして時々俺が参加して、化学などを教えている。
 高学年にはアレン領から裁縫や木工加工の出来る人を雇い、職業訓練所みたいなことも始めている。

 そして道徳の時間も大切な事業だ。
 幼少の頃から生命や、善悪の判断などを学ぶことも大切だからだ。

 しかし道徳の時間ほど退屈なものはない。
 子供達が飽きない様に工夫が必要だった。
 そこで思い付いたのが『紙芝居』だった。
 この世界にはTVもネットも無い。
 紙は貴重で子供向けの本なども無い。
 娯楽が無いのだ。

 絵で見せ話を聞かせることで子供達の興味を引き、自然と物語から教訓を得ることが出来る。
 それが狙いだった。

 物語の内容は俺が適当に『ふかし話』を書き、空いている時間にノエルさんや、俺の妻達が交代で読み聞かせをしている。
 そしてもう1つ大切なことがある。
『紙芝居』といえば『ねり飴』だ。
 砂糖と水で『ねり飴』を作り、割りばしに付けねりながら『紙芝居』を見る。
 これこそ『紙芝居』のだいご味だ。

 子供達もお話しの楽しさと飴がもらえるので、この道徳の時間は楽しみにしている子供が多い。

「エリアス様~、今日はなんのお話?」
「う~と、今日はね…」




 昔々、あるところに子供のいない、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
 おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯にでかけました。
 おばあさんが洗濯をしていると、川上から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと、流れてくるではありませんか。
「これはまあ大きな桃だこと。おじいさんと一緒に食べましょう」
 おばあさんが家に桃を持ち帰ると、おじいさんは驚き仲良く2人で食べました。

 するとどうでしょう。
 翌朝、目覚めると2人の体は十代後半に若返っていました。
 桃には不老長寿の効果があると言われる由縁でしょうか。

 若返った2人は今まで以上に仕事に励み、夜も…励み…げっふん、げっふん、1年後には玉の様な男の子が産まれました。
 玉の様な男の子のなので名前は金…もとい桃太郎と名付けられました。

 男の子はすくすくと成長していきました。
 近所の子供達と比べると一回り大きく育ち、近郊の村の若者達を束ねるようになりました。

 そんなある日、桃太郎が言いました。
「お父さん、お母さん。私は鬼が島へ鬼退治に行こうと思います」
 2人は桃太郎を止めましたが決意は固く揺らぎません。
 仕方なく無事に戻ることを約束させ旅立ちます。

 桃太郎は近郊の村の若者を集め、船を作り鬼が島を目指します。

 島に上陸した桃太郎達は武器を構え進みます。
 突然現れた桃太郎達に鬼達は対応できずに倒されて行きます。
 そして鬼が島で1年を過ごしその後、桃太郎達は村に金銀財宝を持ち帰り村はとても豊かになりました。



 あれから50年が経ち人類国際連合が設立されました。
 鬼と呼ばれていた人々も今では人類と認識されています。
 そして50年前の出来事を未だに問題視しています。

 肌や目の色が違うと言うだけで、鬼と呼ばれ侵略され略奪をされたという言い分。
 そしてもう1つ、困ったことがありました。
 桃太郎達も男です。
 島で過ごした1年の間に公娼こうしょうを募りました。
公娼こうしょうおおやけに営業を許された娼婦。


 しかしかの国は50年が過ぎた今でも何かにつけて、その問題を持ち出します。
 桃太郎の村の言い分では報酬が支払われていたこと、斡旋業者を頼み新聞広告などで広く募集をしていたこと。
 国家責任はないと村側は主張しましたが、戦時下での女性に対する重大な人権侵害として問題にします。

 そして人類国際連合が設立されてから、村は賠償金を『償い金』としてかの国に支払っています。
 しかしかの国は選挙がある度に、国内の不満が募る度に、何かある度に慰安婦問題を持ち出し政治の人気取りに利用しようとしています。

 やった側は代を重ねると、いつかは忘れていく。
 しかしやられた側は忘れない。
 やられたことは子孫にも代々引き継がれる。

 そしてこれからも、ゆすり、たかりのように、半島国家は同じことを村に求め続けるのだろうか?



 教訓!!
 見た目や肌の色で人を差別するのは止めよう!!
 自分達と違う人とは、『お互い違っていいんだよ』という広い気持ちをもとう!!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 いつも応援頂いてありがとうございます。
 本編はフィクションであり、何の意図もありません。

 次回は核戦争後の世界を描いた世紀末覇者、ラ王の物語。
 ツルツル、シコシコで…なんて。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』 誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。 辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。 だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。 学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

処理中です...