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第15章 セトラー国の一日
第200話 薪ストーブ
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1月末になり再びラードルフ国、マジスカ領を俺達は訪れた。
昨年末に販売した宝くじが思った以上に収益があったようで、マジスカ公爵はとても喜んでいた。
これからは定期的にラードルフ国全域で販売するそうだ。
線路を引く許可もラードルフ国国王の許可が降りていた。
マジスカ公爵には事前に見せていた、ジオラマ通りに線路を引き駅を創った。
駅には荷下ろしを管理するためのエリアス商会の支店を作った。
それを任せるのは創立当時から手伝いに来ていて、今は社員となったグイードさんと、アマイアさんという夫婦に任せることにした。
そこでセトラー国から運ばれて来た鉱石や自転車、台所用品、調味料を各ギルドに卸す手配をする。
マジスカ領で知り合ったデリク商会のデリクさんには、蜜蠟、シャンプーやボディソープ、キックボード、農機具も卸すことにした。
当初、俺のことをジリヤ国の人間だと思っていたデリクさんは、俺がセトラー国の国王だと知るととても驚いていた。
まあ、普通は国王自ら他国に出向いて行かないからね。
今後、マジスカ領は製鉄所が増えて雇用も上がって行くだろう。
後は見守って行けば良いだけだ。
妻のアリッサさん、オルガさん、ノエルさんは、相変わらずつわりが辛そうだ。
頑張れ!あと少し。
俺は今、1人でアレン領のエリアス商会に来ている。
ラードルフ国との貿易も順調で商会の様子を見にきたのだ。
部屋にはエリアス商会のアルバンさん、シャルエル教大司教ヨハネス様。
アバンス商会のアイザックさんがいる。
普段はセトラー国に籠っているので、こういう機会でもないと3人に会う事も無いからね。
しかしこの部屋の寒さは、どうにかならないのか?
この世界の建物は木造が多い。
そして隙間が多く、家の中で暖炉があっても断熱材もなく寒い。
何かないかな? 【スキル】世界の予備知識で調べてみる。
建物の寒さ、寒さ対策…検索中…。
あっ、あった。
これなんかどうだろう?
「どうかされましたか、エリアス様?」
アルバンさんが聞いてくる。
「実は部屋を暖かくする方法を考えまして」
「部屋を暖かく…、今よりもですか?」
「はい、そうです。でもそれには鍛冶職人さんが必要になります」
「それなら私にお任せ下さい」
「ありがとうございます、ヨハネス様。うまく行けば特許を取りたいと思います」
俺が見つけたのは『フランクリン・ストーブ』だ。
フランクリン・ストーブの「フランクリン」とは、凧を用いて雷が電気であることを証明したベンジャミン・フランクリンのことだ。
このストーブはベンジャミン・フランクリンの数ある発明の内のひとつだ。
薪を燃やすと炎自体から熱が出るほかに、燃焼性の揮発成分が出る。
しかし従来のストーブでは空気より軽い、揮発成分は煙突から排気されてしまう。
そのため部屋を暖めることが出来なかった。
この揮発成分を活用したのが、フランクリン・ストーブだ。
フランクリン・ストーブの構造は、アルファベットの逆『∩』字の配管をしている排気口が特徴的だ。
一度上昇した揮発成分を炎の上部に集め、燃焼させることで熱を発生させる。
この熱によって部屋が暖まるという仕組みだ。
排気口は下を向いているため、燃焼効率が飛躍的に上がる。
従来のストーブと比べると、燃料に対する熱の効率はなんと4倍にも達する。
言い方を代えれば薪が1/4で済むことだ。
しかも従来のストーブでも、排気側に少し手を加えるだけで改良できる。
不燃性の『衝立』と『簀の子』で仕切ればもう完成だ。
俺は獣紙皮に構造を絵に描いて見せた。
「ほう、そんなことで温かくなるのですか?」
「まずは、やってみてもらえませんか?」
「わかりました、さっそく手配致しましょう」
そう言うとヨハネス様は、部屋を出て行った。
1週間後エリアス商会を訪れると、ヨハネス様が鍛冶職人を連れてやって来た。
準備が出来たと言うので、試しにエリアス商会のストーブを改良してもらった。
「おぉ、温かい」
「これはいい!!これなら需要がありそうです」
ヨハネス様やアルバンさん、アイザックさんがストーブの前で驚いている。
「しかし、こんなことで本当に暖かくなるなんて」
「こんな簡単に改良できるなら、需要もあるでしょう」
「私はギルドに行き特許を取って参ります」
そう言うとアイザックさんは、店を出て行った。
それからは早かった。
シャルエル教で鍛冶職人を確保をする。
職人さん達には冬場の仕事が安定するので喜ばれたそうだ。
エリアス商会とアバンス商会の店先に『のぼり旗』を出す。
『わずかな薪で暖かさ4倍。寒い冬はこれでさよなら』
そう書いたのぼり旗を店先に出し、店員が店頭で口上を始める。
字が読めない人もいるからだ。
何が始まったのかと、人が集まり出す。
娯楽の無い街では、これもある意味イベントになる。
エリアス商会がまたなにか始めたと。
そしてストーブ改造の予約と同時に、買い替えの予約も増えた。
部屋が暖かくなり薪代も節約になる。
アレン領にとって、エリアス商会は無くてはならない存在になって行く。
昨年末に販売した宝くじが思った以上に収益があったようで、マジスカ公爵はとても喜んでいた。
これからは定期的にラードルフ国全域で販売するそうだ。
線路を引く許可もラードルフ国国王の許可が降りていた。
マジスカ公爵には事前に見せていた、ジオラマ通りに線路を引き駅を創った。
駅には荷下ろしを管理するためのエリアス商会の支店を作った。
それを任せるのは創立当時から手伝いに来ていて、今は社員となったグイードさんと、アマイアさんという夫婦に任せることにした。
そこでセトラー国から運ばれて来た鉱石や自転車、台所用品、調味料を各ギルドに卸す手配をする。
マジスカ領で知り合ったデリク商会のデリクさんには、蜜蠟、シャンプーやボディソープ、キックボード、農機具も卸すことにした。
当初、俺のことをジリヤ国の人間だと思っていたデリクさんは、俺がセトラー国の国王だと知るととても驚いていた。
まあ、普通は国王自ら他国に出向いて行かないからね。
今後、マジスカ領は製鉄所が増えて雇用も上がって行くだろう。
後は見守って行けば良いだけだ。
妻のアリッサさん、オルガさん、ノエルさんは、相変わらずつわりが辛そうだ。
頑張れ!あと少し。
俺は今、1人でアレン領のエリアス商会に来ている。
ラードルフ国との貿易も順調で商会の様子を見にきたのだ。
部屋にはエリアス商会のアルバンさん、シャルエル教大司教ヨハネス様。
アバンス商会のアイザックさんがいる。
普段はセトラー国に籠っているので、こういう機会でもないと3人に会う事も無いからね。
しかしこの部屋の寒さは、どうにかならないのか?
この世界の建物は木造が多い。
そして隙間が多く、家の中で暖炉があっても断熱材もなく寒い。
何かないかな? 【スキル】世界の予備知識で調べてみる。
建物の寒さ、寒さ対策…検索中…。
あっ、あった。
これなんかどうだろう?
「どうかされましたか、エリアス様?」
アルバンさんが聞いてくる。
「実は部屋を暖かくする方法を考えまして」
「部屋を暖かく…、今よりもですか?」
「はい、そうです。でもそれには鍛冶職人さんが必要になります」
「それなら私にお任せ下さい」
「ありがとうございます、ヨハネス様。うまく行けば特許を取りたいと思います」
俺が見つけたのは『フランクリン・ストーブ』だ。
フランクリン・ストーブの「フランクリン」とは、凧を用いて雷が電気であることを証明したベンジャミン・フランクリンのことだ。
このストーブはベンジャミン・フランクリンの数ある発明の内のひとつだ。
薪を燃やすと炎自体から熱が出るほかに、燃焼性の揮発成分が出る。
しかし従来のストーブでは空気より軽い、揮発成分は煙突から排気されてしまう。
そのため部屋を暖めることが出来なかった。
この揮発成分を活用したのが、フランクリン・ストーブだ。
フランクリン・ストーブの構造は、アルファベットの逆『∩』字の配管をしている排気口が特徴的だ。
一度上昇した揮発成分を炎の上部に集め、燃焼させることで熱を発生させる。
この熱によって部屋が暖まるという仕組みだ。
排気口は下を向いているため、燃焼効率が飛躍的に上がる。
従来のストーブと比べると、燃料に対する熱の効率はなんと4倍にも達する。
言い方を代えれば薪が1/4で済むことだ。
しかも従来のストーブでも、排気側に少し手を加えるだけで改良できる。
不燃性の『衝立』と『簀の子』で仕切ればもう完成だ。
俺は獣紙皮に構造を絵に描いて見せた。
「ほう、そんなことで温かくなるのですか?」
「まずは、やってみてもらえませんか?」
「わかりました、さっそく手配致しましょう」
そう言うとヨハネス様は、部屋を出て行った。
1週間後エリアス商会を訪れると、ヨハネス様が鍛冶職人を連れてやって来た。
準備が出来たと言うので、試しにエリアス商会のストーブを改良してもらった。
「おぉ、温かい」
「これはいい!!これなら需要がありそうです」
ヨハネス様やアルバンさん、アイザックさんがストーブの前で驚いている。
「しかし、こんなことで本当に暖かくなるなんて」
「こんな簡単に改良できるなら、需要もあるでしょう」
「私はギルドに行き特許を取って参ります」
そう言うとアイザックさんは、店を出て行った。
それからは早かった。
シャルエル教で鍛冶職人を確保をする。
職人さん達には冬場の仕事が安定するので喜ばれたそうだ。
エリアス商会とアバンス商会の店先に『のぼり旗』を出す。
『わずかな薪で暖かさ4倍。寒い冬はこれでさよなら』
そう書いたのぼり旗を店先に出し、店員が店頭で口上を始める。
字が読めない人もいるからだ。
何が始まったのかと、人が集まり出す。
娯楽の無い街では、これもある意味イベントになる。
エリアス商会がまたなにか始めたと。
そしてストーブ改造の予約と同時に、買い替えの予約も増えた。
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