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第14章 マジスカ領
第185話 デリク商会
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「ところで、そちらのお嬢さんは?」
デリクさんがエリザちゃんの事を聞いてくる。
それはそうだよね。
旅をするのに子供を連れているなんて変に思うよ。
「この子は俺の…「婚約者です!!」
エリザちゃんが俺に代わって答える。
「婚約者ですか?ですが結婚前にお二人で旅ですか…」
「えぇ、エリザの地方では結婚前に、お試し期間という風習がありまして…」
「はて?お試し期間ですか、そんな風習は…「ギロッ!!」
ドンッ!!
エリザちゃんが足を踏み鳴らした。
「あわわ!!そ、そうですね。そういう地域もあるかもしれません…」
おや?デリクさんが変だ?
どうしたんだ?
「それにしてもエリザ様のご両親は、エリアス様を信頼なされているのですね」
「どうしてでしょうか?」
「それは成人もしていない女の子を、旅に連れ出しているからですよ」
それはそうか。
「エリアス様が居れば、ドラゴンも怖くありませんわ!!」
「あははははあはははは!そうですかエリザ様。それは頼もしい」
デリクさん、曖昧に笑うのはもうその辺で…。
そんなことを話しているうちにマジスカ領に着いた。
門番に山賊のことを話すと、治安が良くなると喜んでくれた。
そしてストレージから10人分の山賊の遺体を出す。
討伐依頼がでているのか確認してもらったが、出ていないという。
代りに斧や防具の遺留品を売って、報酬としてもらえる。
数日あれば換金できるから、詰め所に寄ってほしいと言われた。
俺は別にお金はどうでもよかったけど。
いくら山賊といえども、そのまま遺体を道に捨て置くには忍びなかっただけだ。
詰め所を出て『黒い粉塵』の人達とは、護衛依頼完了のサインをデリクさんからもらい別れた。
「デリク商会をお尋ねください。お礼はさせて頂きますから」
お礼は良いのだがこの領で、商人と繋がりを持つにはいい機会だ。
「では、伺います。それからマジスカ公爵の、お屋敷はどこら辺でしょうか?」
「あぁ、それならこの通りを真っすぐ行って、突き当たったところですよ。大きなお屋敷ですからすぐにわかります。どうしてですか?」
「せっかくこの領にきたのですから、見ていこうと思いまして」
「そうですか、いい思い出になりますね」
デリクさんは馬車で進み、俺達はその横を歩く。
するとエリザちゃんが歩きながら、こちらをチラチラ見ている。
なんだろう?
するとエリザちゃんは、遠慮がちに聞いてくる。
「あの~、エリアス様」
「なんだい?エリザちゃん」
「手を繋いで頂けないでしょうか?」
「手を?」
「えぇ、」
恥ずかしそうに下を向いている。
あぁ、そうだよね。
迷子になったら困るから。
「ごめんね。気づかなかったよ」
そう言うと俺はエリザちゃんの手を取った。
するとエリザちゃんは、嬉しそうに頬を染めていた。
そんなに不安だったのか?
ごめんよ。
2人で手を繋ぎしばらく進むと、2階建ての建物の前に止まった。
「さあ、着きました。ここが私の店です」
そう言うとデリクさんは馬車を降りた。
「まあ、あなた。お帰りなさい」
「おかえりなさいませ。ご主人様」
奥の方から奥さんと思われる40代と思われる人と、男の従業員が1人出てきた。
「ただいま。今帰ったよ」
「あら、そちらの方は?」
「ジェシカ、こちらはエリアス様とエリザ様だ。旅先で山賊に襲われたところを助けて頂いたのだ」
「そんなことが?!デリクの妻のジェシカです。主人が大変お世話になりました」
「あ、いえ、通りかかったものですから」
「本当にありがとうございました。あら?そちらのお嬢様は?」
「はい、婚約者のエリザです」
「エリザです。初めまして」
「まあ、可愛い奥様ね」
「えっ、奥様だなんて…」
クネ、クネ、クネ、クネ、クネ、
エリザちゃんが日が当たると、クネクネする人形のようになっている。
これはオルガさん仕込みか?
「でもあなた、冒険者の方の護衛が居たのでは?」
「それがいきなり前後を、10人の山賊に挟まれてしまってね。どうすることもできなかったのだよ」
「そんなことが?!」
「そんな時、エリアス様達が現れ、あっと言う間に山賊を倒してくれたんだ」
「お強いのですね。エリアス様」
「エリアス様なら、なんてことはありません!!」
俺の横でエリザちゃんが、自慢そうに胸を張っている。
張るほどはまだ、ありませんが…。
頑張れ!!明るい未来を信じて。
「立ち話も何です、中にお入りください。荷物を下ろして私もすぐに参りますから」
そう言われ俺達は店の中に案内された。
デリクさんがエリザちゃんの事を聞いてくる。
それはそうだよね。
旅をするのに子供を連れているなんて変に思うよ。
「この子は俺の…「婚約者です!!」
エリザちゃんが俺に代わって答える。
「婚約者ですか?ですが結婚前にお二人で旅ですか…」
「えぇ、エリザの地方では結婚前に、お試し期間という風習がありまして…」
「はて?お試し期間ですか、そんな風習は…「ギロッ!!」
ドンッ!!
エリザちゃんが足を踏み鳴らした。
「あわわ!!そ、そうですね。そういう地域もあるかもしれません…」
おや?デリクさんが変だ?
どうしたんだ?
「それにしてもエリザ様のご両親は、エリアス様を信頼なされているのですね」
「どうしてでしょうか?」
「それは成人もしていない女の子を、旅に連れ出しているからですよ」
それはそうか。
「エリアス様が居れば、ドラゴンも怖くありませんわ!!」
「あははははあはははは!そうですかエリザ様。それは頼もしい」
デリクさん、曖昧に笑うのはもうその辺で…。
そんなことを話しているうちにマジスカ領に着いた。
門番に山賊のことを話すと、治安が良くなると喜んでくれた。
そしてストレージから10人分の山賊の遺体を出す。
討伐依頼がでているのか確認してもらったが、出ていないという。
代りに斧や防具の遺留品を売って、報酬としてもらえる。
数日あれば換金できるから、詰め所に寄ってほしいと言われた。
俺は別にお金はどうでもよかったけど。
いくら山賊といえども、そのまま遺体を道に捨て置くには忍びなかっただけだ。
詰め所を出て『黒い粉塵』の人達とは、護衛依頼完了のサインをデリクさんからもらい別れた。
「デリク商会をお尋ねください。お礼はさせて頂きますから」
お礼は良いのだがこの領で、商人と繋がりを持つにはいい機会だ。
「では、伺います。それからマジスカ公爵の、お屋敷はどこら辺でしょうか?」
「あぁ、それならこの通りを真っすぐ行って、突き当たったところですよ。大きなお屋敷ですからすぐにわかります。どうしてですか?」
「せっかくこの領にきたのですから、見ていこうと思いまして」
「そうですか、いい思い出になりますね」
デリクさんは馬車で進み、俺達はその横を歩く。
するとエリザちゃんが歩きながら、こちらをチラチラ見ている。
なんだろう?
するとエリザちゃんは、遠慮がちに聞いてくる。
「あの~、エリアス様」
「なんだい?エリザちゃん」
「手を繋いで頂けないでしょうか?」
「手を?」
「えぇ、」
恥ずかしそうに下を向いている。
あぁ、そうだよね。
迷子になったら困るから。
「ごめんね。気づかなかったよ」
そう言うと俺はエリザちゃんの手を取った。
するとエリザちゃんは、嬉しそうに頬を染めていた。
そんなに不安だったのか?
ごめんよ。
2人で手を繋ぎしばらく進むと、2階建ての建物の前に止まった。
「さあ、着きました。ここが私の店です」
そう言うとデリクさんは馬車を降りた。
「まあ、あなた。お帰りなさい」
「おかえりなさいませ。ご主人様」
奥の方から奥さんと思われる40代と思われる人と、男の従業員が1人出てきた。
「ただいま。今帰ったよ」
「あら、そちらの方は?」
「ジェシカ、こちらはエリアス様とエリザ様だ。旅先で山賊に襲われたところを助けて頂いたのだ」
「そんなことが?!デリクの妻のジェシカです。主人が大変お世話になりました」
「あ、いえ、通りかかったものですから」
「本当にありがとうございました。あら?そちらのお嬢様は?」
「はい、婚約者のエリザです」
「エリザです。初めまして」
「まあ、可愛い奥様ね」
「えっ、奥様だなんて…」
クネ、クネ、クネ、クネ、クネ、
エリザちゃんが日が当たると、クネクネする人形のようになっている。
これはオルガさん仕込みか?
「でもあなた、冒険者の方の護衛が居たのでは?」
「それがいきなり前後を、10人の山賊に挟まれてしまってね。どうすることもできなかったのだよ」
「そんなことが?!」
「そんな時、エリアス様達が現れ、あっと言う間に山賊を倒してくれたんだ」
「お強いのですね。エリアス様」
「エリアス様なら、なんてことはありません!!」
俺の横でエリザちゃんが、自慢そうに胸を張っている。
張るほどはまだ、ありませんが…。
頑張れ!!明るい未来を信じて。
「立ち話も何です、中にお入りください。荷物を下ろして私もすぐに参りますから」
そう言われ俺達は店の中に案内された。
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