181 / 254
第13章 南のラードルフ国
第181話 ヅケ
しおりを挟む
海老をむき醤油を付けて、周りのお客さんと美味しさを堪能した。
勿論、各自の自己負担ですから。
「しかし、醤油を付けて食べると本当に美味しいな」
市場のおじさんがべた褒めだ。
「しかしジリヤ国の商業ギルドか…。このマジスカ領マンフレートは、ラードルフ国でも一番下の東にある町だから醤油が買えるかどうか」
おじさんがそう言うと、側に居た商人が聞こえたのかそれに答える。
「それなら私が扱っているから、今度持って来よう」
「おぉ、それはありがたい」
俺が売っても良いけど流通価格が分からない。
だから、あまり直接は売りたくなかったから助かった。
そい言えば赤身の魚が見当たらないな。
「すみません。赤身の魚は無いのでしょうか?」
「赤身は日持ちがしないからね。地元の人が食べる分しか捕らないのさ」
「そうですか。残念です…」
エリアス商会で冷蔵庫を販売しているがまだ一般的ではない。
冷蔵技術のない時代であり、そもそもマグロの赤身などは劣化が早い。
「そんなに食べたかったのかい?それなら少しあるから、分けてあげるから」
「ありがとうございます」
そうだ、醤油があるなら出来るはずだ。
俺は市場のおじさんからマグロのブロックを売ってもらった。
「赤身の魚も保存法はありますよ」
そう言うと俺はストレージから、まな板と包丁とボウルを出した。
「なにをされるのですか、エリアス様?」
「まあ、見ててよ。エリザちゃん」
そう言うと俺は昆布を購入し、マグロを切り身にした。
ボウルに醤油とワインを混ぜ、魚の切り身と昆布を交互に敷く。
酒が無いのでワインで代用だ。
10-15分ほど漬けておけば完成だ!!
「こ、これは?エリアス様」
「『ヅケ』と言う漬け方だよ。塩気の強い醤油へ漬けることで保存が効くんだ」
「そうなのですか」
「ほ、本当か?その醤油があれば『ヅケ』と言うのができるのか?」
市場のおじさんが食いついてくる。
「そうです。サンマやカツオ、アジなど大抵の魚はできます。臭みの強いものはショウガやニンニクを加えるのも良いですね」
「そんなに簡単に教えていいのか?それだけでも、うまくやれば商売になるのに」
「俺は商売をする気はありません。それに美味しい物を食べられればいいですから」
「さ、さすがは魔女様の従者様だ。人間が出来ている…」
「従者様??」
「さっきの商人から醤油を買って試してみるよ。ありがとう」
そう言うとおじさんは笑った。
買い物も済み門のところに向かう。
「帰るのかい?」
門番さんが聞いてくる。
「えぇ、買い物も済みましたから」
そう言って俺はポーチを、ポンポンと叩いて見せた。
「マジック・バッグは便利だな」
「すみませんが、この近郊の地図はありますか?」
「地図かい?」
「そうです。この町の位置を知りたいのです」
「ちょっと待ってろ。今持ってくるから」
そう言うと門番さんは待機小屋の入り、すぐに戻って来た。
地図が書いてある獣皮紙を広げ始める。
「この町マンフレートはここだな。それから…」
門番さんが地図を広げ説明してくれる。
分かったことは、ここはマジスカ領内にあるマンフレートという町だ。
そしてラードルフ国の一番下の東に位置する。
領主テーオドル・マジスカ公爵領は、ここから北西にあり、首都エーランドは更に5~6日くらい西に進んだところにあると言う。
「色々、ありがとうございました」
「こちらこそ、みんなが世話になった。感謝する」
「大袈裟ですね」
俺は微笑みながら、マンフレートを後にした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
俺達は一旦、セトラー国に戻ることにした。
門番さんから見せてもらった地図では、アスケルの森から一番近いのは港町のマンフレートがあるマジスカ領になる。
国交を結ぶならマジスカ領かな?
ラードルフ国の首都エーランドは離れすぎているからね。
今度マジスカ領に行ってみよう。
あぁ、それから弓隊の人達にも言っておかないと。
どうも彼らも自信が付いたのか、魔物を乱獲しすぎてしまったようだ。
いつか怪我をする前に、ほどほどにしておかないとね。
勿論、各自の自己負担ですから。
「しかし、醤油を付けて食べると本当に美味しいな」
市場のおじさんがべた褒めだ。
「しかしジリヤ国の商業ギルドか…。このマジスカ領マンフレートは、ラードルフ国でも一番下の東にある町だから醤油が買えるかどうか」
おじさんがそう言うと、側に居た商人が聞こえたのかそれに答える。
「それなら私が扱っているから、今度持って来よう」
「おぉ、それはありがたい」
俺が売っても良いけど流通価格が分からない。
だから、あまり直接は売りたくなかったから助かった。
そい言えば赤身の魚が見当たらないな。
「すみません。赤身の魚は無いのでしょうか?」
「赤身は日持ちがしないからね。地元の人が食べる分しか捕らないのさ」
「そうですか。残念です…」
エリアス商会で冷蔵庫を販売しているがまだ一般的ではない。
冷蔵技術のない時代であり、そもそもマグロの赤身などは劣化が早い。
「そんなに食べたかったのかい?それなら少しあるから、分けてあげるから」
「ありがとうございます」
そうだ、醤油があるなら出来るはずだ。
俺は市場のおじさんからマグロのブロックを売ってもらった。
「赤身の魚も保存法はありますよ」
そう言うと俺はストレージから、まな板と包丁とボウルを出した。
「なにをされるのですか、エリアス様?」
「まあ、見ててよ。エリザちゃん」
そう言うと俺は昆布を購入し、マグロを切り身にした。
ボウルに醤油とワインを混ぜ、魚の切り身と昆布を交互に敷く。
酒が無いのでワインで代用だ。
10-15分ほど漬けておけば完成だ!!
「こ、これは?エリアス様」
「『ヅケ』と言う漬け方だよ。塩気の強い醤油へ漬けることで保存が効くんだ」
「そうなのですか」
「ほ、本当か?その醤油があれば『ヅケ』と言うのができるのか?」
市場のおじさんが食いついてくる。
「そうです。サンマやカツオ、アジなど大抵の魚はできます。臭みの強いものはショウガやニンニクを加えるのも良いですね」
「そんなに簡単に教えていいのか?それだけでも、うまくやれば商売になるのに」
「俺は商売をする気はありません。それに美味しい物を食べられればいいですから」
「さ、さすがは魔女様の従者様だ。人間が出来ている…」
「従者様??」
「さっきの商人から醤油を買って試してみるよ。ありがとう」
そう言うとおじさんは笑った。
買い物も済み門のところに向かう。
「帰るのかい?」
門番さんが聞いてくる。
「えぇ、買い物も済みましたから」
そう言って俺はポーチを、ポンポンと叩いて見せた。
「マジック・バッグは便利だな」
「すみませんが、この近郊の地図はありますか?」
「地図かい?」
「そうです。この町の位置を知りたいのです」
「ちょっと待ってろ。今持ってくるから」
そう言うと門番さんは待機小屋の入り、すぐに戻って来た。
地図が書いてある獣皮紙を広げ始める。
「この町マンフレートはここだな。それから…」
門番さんが地図を広げ説明してくれる。
分かったことは、ここはマジスカ領内にあるマンフレートという町だ。
そしてラードルフ国の一番下の東に位置する。
領主テーオドル・マジスカ公爵領は、ここから北西にあり、首都エーランドは更に5~6日くらい西に進んだところにあると言う。
「色々、ありがとうございました」
「こちらこそ、みんなが世話になった。感謝する」
「大袈裟ですね」
俺は微笑みながら、マンフレートを後にした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
俺達は一旦、セトラー国に戻ることにした。
門番さんから見せてもらった地図では、アスケルの森から一番近いのは港町のマンフレートがあるマジスカ領になる。
国交を結ぶならマジスカ領かな?
ラードルフ国の首都エーランドは離れすぎているからね。
今度マジスカ領に行ってみよう。
あぁ、それから弓隊の人達にも言っておかないと。
どうも彼らも自信が付いたのか、魔物を乱獲しすぎてしまったようだ。
いつか怪我をする前に、ほどほどにしておかないとね。
12
お気に入りに追加
332
あなたにおすすめの小説
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる