完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ

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第10章 蒸気機関車

第146話 ??族

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「我々には鍛冶技術はないんだよ」

 アルベルトさんは寂しそうな顔をして言う。

「みなさんはお酒が好きですよね」
「もちろん大好きさ」

 そ、そんな。
 所詮はファンタジー、山小人ドワーフの鍛冶屋は空想物語だったのか。

「では皆さんの得意な事はなんでしょうか?」
「得意な事だと、変な事を聞くんだな。そうだな農耕かな」

 農耕か、空想と現実は違うんだな。

「農耕ですか、ではいかがでしょうか。実は俺達はこの森を開拓して村を作っています。そこにきませんか?小麦や大麦、野菜も作っており食事も1日3食です」
「村を作っているのか、こんな辺境の大型の魔物が多い森の中でか」
「はい、村を作り高い塀で囲み開拓しています。そこには闇妖精ダークエルフの人も居ます」
「な、なに、この森でそんなことが…」

「住民は俺を入れて34人です」
「我々の事を蔑まないのかい?」
「えぇ、人はこの世に生を受けた以上は平等ですから」
「ほ~、我々を亜種族と言わないところは気に入ったよ。その村はここからどのくらい離れているんだい」
「蒸気機関車なら35分くらいです」
「35分??」
 あぁ、そうか時間の概念がないのか。

「歩きなら朝日が昇り、夕方暗くなる事には着きます」
「そんなに離れているのか、知らないはずだ」
「でも蒸気機関車なら、あっと言う間です。行ってみませんか?」
「今からか?」
「すぐに着きますよ、帰りもお送りしますから」
 アルベルトさんは少し考えているようだった。

「わかった、行こうではないか。他の部族とも力を合わせていかなければ、この森では生きていけないからな」
「長老様、危険です」
「大丈夫だ、ガエタン。彼らが私達に危害を加えるとは思えないからな」
「では我々4人もお供致します」
「よろしいかなエリアス殿」
「えぇ、勿論ですよ」

 9人乗るには蒸気機関車は狭いので、俺はストレージから客車を出した。

〈〈〈〈〈 ドン!! 〉〉〉〉〉

 同時に俺は軽くジャンプし、他の8人もジャンプしていた。
 小ネタがわかる人達だ。

「では後ろの客車に乗りましょう」
 俺とアルベルトさん達6人は客車に乗った。

「では出発します」
 ディオさんがそう言うと機関車は動き出した。

 シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
     シュポポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ

    〈〈〈〈〈〈〈〈 ポ、ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉

 客車の中で他の人達と自己紹介をした。
 アルベルトが長老で、若手のまとめ役がガエタンさん。
 そして若手のランスさん、ウーログさん、ギゼラさんだ。

 と言ってもみんな若く見えるのだが。
「みなさん若く見えますね」
「我々の種族は人族の倍くらい寿命があるから。そう見えるのかもしれんな」
 そんな話をしながら機関車は進む。

「しかし早いな、この蒸気、機関車?は」
「言いづらければC61シロクイチでも良いですよ」
C61シロクイチ?」
「あだ名みたいなものです」

 そしてセトラー領に戻って来た。
 見上げる様な城壁の高さにアルベルトさん達は驚いていた。

 城門を入り格納庫に蒸気機関車を収容した。

「さあ、着きました。降りましょう」
 俺達は客車を降り、外に出た。

「す、素晴らしい。こんなに広い土地を開拓しているなんて」
 アルベルトさんが驚いている。
 
 セトラー領は開墾が進み、少し中央奥に俺の屋敷がある。
 その屋敷を守るかのように、ダークエルフの家が左右に放射状に延びている。
 俺の魔法を使い、見渡す限りの田畑が広がっている。
 普通ならこれだけの広さを開墾するなら、数百人で毎日耕しても何か月もかかるはずだ。

「エリアス殿、この村には34人しか住民はいないと聞いていたが」
「えぇ、そうですよ」

「おかえりなさいませ、エリアス様」
 振り返るとエリザちゃん、そしてマリーさん。
 アリッサさん、オルガさん、ノエルさん居た。

「ただいまみんな、今日はお客様を連れて来たよ。彼らは山小ドワ…「小人族が生き残っているなんて…」
 ディオさんが声を上げる。

 へ?

 ディオさんが驚いたように声を上げる。

「そうだが、なにか」
 アルベルトさんが答える。
「いえ、小人族を見るのは数百年ぶりなので…」
「あはは、それはお互い様だ」

 山小人ドワーフじゃなかったんだ。
 良かった言う前で。
 背が低いから山小人ドワーフて、いう先入観も失礼だしね。

 鑑定眼を使えばいいんだけど、それも相手に失礼だと思うから。
 最近では人に対して余り使わないようにしている。
 
「エリアス殿、もし移住してきたらタバコの栽培もしていいのかな?」
「タバコですか。穀物や野菜の世話の合間にするのであれば構いませんよ」

 彼ら小人族は農耕が得意で、良質のタバコを生産する。 
 陶器製や木製のパイプを使用して喫煙をする。
 後に小人族が作るタバコが高値で取引されるようになるとは、この時は誰も思わなかった。

「分かりました。村に戻りみんなに話してみよう」
「アルベルトさん。移住を考えて頂けるなら、人数を教えてください。今までは仮の話なので伺いませんでしたが、移住するなら話は別ですから」
「ここに居る我らを含めて27人だ」
「随分、少ないのですね」

「あぁ、そうだ。エリアス殿に出会わなければ、今頃は絶滅していたかもしれん」
「ここなら魔物に襲われることもありませんから。安心して子育てができますよ」
「それは本当か、それならみんな喜ぶだろう」

「それに皆さん方の食べる穀物分くらいはありますから。ここなら食べ物に困ることもありません」
「そこまでして頂けるのか!ありがとう感謝する」
「もし移住するなら皆さんの住居も、建てられるように木材もありますから」
 アルベルトさんは深々と頭を下げた。

 アルベルトさん達を元の場所に送っていく。
 後2日間は蒸気機関車の練習で通るので、それまでに返事を聞かせてほしい事を伝えた。
 別れ際にストレージから出した籠に詰めた野菜と、オークの肉を持たせてあげた。
 アルベルトさん達はとても喜んでくれた。

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

「アルベルト長老様。どこに行かれていたのですか?」
「みんなを集めてくれ。いや、実は…」

 子供を入れた27人が広間に集まった。
 そしてアルベルトは先ほどあったことや、移住のことを話した。

「こんなに野菜を。それにオークの肉なんて、食べたことがありません」
「私もそうだ。倒せなければ肉は手に入らない。我らは非力だ。弓は得意だがオークなど倒せん。食べている肉は山鳥くらいだ」
「それにこの肉の鮮度は、オークを倒したばかりの様です」
「人にあげられるほど簡単に、オークの肉が手に入ると言う事か」
「それほどの力が。行きましょう、には答えないと」

 エリアスは知らなかった。
 小人族はをするのも、されるのも喜びを感じる種族だという事を。




  それから2日後、鉱山に寄るとアルベルトさん達5人が待っていた。
「エリアス殿、いいえエリアス様。私達をどうか移住させてください」
「話はついたのですね」
「えぇ、村に伺った時の話と、帰り際に頂いたものがとても好評で」
 ただの野菜と肉だったはずだ。
 それに話し方が急に丁寧になったけど。

「ではどうしますか?住民の方がここまで来て頂ければ、セトラー領まで客車に乗って行けます。荷物があるようなら俺が収納して持っていきますけど」
「では家はどうでしょうか?」
「家ですか」
「実は移住するのは良いのですが、家作りが苦手な物がおりまして…」


 そんな話をしていると突然、茂みが揺れ大きな魔物の大群が姿現した。

 ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、
   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、
    ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、 ガザ、ガザ、
  ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ ガザ、ガザ、
    ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、 ガザ、ガザ、
   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、
 ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、

「「「 に、逃げろ!! 」」」

 この森をよく知っている、アルベルトさんが叫ぶ!!

「「「 奴は倒せん、逃げるんだ!! 」」」
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