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第8章 開拓村

第134話 開拓村の夜は猫が鳴く 閑話 女神ゼクシー

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 俺は教会に参拝に来ている。
 女神ゼクシー像にひざまずいて、目を閉じ祈った。

 するとボサボサ頭のスレンダーで、黒髪の残念メガネ女神ゼクシーが現れた。

「こんにちは、ゼクシーかあさん。寝起きですか?もう昼過ぎですよ。夜更かしはお肌の天敵ですよ」

「いらっしゃい!エリアスちゃん!!家にいるのにお化粧なんてしても意味ないわ。それに最近は夜に面白い番組があって。つい毎晩欠かさずリアルと録画で何回も見てしまうのよね」
 この世界にもテレビ番組があるんだ?
 どんな内容だろう?
 民放?CATV?
 こんな何もない空間に居るのだから何かないとね。

「さあ、さあ、家の中に入って」
 なぜかカウンターの奥の通路を通ると和風の家がある。

「さあ、座って」
 俺はテーブルの椅子に座った。

「かあさん、お土産です」
 俺はストレージからつぶあん、カステラ、それにハチミツを少しかけて出した。

「嬉しいわ、エリアス!!そう言えばあなた、ここ数日で一皮むけたでしょ?」
「あっ?えっ!!」
「ちょ、ちょっと、な、なにをやっているの?どこを押さえているのよ~」
「い、いや、だって…」
「ち、違うわよ、人としてよ。ば、馬鹿ね~」
 あ~、焦った。
 いきなり言うもんだから。


 そして生活魔法でお湯を出し紅茶に急須に入れ、かあさんに差し出す。
「まあ、いい香りね。いただくわ」
 ゴク、ゴク、ゴク、ゴク、
「あ~、美味しいお茶ね。それにこのカステラも甘くて…」
「それは良かった。母さん」

 そんな話をしながら楽しい親子の時は過ぎた。

「それじゃあ、母さん。また来ますね」
「えぇ、待っているわ。私のエリアス」
 俺はそれから現実社会に戻った。


 また来ることをアルバンさん達に話した。
 今度来た時のためにアルバンさんに、社員証をもらい工業団地?を後にした。

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

 私は女神ゼクシー。
 この世界を司る女神。

 ある意味、女神は人の人生をリアルで見れる立場にある。
 刑事ドラマ、恋愛もの、成上がり物、毎日好きなドラマがリアルで見れるのよ。

 だけ。
 そう私に出来ることはただ、下界を見ているだけなの。
 見ている事しかできない。
 たとえ人族が滅んで、魔物の闊歩する世界になったとしても干渉は出来ない。
 それが決まりごと。

 今日は息子エリアスが遊びに来てくれて、とても楽しい1日だったわ。
 また来てくれないかしら。

 
 さてっと。
 昨日の夜に録画しておいた、番組でもまた見ようかな。
 番組のタイトルは『開拓村の夜は猫が鳴く。猛君たけるくん』。
 
 そう私には、見ていることしかできないの。


 女神ゼクシーにも深い暗い『闇』があった。

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 読んで頂いてありがとうございます。
 新作【心】ご都合主義で生きてます。-商品開発は任せてください。現代知識を使い時代を駆け上る。-
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 こちらも楽しんで頂ければ幸いです。

 どうぞよろしくお願いいたします。
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