完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ

文字の大きさ
上 下
122 / 254
第8章 開拓村

第122話 お試し期間

しおりを挟む
 施設は15時で閉店して俺達はまた客間に集まりソファに座っている。
 ソファにはファイネン公爵、奥様のナタリア様と娘のエリザ様。
 俺達側は俺、アリッサさん、オルガさん、ノエルさんだ。

「とてもいいお湯だった」
「こんな凄い施設は王都にもございません」
 ファイネン公爵が言えば、奥様のナタリア様も褒めてくれる。
「特にお茶が美味しかったです。果物も甘くて美味しくて、夢のようです」
 10歳のエリザ様も大喜びだ。

「実はエリアス君。君に頼みがあるのだが…」
「頼みですか、なんでしょうか?」
 なにか、悪い予感しかしない。

「娘のエリザをもらってくれないか?」
「どうぞ、よろしくお願いいたします」
 エリザ様も頭を下げる。
 オルガさんを見ると、嫌な顔をしている。

「前なら嫁は(夜の件があるから)4~5人と思っていたけど、今はノエルがいるから(体力があるから)いまのままで良いわ」
 オルガさんが今のままで良いと言う。

「そ、そんな…」
 エリザ様、いいやもうエリザちゃんでいいや。
 エリザちゃんが哀しそうな顔をする。
 ノエルさんも複雑そうだ。

 しかしエリザちゃんも負けてはいない。
「エリアス様は下は9歳(奴隷のアディちゃん)から、上は40代半ば(アバンス商会のオルエッタさん)までのだと伺いました」
 エリザちゃん、なんてことを言うのですか?
 
「エリアス君の嫁になるのは大変なことですよ。親にも言えないことが出来るかもしれません。それがあなたに守れますか?」
「もちろんです!守りますアリッサお姉さま!!」
 アリッサさんはエリザちゃんに、お姉さまと言われ嬉しそうな顔をしている。

「わかりました!この私がエリザお嬢様の、いいえエリザの面倒をみましょう!」
「アリッサお姉さま~!!」
「おぁ、それはめでたい。さっそく帰って用意をせねば」
 ファイネン公爵は、とても嬉しそうだ。
 もしかしたら今後も俺の意思とは関係なく、こんな感じで嫁が増えていくのか?
 それをはたしてハーレムと呼ぶのだろうか?

 そして後日また嫁入り道具を持ってやってくると言う。
 結婚し一緒に住むのは成人の15歳になってからのはずだが…。
 なんでも新しくできた制度で今回は『お試し』期間?という名目らしい。
 なんだそれは?

 しかし俺達は貴族ではないので、侍女を付けるなら1人にしてほしい事を頼んだ。
 すると幼い頃からエリザちゃんを、面倒をみている侍女が居ると言う。
 一緒に来ていた侍女のネリーさんを紹介された。
 アレン領に来るのは、その人にするようだ。

 ファイネン公爵家族は、今夜は宿屋に泊り明日発つと言う。
 仕方が無いから結納金代わりに魔道具を送ることにした。
 明日、旅発つ時に寄ってもらうように話した。

 
 ファイネン公爵達が帰った後、アリッサさんになぜ嫁に貰う事のしたのか聞いた。
 いくら女神ゼクシーの神託が降りても、権力者は取り入ろうとするだろう。
 それなら2大公爵家のファイネン公爵の娘なら露払いになるだろうと。
 これでもう誰も、俺にまとわりつかないだろうと。

 翌朝、ファイネン公爵家族がウォルド領に帰る前に寄ってくれた。
 結納代わりとして冷蔵庫230Lを3台、照明魔道具を4台、魔道コンロを3台送った。
 そして運送にはアバンス商会で始めたばかりの、『黒猫の宅配便』を使い運んでもらう事にした。
 
 後日、ファイネン公爵は自宅に届いた結納品の魔道具と、王都で同じものを見て驚くことになる。
 その値段は合わせると数十億になったからだ。

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

 ジリヤ国、クリストフ ・ディ・サバイア国王は悔しさのあまり爪を噛んだ。
 なんと『修繕と破壊魔法』を使うエリアスという青年は、女神ゼクシー様の愛し子様だったと言うではないか?!
 王都からアレン領は遠すぎる。
 
 道は愛し子様により広くなり、舗装された。
 だがそれでもすぐに行くことはできない。

 それにファイネン公爵の娘と婚約したと言うではないか?!
 なんと素早いのだ。
 
『何人と言えども干渉、束縛することかなわず。勝手御免とする!』という、神託が降りた以上は我々はこちらから関わり合うことが出来ない。
 私にも孫娘はいる。
 だがそれをエリアスという青年に、勧めれば干渉したことになる。

 しかし以前よりの知り合いなら別だ。
 面識があるもの同士なら干渉したことにはならない。
 なんという抜け目なさだ。

 この国の人々のほとんどがシャルエル教の信徒だ。
 その愛し子様なら、何かがあれば人々は彼について行く事だろう。
 彼が動乱を望めば、この世界は彼の物になるかもしれない。
 
 周りにいる人々が、彼を祭り上げるような人でないことを祈るのみだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 読んで頂いてありがとうございます。
 物語はまったり、のんびりと進みます。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

【後日談完結】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ
ファンタジー
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。 高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。 特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長していった。 冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、そして・・・。 初投稿というか、初作品というか、まともな初執筆品です。 今までこういうものをまともに書いたこともなかったのでいろいろと変なところがあるかもしれませんがご了承ください。 誤字脱字等あれば連絡をお願いします。 感想やレビューをいただけるととてもうれしいです。書くときの参考にさせていただきます。 おもしろかっただけでも励みになります。 2021/6/27 無事に完結しました。 2021/9/10 後日談の追加開始 2022/2/18 後日談完結

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...