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第7章 思惑
第118話 アレン領主トバイアス公爵の憂鬱
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やってしまった、出遅れた。
私はアレンの領主、トバイアス・ビクトワール・ドゥメルグ公爵だ。
焦っていた。
先日、神託が降りエリアスという青年が、女神ゼクシーの『愛し子』様だと分かったのだ。
エリアス青年はエリアス・ドラード・セルベルトという、ラストネームとミドルネームを持っていたのだ。
そして300年ぶりにシャルエル教に、女神ゼクシーの神託が降りた。
教会の中だけの話だったが、神託が降りた信徒が多く噂はすぐに広がった。
〈〈〈〈〈 神託を授ける!エリアス・ドラード・セルベルトは我が可愛い息子である。何人と言えども干渉、束縛することかなわず。勝手御免とする!これを破りしものには神罰が下るであろう! 〉〉〉〉〉
これが神託の内容だ。
これでは手出しができない。
私には10歳と13歳の娘が二人いるが、すでに他家と婚約が決まっている。
早まった。
そして『愛し子』様なら立場は国王より上となる。
こちらがお伺いを立てる立場になってしまったのだ。
もう気軽に呼び出せない。
私もこの街アレンの領主。
挨拶に行かねばなるまい。
先日の態度を謝らなければならん。
するとエリアス青年から訪ねて来てくれた。
先日のことを詫び、許してもらえた。
なんと彼はアスケルの森を開拓したいと言う。
それが出来れば凄いことになる。
高位の魔物のおかげで開拓はされていないが、大量の資源が眠ってるはずだ。
『愛し子』様なら魔物など、大したことはないと言うのか?
アスケルの森はこのアレン領があるジリヤ国と、北東のシェイラ国、南東のラードルフ国の3国に縦にまたがるほどの広さを有する。
その面積だけみればジリヤ国より広い。
すでにウォルド領のファイネン公爵は、自国の家紋が入ったメダルをエリアス君に渡していた。
なんと目ざといのだろう。
確かファイネン公爵には、10歳くらいの娘が居たはずだ。
目ざとい彼のことだから…。
先を読む力のある者だけが生き残れる。
それが世の中と言う物だ。
なんとかこの国に居てもらえるような足枷を私も考えねば…。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
俺達3人は屋敷に戻って来た。
オルガさんはいったい、何のために付いてきたのだろう?
アルバンさん達の家に入ると、6人の孤児達は楽しそうに仕事をしていた。
アルシアさんとアディちゃんと、仲良くなれたようだ。
でもこの世界ではお風呂に入る施設や習慣がない。
だから頃合いを見て孤児達に、温泉施設で体を洗ってくるように話た。
よく見ると孤児達の服は継ぎはぎだらけだ。
調味料や食べ物に関係ある物を、扱っているから奇麗にしてもらわないと。
アルシアさんに話して、孤児達6人と服を買いに行かせた。
服を買って戻ってくると、孤児達はとても喜んでいた。
それから温泉に入り体も綺麗になった。
その後は『なごみ亭』で昼ご飯だ。
5cm真角に木を切り、そこにエリアス商会のロゴの焼印を押して渡してある。
食券の代わりだ。
温泉施設『ラウンド・アップ』で働いている人達には全員渡してある。
月末になると『なごみ亭』の人が、木の食券を請求書代わりに持ってくる。
俺はその分を払えば良いから楽だ。
孤児達にも渡し、お昼をこれから毎日食べるように伝えた。
すると信じられないような顔をして喜んでくれた.
育ち盛りは食べないと駄目だからね。
それから数日が経ち孤児達はどんどん仕事を覚えて行った。
醤油タレやマヨネーズを毎日たくさん作れるようになった。
孤児達のことはアルバンさんにまかせている。
給料を聞くと6人分で1日6,000円渡しているそうだ。
俺が驚いていると、えっ!高かったでしょうか?と俺に聞いてくる。
逆にあまりにも安くて、驚いただけだけど。
どうやら聞くと、成人前の子供を雇うところは少ない。
それに雇っても、とても安いとか。
毎日、施設でお風呂に入りお昼を食べている。
それで6人分で1日6,000円は、多い方だと言う。
どれだけ安いんだ、この世界は。
そしてある日、気付いたことがあった。
孤児達が風呂敷を持ってきていることに。
何が入っているんだろう?
俺は子供達の後を隠れてついて行った。
すると孤児達は路地に入り、継ぎはぎの服に着替えて出て来た。
翌朝、孤児達にそのことを聞いた。
すると孤児達は自分達だけお風呂に入り、服を買ってもらい美味しいものを食べているのは、他の孤児達に気が引けるというのだ。
それなら連れてくればいい、そう俺は言った。
孤児達は信じられない顔をして喜んだ。
次の日から12人いる孤児の、残りの6人も屋敷にやってくるようになった。
しかも12歳以下で赤ちゃんもいる。
そのためシスターや修道士さんが付き添ってきている。
そして孤児達はお風呂に入り、服を買い『なごみ亭』でお昼を食べる。
当然、付き添いのシスターや修道士さんも、お風呂に入りお昼を食べて帰る。
気が付くと付き添いの人数が増え、作業場にはたくさんの人が居る。
ん?こんなに雇ったかな?
エリアス社長、作業場が狭くなってきました。
そう言われ次の朝、アルバンさんの家の隣に平屋の広い作業場を作っておいた。
屋敷を訪れた教会からの人達や、アルバンさん家族はとても驚いていた。
そして醤油タレや『マヨネーズ』が、毎日たくさん作られて行く。
アルバンさんは毎日リヤカーで、商業ギルドや『なごみ亭』に納品に行っている。
とても忙しそうだ。
でもこれでまた、平穏な日々が戻ってきたよね?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読んで頂いてありがとうございます。
※お知らせ
少しでもたくさんの方に読んで頂ければと思い
12/27より更新時間を7:10より19:10に変更いたします。
よろしくお願いいたします。
変化が無ければ戻します…。
私はアレンの領主、トバイアス・ビクトワール・ドゥメルグ公爵だ。
焦っていた。
先日、神託が降りエリアスという青年が、女神ゼクシーの『愛し子』様だと分かったのだ。
エリアス青年はエリアス・ドラード・セルベルトという、ラストネームとミドルネームを持っていたのだ。
そして300年ぶりにシャルエル教に、女神ゼクシーの神託が降りた。
教会の中だけの話だったが、神託が降りた信徒が多く噂はすぐに広がった。
〈〈〈〈〈 神託を授ける!エリアス・ドラード・セルベルトは我が可愛い息子である。何人と言えども干渉、束縛することかなわず。勝手御免とする!これを破りしものには神罰が下るであろう! 〉〉〉〉〉
これが神託の内容だ。
これでは手出しができない。
私には10歳と13歳の娘が二人いるが、すでに他家と婚約が決まっている。
早まった。
そして『愛し子』様なら立場は国王より上となる。
こちらがお伺いを立てる立場になってしまったのだ。
もう気軽に呼び出せない。
私もこの街アレンの領主。
挨拶に行かねばなるまい。
先日の態度を謝らなければならん。
するとエリアス青年から訪ねて来てくれた。
先日のことを詫び、許してもらえた。
なんと彼はアスケルの森を開拓したいと言う。
それが出来れば凄いことになる。
高位の魔物のおかげで開拓はされていないが、大量の資源が眠ってるはずだ。
『愛し子』様なら魔物など、大したことはないと言うのか?
アスケルの森はこのアレン領があるジリヤ国と、北東のシェイラ国、南東のラードルフ国の3国に縦にまたがるほどの広さを有する。
その面積だけみればジリヤ国より広い。
すでにウォルド領のファイネン公爵は、自国の家紋が入ったメダルをエリアス君に渡していた。
なんと目ざといのだろう。
確かファイネン公爵には、10歳くらいの娘が居たはずだ。
目ざとい彼のことだから…。
先を読む力のある者だけが生き残れる。
それが世の中と言う物だ。
なんとかこの国に居てもらえるような足枷を私も考えねば…。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
俺達3人は屋敷に戻って来た。
オルガさんはいったい、何のために付いてきたのだろう?
アルバンさん達の家に入ると、6人の孤児達は楽しそうに仕事をしていた。
アルシアさんとアディちゃんと、仲良くなれたようだ。
でもこの世界ではお風呂に入る施設や習慣がない。
だから頃合いを見て孤児達に、温泉施設で体を洗ってくるように話た。
よく見ると孤児達の服は継ぎはぎだらけだ。
調味料や食べ物に関係ある物を、扱っているから奇麗にしてもらわないと。
アルシアさんに話して、孤児達6人と服を買いに行かせた。
服を買って戻ってくると、孤児達はとても喜んでいた。
それから温泉に入り体も綺麗になった。
その後は『なごみ亭』で昼ご飯だ。
5cm真角に木を切り、そこにエリアス商会のロゴの焼印を押して渡してある。
食券の代わりだ。
温泉施設『ラウンド・アップ』で働いている人達には全員渡してある。
月末になると『なごみ亭』の人が、木の食券を請求書代わりに持ってくる。
俺はその分を払えば良いから楽だ。
孤児達にも渡し、お昼をこれから毎日食べるように伝えた。
すると信じられないような顔をして喜んでくれた.
育ち盛りは食べないと駄目だからね。
それから数日が経ち孤児達はどんどん仕事を覚えて行った。
醤油タレやマヨネーズを毎日たくさん作れるようになった。
孤児達のことはアルバンさんにまかせている。
給料を聞くと6人分で1日6,000円渡しているそうだ。
俺が驚いていると、えっ!高かったでしょうか?と俺に聞いてくる。
逆にあまりにも安くて、驚いただけだけど。
どうやら聞くと、成人前の子供を雇うところは少ない。
それに雇っても、とても安いとか。
毎日、施設でお風呂に入りお昼を食べている。
それで6人分で1日6,000円は、多い方だと言う。
どれだけ安いんだ、この世界は。
そしてある日、気付いたことがあった。
孤児達が風呂敷を持ってきていることに。
何が入っているんだろう?
俺は子供達の後を隠れてついて行った。
すると孤児達は路地に入り、継ぎはぎの服に着替えて出て来た。
翌朝、孤児達にそのことを聞いた。
すると孤児達は自分達だけお風呂に入り、服を買ってもらい美味しいものを食べているのは、他の孤児達に気が引けるというのだ。
それなら連れてくればいい、そう俺は言った。
孤児達は信じられない顔をして喜んだ。
次の日から12人いる孤児の、残りの6人も屋敷にやってくるようになった。
しかも12歳以下で赤ちゃんもいる。
そのためシスターや修道士さんが付き添ってきている。
そして孤児達はお風呂に入り、服を買い『なごみ亭』でお昼を食べる。
当然、付き添いのシスターや修道士さんも、お風呂に入りお昼を食べて帰る。
気が付くと付き添いの人数が増え、作業場にはたくさんの人が居る。
ん?こんなに雇ったかな?
エリアス社長、作業場が狭くなってきました。
そう言われ次の朝、アルバンさんの家の隣に平屋の広い作業場を作っておいた。
屋敷を訪れた教会からの人達や、アルバンさん家族はとても驚いていた。
そして醤油タレや『マヨネーズ』が、毎日たくさん作られて行く。
アルバンさんは毎日リヤカーで、商業ギルドや『なごみ亭』に納品に行っている。
とても忙しそうだ。
でもこれでまた、平穏な日々が戻ってきたよね?
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読んで頂いてありがとうございます。
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よろしくお願いいたします。
変化が無ければ戻します…。
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