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第6章 エリアス商会
第105話 人生に欲しい物
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「パコ~~~~ン!!」
小気味よい音が辺りに響く!!
「はっ!私はいったいなにをやっていたんだ?」
頭を押さえ男性が正気に戻る。
「さすがです、アリッサ奥様。奥様のハリセンは最強です!!」
そこにはハリセンを持った、アリッサさんが立っていた。
そしてそれを横で、褒めたたえるアルバンさんが居た。
どうしたんだ?この2人は。
「すみません。取り乱してしまいまして」
男性が謝る。
「いえいえ、こちらこそ」
俺も曖昧に答える。
「そちらの女性が手に持っている物はなんでしょうか?」
「あぁ、あれはハリセンといいます」
「ハリセンですか?」
「そうです。話にオチをつける。またはあったことを、なかったことにする魔法のアイテムです」
「魔法のアイテム?!そんなものがあるなんて」
男性はとても驚いていた。
話を聞くと男性は王都近くの商人で、街道が開けアレン領にやってきたという。
そして食文化の発展に驚き、この街で流行っている調味料を仕入れたらしい。
聞くとソース、醤油、マヨネーズ、醤油タレだという。
そして懇意にして頂いている貴族の奥様に頼み、話題になっているこの施設にやってきたそうだ。
「その調味料はここで、このエリアス商会で作ったものです」
「な、なんとそうでしたか。しかしここは素晴らしい施設です。王都でもこれほどの物は見たことがありません」
「はあ、」
「ふんだんに使われた見たこともない魔道具、それにお茶が美味しい。こんなにお茶が美味しいとは思った事はありません」
「そ、それはよかったです」
「紅茶だけではなく緑茶、ウーロン茶というのも初めて知りました。帰りにはアバンス商会というところで、買っていきたいと思います」
「ありがとうございます」
「ですが是非、この施設でも販売してください。わざわざアバンス商会に寄るのは面倒です。時間が無い旅人なら、なおさらです」
「そうですか、考えておきます」
「綿製品も販売はされないのでしょうか?」
「まだ販売できる程、数ができませんので」
「そうですか、残念です」
「みなさんは何を飲まれますか?紅茶、緑茶、ウーロン茶がありますよ」
俺は斡旋ギルドから来た人達に聞いた。
「紅茶はわかりますが、緑茶とかウーロン茶は初めてで」
メイドさんの1人が言う。
「では飲み放題なので飲み比べてみてください」
「え?!飲み放題ですか」
「そうです。紅茶が渋み、うま味の緑茶、香りのウーロン茶と言われています。自分で飲んでいないと、聞かれたら答えられませんから」
「では紅茶から、順番に飲んでいいでしょうか?」
「どうぞ。お好きなだけ飲めますから」
そして他の人達も、飲み比べてみると言う。
「美味しい!」
「美味しいな!!」
「こんなに美味しいのは初めてです」
執事やメイドさん達が口々に賛美する。
「では今日のお菓子はカステラです。みなさん食べてくださいね」
そう言いながら3組の先客分も含めて、小皿にカステラを載せた。
先客の3組の侍女や付き人を2人ずつ連れていたので9人分。
斡旋ギルドの人達は15人。
合計24人分の24皿を配った。
「美味しい~」
「甘くておいしいな」
「お茶に合うお菓子だ」
口々にカステラが美味しいと言っている。
この世界では砂糖や糖分、甘味は貴重だ。
「このカステラは、どういうお菓子なのかな」
アクアさんが聞いてくる。
「小麦粉に卵、砂糖、ハチミツを入れ焼いたものです」
「小麦粉に卵、砂糖…、ハチミツを入れた…ハチ…ミツ…だって~?!」
「「「 ハチミツだって?! 」」」
カステラ食べていた人達の手が止まりみんな驚いている。
「えぇ、そうです。ハチミツがまだあるので、無くなり次第終了ですけど」
「そ、そんな高級品を…」
みんなガタガタ震えている。
ハチミツはとても稀少価値があるものだ。
どんなに欲しくても売っていない。
どんなにお金を積んでも買えない物がハチミツだ。
何百匹もの蜂の魔物キラービーを倒さなければ手に入らない幻の甘味。
今回は10cm真角の型をちゃんと作り、厚さ2cmくらいで切り1人2枚ずつだ。
「安心してください。特に追加料金は掛かりませんから」
「味わって食べないと…」
みんな中々、カステラを食べる手が進まない。
そんなにお茶ばかり飲んで大丈夫?
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
★50代の男性の思惑
あ、危なかった。
あの青年がまさかあの8大公爵家の中でも、王都の両翼と呼ばれるファイネン公爵家の後ろ盾を持っているとは…。
少し考えれば、わかることだった。
王都でも見たこともない豪華な屋敷。
贅を尽くした魔道具の数々。
しかも1階の浴槽ときたら、贅沢の域を超えている。
どうやったらあんなに大量のお湯が出せるのか。
そしてそのお湯は、どこに流れていくのか…。
お金があればできると言うレベルではない。
私の知る限りの技術では、到底たどり着けないだろう。
なぜこんな辺鄙な領で、くすぶってるのだろうか。
いいや、違う。
きっとこの青年は、王家に深く関わっている。
もしそうでないなら、国はどうかしている。
それにあのカステラというお菓子だ。
砂糖を使うだけでも高価なのに、その上ハチミツを入れるなど。
ハチミツを売れば、どれだけの金額になる事か。
それを我々にお菓子として出すとは。
私なら出せるだろうか。
いいや無理だ。
あの青年の器量は計り知れない。
あのハリセンというもので、叩いて貰ってよかった。
そうでなければ収拾がつかなかった。
話にオチをつける。
あったことを、なかったことにする魔法のアイテム。
是非、人生にも欲しいものだ。
小気味よい音が辺りに響く!!
「はっ!私はいったいなにをやっていたんだ?」
頭を押さえ男性が正気に戻る。
「さすがです、アリッサ奥様。奥様のハリセンは最強です!!」
そこにはハリセンを持った、アリッサさんが立っていた。
そしてそれを横で、褒めたたえるアルバンさんが居た。
どうしたんだ?この2人は。
「すみません。取り乱してしまいまして」
男性が謝る。
「いえいえ、こちらこそ」
俺も曖昧に答える。
「そちらの女性が手に持っている物はなんでしょうか?」
「あぁ、あれはハリセンといいます」
「ハリセンですか?」
「そうです。話にオチをつける。またはあったことを、なかったことにする魔法のアイテムです」
「魔法のアイテム?!そんなものがあるなんて」
男性はとても驚いていた。
話を聞くと男性は王都近くの商人で、街道が開けアレン領にやってきたという。
そして食文化の発展に驚き、この街で流行っている調味料を仕入れたらしい。
聞くとソース、醤油、マヨネーズ、醤油タレだという。
そして懇意にして頂いている貴族の奥様に頼み、話題になっているこの施設にやってきたそうだ。
「その調味料はここで、このエリアス商会で作ったものです」
「な、なんとそうでしたか。しかしここは素晴らしい施設です。王都でもこれほどの物は見たことがありません」
「はあ、」
「ふんだんに使われた見たこともない魔道具、それにお茶が美味しい。こんなにお茶が美味しいとは思った事はありません」
「そ、それはよかったです」
「紅茶だけではなく緑茶、ウーロン茶というのも初めて知りました。帰りにはアバンス商会というところで、買っていきたいと思います」
「ありがとうございます」
「ですが是非、この施設でも販売してください。わざわざアバンス商会に寄るのは面倒です。時間が無い旅人なら、なおさらです」
「そうですか、考えておきます」
「綿製品も販売はされないのでしょうか?」
「まだ販売できる程、数ができませんので」
「そうですか、残念です」
「みなさんは何を飲まれますか?紅茶、緑茶、ウーロン茶がありますよ」
俺は斡旋ギルドから来た人達に聞いた。
「紅茶はわかりますが、緑茶とかウーロン茶は初めてで」
メイドさんの1人が言う。
「では飲み放題なので飲み比べてみてください」
「え?!飲み放題ですか」
「そうです。紅茶が渋み、うま味の緑茶、香りのウーロン茶と言われています。自分で飲んでいないと、聞かれたら答えられませんから」
「では紅茶から、順番に飲んでいいでしょうか?」
「どうぞ。お好きなだけ飲めますから」
そして他の人達も、飲み比べてみると言う。
「美味しい!」
「美味しいな!!」
「こんなに美味しいのは初めてです」
執事やメイドさん達が口々に賛美する。
「では今日のお菓子はカステラです。みなさん食べてくださいね」
そう言いながら3組の先客分も含めて、小皿にカステラを載せた。
先客の3組の侍女や付き人を2人ずつ連れていたので9人分。
斡旋ギルドの人達は15人。
合計24人分の24皿を配った。
「美味しい~」
「甘くておいしいな」
「お茶に合うお菓子だ」
口々にカステラが美味しいと言っている。
この世界では砂糖や糖分、甘味は貴重だ。
「このカステラは、どういうお菓子なのかな」
アクアさんが聞いてくる。
「小麦粉に卵、砂糖、ハチミツを入れ焼いたものです」
「小麦粉に卵、砂糖…、ハチミツを入れた…ハチ…ミツ…だって~?!」
「「「 ハチミツだって?! 」」」
カステラ食べていた人達の手が止まりみんな驚いている。
「えぇ、そうです。ハチミツがまだあるので、無くなり次第終了ですけど」
「そ、そんな高級品を…」
みんなガタガタ震えている。
ハチミツはとても稀少価値があるものだ。
どんなに欲しくても売っていない。
どんなにお金を積んでも買えない物がハチミツだ。
何百匹もの蜂の魔物キラービーを倒さなければ手に入らない幻の甘味。
今回は10cm真角の型をちゃんと作り、厚さ2cmくらいで切り1人2枚ずつだ。
「安心してください。特に追加料金は掛かりませんから」
「味わって食べないと…」
みんな中々、カステラを食べる手が進まない。
そんなにお茶ばかり飲んで大丈夫?
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
★50代の男性の思惑
あ、危なかった。
あの青年がまさかあの8大公爵家の中でも、王都の両翼と呼ばれるファイネン公爵家の後ろ盾を持っているとは…。
少し考えれば、わかることだった。
王都でも見たこともない豪華な屋敷。
贅を尽くした魔道具の数々。
しかも1階の浴槽ときたら、贅沢の域を超えている。
どうやったらあんなに大量のお湯が出せるのか。
そしてそのお湯は、どこに流れていくのか…。
お金があればできると言うレベルではない。
私の知る限りの技術では、到底たどり着けないだろう。
なぜこんな辺鄙な領で、くすぶってるのだろうか。
いいや、違う。
きっとこの青年は、王家に深く関わっている。
もしそうでないなら、国はどうかしている。
それにあのカステラというお菓子だ。
砂糖を使うだけでも高価なのに、その上ハチミツを入れるなど。
ハチミツを売れば、どれだけの金額になる事か。
それを我々にお菓子として出すとは。
私なら出せるだろうか。
いいや無理だ。
あの青年の器量は計り知れない。
あのハリセンというもので、叩いて貰ってよかった。
そうでなければ収拾がつかなかった。
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是非、人生にも欲しいものだ。
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