完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ

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第5章 事業展開

第97話 年増の基準

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 俺達は夕食を食べに『なごみ亭』にやって来た。
 早い時間なのでそれほど店は混んでいなかった。
「いらっしゃ~い」
『なごみ亭』の看板娘アンナちゃんが笑顔で迎えてくれる。
「三人前頼むよ」
「まいどあり~。お父さん、エリアスお兄ちゃん達三人前だよ」
「はいよ、それから話があるからと伝えてくれ」
「うん、わかった!」


 しばらくするとビルさんがやってきた。
「いや~エリアス君、悪かったね」
「いいですよ、なんでしょうか?」
「実はソース、醤油、マヨネーズを売ってほしい、というお客が多くてさ」
「そうですか、商業ギルドに卸せるのか聞いてみます」
「それから醤油タレだな。作り方は特許を取っているから、お金を払って開示はしてもらっている。でも作るのが面倒でな。タレとして作ったものを、売ってもらえないかな?」
「いいですよ、分かりました。それも卸しますから」
「それは助かるよ。それからカレーの材料だが、他の食堂から文句が来てな」
「文句?どんなことですか?」
「『なごみ亭』だけカレーの材料を卸すのは、ズルいと言われてな」
「そんなことを言われてもね」
「だから困っているのさ」
「提供できる量が限られますから。何件くらいのお店から言ってきてるのですか?」
「今のところ、俺の店の周りにある6軒の店からだな」
「カレーの匂いは周りまで漂いますからね。分かりました、考えてみます」



 俺はその足で商業ギルドに向った。
 商業ギルドは早朝と夕方が忙しいので、夕方のこの時間でもまだ開いている。
「こんばんは!ノエルさん」
「いらっしゃいませ、エリアス様」
「特許を申請にきました」

「ではこちらの用紙に記入をお願いします」
「分かりました」
 今回はカステラとつぶあん、どら焼きの特許だ。

「これは難しいお菓子ですね。卵も貴重なのにハチミツだなんて」
「えぇ、その作り方を応用してもらえばと思います」
「そうですね。このつぶあんの方なら、できそうですね」
「カステラのハチミツ無しに、つぶあんを挟めばどら焼きと言うお菓子です」
「エリアス様は、本当になんでもご存じなのですね」
「いや~、それほどでも。つぶあんは小麦粉で包んで焼いたり、パンに載せて食べるのも美味しいですよ。それから調味料を卸したいのですが」
「調味料ですか?」
「えぇ、それについてアレックさんのご相談があるのですが」
「ギルマスに相談ですか。お待ちください、聞いてまいります」

 
「どうぞ、お会いになるそうです」
 そう言われ俺達はギルマス、アレックさんの部屋に通された。
「やあ、エリアス君。私に相談とはなにかな?」
 俺とアリッサさん、オルガさんは向かいのソファに腰かける。
「実は…」
 俺はソース、醤油、醤油タレ、マヨネーズの話をした。
 
「ほう、それは『なごみ亭』ですでに試しているなんて凄いな。引き合いがすでにあるなら、こちらで取り扱おう」
「ありがとうございます。それからカレーの材料のことですが…」
 俺はカレー材料の件で、『なごみ亭』が周りの店から言われていることを話した。
「そうなるだろうな。エリアス君、自分で店を持つのが一番の解決法だよ」
「自分で店をですか」
「そうすれば、自分の采配でなんとでもなるからね」
「でも自分でやるのも大変ですし、任せられる従業員もおりません」

「それなら奴隷を買うのが良いだろう」
「奴隷ですか?」
「奴隷は契約魔法に縛られる。主人に不利益になることは言わないからな」
「そうですか」
「必要なら俺が奴隷商へ紹介状を書いてやるぞ」
 なんでも奴隷を不当に扱う人もいるので、身元保証人が必要になるらしい。
 オルガさんやアリッサさんを見ると首を縦に振る。

「見に行くだけでも、いいんじゃないかな」
「そうね、書いて頂きましょうよ」
 オルガさんが言えば、アリッサさんもそう言う。




 俺達はアイザックさんに紹介状を書いて貰うまでの間、ロビーで待っていた。
 あぁ、そうだ。
 俺はノエルさんの受付に向った。
 他にも受付は5つあり、人が並んでいる。
 でもいつもノエルさんのところだけ、空いているけどどうしてだ?
 他の受付は15~17歳くらいの若い女性が多い。
 そして並んでいる人は男性ばかり。

「それは私が年増だからです…」

 そう言えばカステラはまだ1つストレージにあったな。
「ノエルさん、カステラです。どうぞ!!」
「え?!こ、これがハチミツを使ったカステラと言うお菓子ですか?!」

「「「 ハチミツだって?! 」」」
 見ると他の受付や並んでいた商人達が、驚いた顔をしてこちらを見ている。

 ハチミツの様な高級品のお菓子を…。
 あの受付に…。
 あの女性のどこが良いのだ?
 あの少年は、おかしいのか?

 見るノエルさんが下を向いている。
 どうしたのかな?

 エリアスは知らなかった。
 この世界では15歳で成人となり、女性は18歳で未婚は珍しい。
 20歳過ぎたら絶望的、25歳過ぎたら…。

 しかし転移してきたエリアスからすれば、20歳はまだまだこれからだった。


 あんな年増が良いのか、あの青年は…。
 そんな囁き声が聞こえる。

 ??
 ノエルさんはまだ20歳くらいで若い。
 女性は歳を重ね酸いも甘いも噛み分ける、年齢の方が魅力的だと思うけど。

「そう言って頂けるのはエリアス様くらいです」

 きっと悪趣味なんだよ。
 あぁ、連れている女の方も獣人が居るしな。
 またそんな声が聞こえる。

 すると顔を上げたノエルさんは、とても悲しそうな顔をしていた。
 
 俺は驚いた。
 なぜだ?
 
「気になさらないでください、エリアス様。いつものことですから」

 いつものこと?
 良くは分からないが、職場でいじめを受ける事が日常だと言うのか?

 オルガさんのことを獣人と、さげすむのも聞き捨てならないが…。
 ここには、コンプライアンスがないのか?
 それは絶対に許されないことだ。
 
「エリアス君、抑えてね」
 アリッサさんの声が聞こえる。

「仕方がないのです。私は器量が悪くこの歳まで独り者ですから」
 ノエルさんは、けして器量は悪くないと思う。
 二十年くらいしかまだ生きていないのに、なにを悲観的になるんだ?
 藍色の長い髪は、とても綺麗だ。
 そして女性は二十歳を過ぎた頃から、体に丸みが出てきてムフフなのだ…。

「では、好みなのだな?」
 はい?なんでしょうか、オルガさん。
「エリアス、さっきから全部、口に出ているぞ」
 え~、そんな…。
「後は私達で話を付けるから」


 えっ~?
 なんの話?
 アリッサさんとオルガさんが、受付の前に出て俺は後ろに下がった。
 そして2人はノエルさんと話はじめた。
 するとノエルさんはさっきまでの、暗い顔とは違い嬉しそうな顔をした。
 この一瞬で、良いことがあったのかな?


 そして小さい声で何やら聞こえる。
 
 いつから来れるの?
 夜は体力ある方?
 ローテーションだけど大丈夫?

 そんな声が聞こえる。
 いったい何の話をしているんだ。


 いつから来れるの?て。
 夜は体力が必要でローテーション??
 夜勤のバイトの話?
 
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 読んで頂いてありがとうございます。
 物語はまったり、のんびりと進みます。
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