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第3部 聖女降臨
第46話 魔物討伐隊再び
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私達は王都に戻って来た。
帰り道、ランランに言われた。
王女様、マジック・バッグは凄いですね!
私、初めてみました、て。
どうやら買い物をしたら物を入れようと下げて行ったポーチを、マジック・バッグだと勘違いしたらしいわ。
それはそうね。
あんな大きな肉を突然、何もないところから出したらそう思うわよね。
書斎に戻り妖精のミリアちゃんに聞いてみた。
「ねえ、ミリアちゃん。あのお肉はなんの肉だったの?」
「あぁ、あれは恐竜の肉よ」
「恐竜?ドラゴンなの?」
「う~ん、ドラゴンみたいなものかな?この世界には背中合わせにたくさんの世界がある、て話したことがあるわよね」
「えぇ、最初に出会った時に聞いたわ」
「その世界の1つに体長7~10mくらいの巨体を持つ、恐竜だけの世界があるのよ」
「ドラゴンしかいない世界?!」
「その世界では色んな種類の恐竜がいるの。そして弱い者が強い者の犠牲になるような、実力の違いがそのまま結果にでる弱肉強食の世界なのよ」
「そんな世界があるのね?!」
「まず神様養成学校に入ると、戦闘訓練の課外授業があるの。その恐竜のいる世界に転移して、魔法で倒してレベルを上げていくの」
「レベルを上げる?」
「そうよ。魔法は使えば使うほど威力が増し、魔力量も増えスキルも多くなるから」
「えっ、そうなの?!」
「そうよ。でも普段魔法を使う機会なんて、中々ないでしょう?だから練習相手になってもらうのよ」
「練習相手になってもらうて?どういう風に?」
「まず彼らは巨大で大きいでしょう。そして私達妖精は小さく15cmくらい。それを利用して大きな草木の陰に隠れ、待ち伏せして恐竜が通りかかると陰から最大魔法を放つのよ~」
「それなら普通に何もないところに、魔法を放てばいいのではなくて?」
「うっ、それをいっちゃあ、お終いだよ~。相手が居るから良いのよ!」
「でも、なんだか可哀そう」
「なにが可哀そうなの、安易な同情が不幸を呼ぶのよ。あ、この子、家の子になりたがってる、家に来る?とか。目が合ったから飼う事にしたの、なんて。そりゃあ、じっと見てれば目ぐらい合うわ!!そんなこと思ってる訳ないでしょう!!そんな思い込みは迷惑よ。一時の衝動で、この子達を不幸にしないで。飼うなら最後まで、責任を持って飼ってよ!!」
「ミ、ミリアちゃん。何の話をしているの?」
「と、言う訳なのよ。そして私達は恐竜を倒した証拠として、ストレージに収納して持ち帰るの」
「はい?さっきの話は?」
「この世界にもマジック・バッグはあるでしょう?」
「え、えぇ、あるわ…」
「ストレージは時空間魔法で空間に穴を開けて、そこに色んなものを収納しておけるの。マジック・バッグは、その術式を付与したバッグのことね」
「そうだったんだ!」
「それだけじゃなくて時間を操ることが出来るから、止めておくことが出来るのよ。だからいつ出しても鮮度そのままなの」
「だからあのお肉は、今切ったような感じだったのね。それは凄いわ!とても便利」
「そうよ。食事をたくさん作って収納すれば、いつ出しても出来立てホヤホヤよ」
「食料や荷物の運搬に役立ちそうな魔法ね」
「まあ無属性魔法だから、中々覚えられないけどね」
「なんだ、そうなんだ。でもお肉はまだ、たくさん入っているのかしら?」
「まだまだ、たくさんあるわよ。なんせ課外授業は200年くらい続くからね」
「200年も?!」
「そうよ、そのくらいの年月、最大魔法を放ってなんぼなのよ。魔法のレベルを上げるのは」
「そんなにかかるんだ。それなら無理ね」
「何が無理なの?」
「私の魔法のレベルアップよ」
「できるわよ。これから魔物討伐で、どんどん魔法を打てばいいのよ」
「そう言われてもなんだか怖いわ。私は魔物と戦ったことなんてないから」
「それは、慣れよ、慣れ」
「大丈夫よ、ビッチェは私が守るからね」
「頼りにしてるからね」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして魔物討伐の日の朝がやって来た。
今回は前回のことを踏まえ、騎士団先鋭50名。
内、歩兵30名、弓兵20名、馬の世話係5人。
シャルエル教より神官6人。
私と戦闘メイドのリンリン、ランラン。
シャルエル教の神官6人は馬車3台に分かれて向かう。
今回の討伐隊を率いているのが、前回の惨劇から無事に生き残った男達だった。
騎士団長アーガス・リベラは、30代半ばの口髭を貯えた金髪。
そして20代後半、補佐のコニーだった。
今回の討伐でも無事に戻って来れるようにと、国王の配慮だった。
だが態度がどこかおかしい。
怯えているような、不安そうな顔をしている。
私と同じ馬車に乗るリンリン、ランランは、ロングの黒髪をお下げにしている。
防具は要所要所を金属で覆い、動きやすそうなプレートアーマーを着ている。
そして腰にはバスターソードを提げている。
初めて彼女達の戦闘服を見たが、とても似合っていた。
私は白いフード付きのローブを着ている。
これは下半身は蜘蛛、上半身は人型の女性の姿をしている、アラクネーという魔物の出す糸を織り込んだ作った軽くて防御力が高いものだ。
そして3時間馬車に揺られ目的地、アウルの森に着いた。
「さあ、着きました。馬車から降りてください」
騎士団リベラ団長の補佐をしている、コニーさんの声が聞こえる。
私達3人は馬車を降りた。
シャルエル教の神官も、馬車を降りた降りたところだった。
馬の世話係5人が残り、馬車の世話をする。
そして私達は森の入口に入り進んで行った。
帰り道、ランランに言われた。
王女様、マジック・バッグは凄いですね!
私、初めてみました、て。
どうやら買い物をしたら物を入れようと下げて行ったポーチを、マジック・バッグだと勘違いしたらしいわ。
それはそうね。
あんな大きな肉を突然、何もないところから出したらそう思うわよね。
書斎に戻り妖精のミリアちゃんに聞いてみた。
「ねえ、ミリアちゃん。あのお肉はなんの肉だったの?」
「あぁ、あれは恐竜の肉よ」
「恐竜?ドラゴンなの?」
「う~ん、ドラゴンみたいなものかな?この世界には背中合わせにたくさんの世界がある、て話したことがあるわよね」
「えぇ、最初に出会った時に聞いたわ」
「その世界の1つに体長7~10mくらいの巨体を持つ、恐竜だけの世界があるのよ」
「ドラゴンしかいない世界?!」
「その世界では色んな種類の恐竜がいるの。そして弱い者が強い者の犠牲になるような、実力の違いがそのまま結果にでる弱肉強食の世界なのよ」
「そんな世界があるのね?!」
「まず神様養成学校に入ると、戦闘訓練の課外授業があるの。その恐竜のいる世界に転移して、魔法で倒してレベルを上げていくの」
「レベルを上げる?」
「そうよ。魔法は使えば使うほど威力が増し、魔力量も増えスキルも多くなるから」
「えっ、そうなの?!」
「そうよ。でも普段魔法を使う機会なんて、中々ないでしょう?だから練習相手になってもらうのよ」
「練習相手になってもらうて?どういう風に?」
「まず彼らは巨大で大きいでしょう。そして私達妖精は小さく15cmくらい。それを利用して大きな草木の陰に隠れ、待ち伏せして恐竜が通りかかると陰から最大魔法を放つのよ~」
「それなら普通に何もないところに、魔法を放てばいいのではなくて?」
「うっ、それをいっちゃあ、お終いだよ~。相手が居るから良いのよ!」
「でも、なんだか可哀そう」
「なにが可哀そうなの、安易な同情が不幸を呼ぶのよ。あ、この子、家の子になりたがってる、家に来る?とか。目が合ったから飼う事にしたの、なんて。そりゃあ、じっと見てれば目ぐらい合うわ!!そんなこと思ってる訳ないでしょう!!そんな思い込みは迷惑よ。一時の衝動で、この子達を不幸にしないで。飼うなら最後まで、責任を持って飼ってよ!!」
「ミ、ミリアちゃん。何の話をしているの?」
「と、言う訳なのよ。そして私達は恐竜を倒した証拠として、ストレージに収納して持ち帰るの」
「はい?さっきの話は?」
「この世界にもマジック・バッグはあるでしょう?」
「え、えぇ、あるわ…」
「ストレージは時空間魔法で空間に穴を開けて、そこに色んなものを収納しておけるの。マジック・バッグは、その術式を付与したバッグのことね」
「そうだったんだ!」
「それだけじゃなくて時間を操ることが出来るから、止めておくことが出来るのよ。だからいつ出しても鮮度そのままなの」
「だからあのお肉は、今切ったような感じだったのね。それは凄いわ!とても便利」
「そうよ。食事をたくさん作って収納すれば、いつ出しても出来立てホヤホヤよ」
「食料や荷物の運搬に役立ちそうな魔法ね」
「まあ無属性魔法だから、中々覚えられないけどね」
「なんだ、そうなんだ。でもお肉はまだ、たくさん入っているのかしら?」
「まだまだ、たくさんあるわよ。なんせ課外授業は200年くらい続くからね」
「200年も?!」
「そうよ、そのくらいの年月、最大魔法を放ってなんぼなのよ。魔法のレベルを上げるのは」
「そんなにかかるんだ。それなら無理ね」
「何が無理なの?」
「私の魔法のレベルアップよ」
「できるわよ。これから魔物討伐で、どんどん魔法を打てばいいのよ」
「そう言われてもなんだか怖いわ。私は魔物と戦ったことなんてないから」
「それは、慣れよ、慣れ」
「大丈夫よ、ビッチェは私が守るからね」
「頼りにしてるからね」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして魔物討伐の日の朝がやって来た。
今回は前回のことを踏まえ、騎士団先鋭50名。
内、歩兵30名、弓兵20名、馬の世話係5人。
シャルエル教より神官6人。
私と戦闘メイドのリンリン、ランラン。
シャルエル教の神官6人は馬車3台に分かれて向かう。
今回の討伐隊を率いているのが、前回の惨劇から無事に生き残った男達だった。
騎士団長アーガス・リベラは、30代半ばの口髭を貯えた金髪。
そして20代後半、補佐のコニーだった。
今回の討伐でも無事に戻って来れるようにと、国王の配慮だった。
だが態度がどこかおかしい。
怯えているような、不安そうな顔をしている。
私と同じ馬車に乗るリンリン、ランランは、ロングの黒髪をお下げにしている。
防具は要所要所を金属で覆い、動きやすそうなプレートアーマーを着ている。
そして腰にはバスターソードを提げている。
初めて彼女達の戦闘服を見たが、とても似合っていた。
私は白いフード付きのローブを着ている。
これは下半身は蜘蛛、上半身は人型の女性の姿をしている、アラクネーという魔物の出す糸を織り込んだ作った軽くて防御力が高いものだ。
そして3時間馬車に揺られ目的地、アウルの森に着いた。
「さあ、着きました。馬車から降りてください」
騎士団リベラ団長の補佐をしている、コニーさんの声が聞こえる。
私達3人は馬車を降りた。
シャルエル教の神官も、馬車を降りた降りたところだった。
馬の世話係5人が残り、馬車の世話をする。
そして私達は森の入口に入り進んで行った。
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