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第2部 外の世界
第35話 転移者に転生者
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「クリーニング屋も適材適所も、この国には無い言葉だよ。どうして知っているの?」
「そ、それは」
私はマズったと思った。
つい調子に乗ってしまったからだ。
でもタケシ君とイルゼさんなら、受け入れてくれると思う。
「実はね、私は転生者なの」
「「 転生者!! 」」
「日本と言う世界で生まれ育って、仕事帰りに車に引かれて…」
「転生者なんて初めて見ました。でも転生者なら能力が高いはずでは?」
「それがねイルゼさん、違うのよ」
「違う?」
「転生する前に女神ゼクシーて人に会ったわ」
「め、女神ゼクシー様に会われたのですか?」
「えぇ、会ったわ」
それを聞いたイルゼさんは、感動しているようだった。
この世界では女神ゼクシーを信仰しているはず。
そうなるよね。
「私の生前は両親は早くに他界し、兄妹もいなかったので姉が欲しくて。それにお金に苦労するのは嫌だから、両親と姉が居て仲が良くて暮らしに余裕があって、生活に苦労しない家庭に生まれたいと願ったの」
「な、なんて贅沢な!」
「だから空きが出来るまで時間が掛かって、ずっと天界で待機していたわ」
「そうだったの」
「その代わり望みが多ければ多いほど、能力をたくさん使うらしくて。私には親から受け継いだ精神系魔法くらいしかないの」
「精神系魔法?だからcharmなのか」
「タケシ様それは?」
「私から言うわ。ごめんなさいイルゼさん。私はあなたを騙していました」
「騙す?」
「魔族だとわかるとなにをされるか分からないから、『魅了』という魔法をみんなにかけていたの」
「そうだったの。なにか違和感を時々感じたけど、それだったのね」
「ごめんなさい」
「いいのよ、自分を守る為だもの仕方ないわ。でも、もうかけないでくださいね」
「もちろんよ」
イルマちゃんは自分のことを話して、すっきりした顔をしている。
今度は俺の番か。
「2人に聞いてほしいことがあるんだ」
「なんでしょうか、タケシ様」
「なあに、タケシ君」
「実は俺は転移者なんだ」
「「 転移者!? 」」
「俺もイルマちゃんと同じ日本と言う国で育ったんだ」
「じゃあ同郷と言うのは、あながち間違いではないのね」
「そうだね、どうして死んだのかは思い出せないけど。現世とあの世の狭間で、俺も女神ゼクシーに会ったよ」
「タケシ様も女神ゼクシー様に会われたのですか。なんと凄いことでしょうか 」
実際には市役所の様なカウンターの向こうにいる、緑の長い髪をポニーテールに束ねた、スレンダーなメガネ女子なんだけど。
それはイルゼさんには、言わないでおこう。
ガッカリするかもしれないし。
「そこで人生をもう1度やり直さないか、と誘われてね」
「そうなのですか」
「転生だと時間が掛かるから、転移を勧められたんだよ。要望を聞かれたから、病気と怪我をしない丈夫な体を望んだんだ。そしたら防御力が高くて、状態異常無効の能力が備わったんだよ」
「だからポイズンスネークの猛毒も効かなくて、上級魔物の紅蓮の炎を浴びても平気だったのね」
「凄いです、タケシ様」
「さすがに俺も、まつ毛や髪の毛も燃えないなんて思わなかったけど」
そして俺は一息つき、更に話し出す。
「それと自分を含め誰か4人は守れる強さを望んだんだ」
「どういうこと、タケシ君」
「知らない世界だから何があるか分からない。だから身を守るすべと、いずれ家族や守りたい人が出来た時に、その人達も守れる力が欲しいと願ったんだ」
「「 家族!! 」」
「それと女神ゼクシーは、鑑定、異世界言語、ストレージの3点セットをくれた」
「タケシ様もイルマさんも凄いですね。転移者に転生者が揃うなんて」
「これからは故郷の話もできるわね、タケシ君」
「そうだね、イルマちゃん」
「そう言えばタケシ君、全員集合の最終回は、どうだったの?私、死んだから見逃しちゃって」
「えっ、全員集合て、なに?」
え~、同じ日本から来たのに…。
「そ、それは」
私はマズったと思った。
つい調子に乗ってしまったからだ。
でもタケシ君とイルゼさんなら、受け入れてくれると思う。
「実はね、私は転生者なの」
「「 転生者!! 」」
「日本と言う世界で生まれ育って、仕事帰りに車に引かれて…」
「転生者なんて初めて見ました。でも転生者なら能力が高いはずでは?」
「それがねイルゼさん、違うのよ」
「違う?」
「転生する前に女神ゼクシーて人に会ったわ」
「め、女神ゼクシー様に会われたのですか?」
「えぇ、会ったわ」
それを聞いたイルゼさんは、感動しているようだった。
この世界では女神ゼクシーを信仰しているはず。
そうなるよね。
「私の生前は両親は早くに他界し、兄妹もいなかったので姉が欲しくて。それにお金に苦労するのは嫌だから、両親と姉が居て仲が良くて暮らしに余裕があって、生活に苦労しない家庭に生まれたいと願ったの」
「な、なんて贅沢な!」
「だから空きが出来るまで時間が掛かって、ずっと天界で待機していたわ」
「そうだったの」
「その代わり望みが多ければ多いほど、能力をたくさん使うらしくて。私には親から受け継いだ精神系魔法くらいしかないの」
「精神系魔法?だからcharmなのか」
「タケシ様それは?」
「私から言うわ。ごめんなさいイルゼさん。私はあなたを騙していました」
「騙す?」
「魔族だとわかるとなにをされるか分からないから、『魅了』という魔法をみんなにかけていたの」
「そうだったの。なにか違和感を時々感じたけど、それだったのね」
「ごめんなさい」
「いいのよ、自分を守る為だもの仕方ないわ。でも、もうかけないでくださいね」
「もちろんよ」
イルマちゃんは自分のことを話して、すっきりした顔をしている。
今度は俺の番か。
「2人に聞いてほしいことがあるんだ」
「なんでしょうか、タケシ様」
「なあに、タケシ君」
「実は俺は転移者なんだ」
「「 転移者!? 」」
「俺もイルマちゃんと同じ日本と言う国で育ったんだ」
「じゃあ同郷と言うのは、あながち間違いではないのね」
「そうだね、どうして死んだのかは思い出せないけど。現世とあの世の狭間で、俺も女神ゼクシーに会ったよ」
「タケシ様も女神ゼクシー様に会われたのですか。なんと凄いことでしょうか 」
実際には市役所の様なカウンターの向こうにいる、緑の長い髪をポニーテールに束ねた、スレンダーなメガネ女子なんだけど。
それはイルゼさんには、言わないでおこう。
ガッカリするかもしれないし。
「そこで人生をもう1度やり直さないか、と誘われてね」
「そうなのですか」
「転生だと時間が掛かるから、転移を勧められたんだよ。要望を聞かれたから、病気と怪我をしない丈夫な体を望んだんだ。そしたら防御力が高くて、状態異常無効の能力が備わったんだよ」
「だからポイズンスネークの猛毒も効かなくて、上級魔物の紅蓮の炎を浴びても平気だったのね」
「凄いです、タケシ様」
「さすがに俺も、まつ毛や髪の毛も燃えないなんて思わなかったけど」
そして俺は一息つき、更に話し出す。
「それと自分を含め誰か4人は守れる強さを望んだんだ」
「どういうこと、タケシ君」
「知らない世界だから何があるか分からない。だから身を守るすべと、いずれ家族や守りたい人が出来た時に、その人達も守れる力が欲しいと願ったんだ」
「「 家族!! 」」
「それと女神ゼクシーは、鑑定、異世界言語、ストレージの3点セットをくれた」
「タケシ様もイルマさんも凄いですね。転移者に転生者が揃うなんて」
「これからは故郷の話もできるわね、タケシ君」
「そうだね、イルマちゃん」
「そう言えばタケシ君、全員集合の最終回は、どうだったの?私、死んだから見逃しちゃって」
「えっ、全員集合て、なに?」
え~、同じ日本から来たのに…。
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