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第2部 外の世界
第30話 失念
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俺達3人は東に半日歩くとあると言う、レオニードと言う町に向かっている。
普通に歩いて行くと大変なので、2回目のOver Allを使い走っている。
10kmくらいの速度で走って行けば、2時間もかからない。
だがこれもありまり多様出来ない。
なぜなら元々、ステータスが高い人に掛けるのならいいけど、低い人に掛けると負担が多いからだ。
しかし明るい内に町に入りたい俺達は強行したのだった。
所持金は俺の111,600円と、イルゼさんの持ち合わせが少し。
イルゼさんもまさか、こんな事態になるとは思っていなかったので、お金を持ってきていなかった。
後は魔物や魔獣を討伐し、素材を売りながら旅をするしかない。
しばらく走っていると街が見えて来た。
そう言えば俺とイルマちゃんは身分証明がない。
それをイルゼさんに聞くと、心配はないそうだ。
元々、身分証明を持っている人は貴族や商人の様な人達で、一般の人は持っていないそうだ。
でも俺達はこの町の人ではないから、通行料を払えば出入りは問題ないそうだ。
だが問題は服装だ。
イルゼさんはプレートアーマーに腰には高そうなバスターソード。
俺は平民が着る普段着に使い古しのバスターソード。
そしてイルマちゃんは、教会側の関係者ぽい白いローブを着ている。
3人のバランスが悪いのだ。
仕方がないのでイルマちゃんが教会関係者、イルゼさんはメイド兼護衛。
そして俺は従者で、これから王都に向かうという筋書きだ。
「はい次」
門の入口で俺達の順番がやって来た。
「身分証明はあるかい?」
「いいえ、ありません」
「なら1人500円だ」
イルゼさんが対応し、3人分の1,500円を支払った。
すんなりと通れた。
構えていた俺達が馬鹿だった。
門番にすれば毎日、たくさんの人が出入りする。
そんな人達に都度、干渉してはいられない。
ましてここは小さな町だから。
俺達は宿屋を見つけて入った。
2部屋を俺がとろうとすると節約です、とイルゼさんに3人部屋で良いと言われた。
部屋のベッドに腰かけ、これからの事について話す。
イルゼさんも王都から出たことがないらしい。
組織で教わった範囲では、ここから東に5日くらい行くとアレン領がある。
更にそこから先がアスケル山脈になり、魔界はそこを超えたところにある。
山脈を誰も超えたことがないという事は、超えるメリットがないからだ。
標高は高くても、目的があれば超える人はいる。
未開の地に入る危険を冒してまで、行くとことではないという事か。
「タケシ君、無理しなくていいのよ。魔界に帰れなくても、ひっそりと森の奥で暮らしても良いわ。でもその時はタケシ君も一緒に来てね。私1人ではどちらにしろ人族の中では生きて行けないもの」
「私もイルマさんの意見に賛成です。アスケル山脈を越える危険性を考えたら、人の中に紛れ生きていった方が良いと思います。思い切って追手の掛からない他の国に亡命しましょう」
2人の言っていることも分かる。
危険を冒してまでイルマちゃんは、魔界に戻らなくても良いと言ってくれている。
そして向かった場合は、イルゼさんも危険に巻き込むことを。
どうしたら良いのか、俺にもわからなかった。
普通に歩いて行くと大変なので、2回目のOver Allを使い走っている。
10kmくらいの速度で走って行けば、2時間もかからない。
だがこれもありまり多様出来ない。
なぜなら元々、ステータスが高い人に掛けるのならいいけど、低い人に掛けると負担が多いからだ。
しかし明るい内に町に入りたい俺達は強行したのだった。
所持金は俺の111,600円と、イルゼさんの持ち合わせが少し。
イルゼさんもまさか、こんな事態になるとは思っていなかったので、お金を持ってきていなかった。
後は魔物や魔獣を討伐し、素材を売りながら旅をするしかない。
しばらく走っていると街が見えて来た。
そう言えば俺とイルマちゃんは身分証明がない。
それをイルゼさんに聞くと、心配はないそうだ。
元々、身分証明を持っている人は貴族や商人の様な人達で、一般の人は持っていないそうだ。
でも俺達はこの町の人ではないから、通行料を払えば出入りは問題ないそうだ。
だが問題は服装だ。
イルゼさんはプレートアーマーに腰には高そうなバスターソード。
俺は平民が着る普段着に使い古しのバスターソード。
そしてイルマちゃんは、教会側の関係者ぽい白いローブを着ている。
3人のバランスが悪いのだ。
仕方がないのでイルマちゃんが教会関係者、イルゼさんはメイド兼護衛。
そして俺は従者で、これから王都に向かうという筋書きだ。
「はい次」
門の入口で俺達の順番がやって来た。
「身分証明はあるかい?」
「いいえ、ありません」
「なら1人500円だ」
イルゼさんが対応し、3人分の1,500円を支払った。
すんなりと通れた。
構えていた俺達が馬鹿だった。
門番にすれば毎日、たくさんの人が出入りする。
そんな人達に都度、干渉してはいられない。
ましてここは小さな町だから。
俺達は宿屋を見つけて入った。
2部屋を俺がとろうとすると節約です、とイルゼさんに3人部屋で良いと言われた。
部屋のベッドに腰かけ、これからの事について話す。
イルゼさんも王都から出たことがないらしい。
組織で教わった範囲では、ここから東に5日くらい行くとアレン領がある。
更にそこから先がアスケル山脈になり、魔界はそこを超えたところにある。
山脈を誰も超えたことがないという事は、超えるメリットがないからだ。
標高は高くても、目的があれば超える人はいる。
未開の地に入る危険を冒してまで、行くとことではないという事か。
「タケシ君、無理しなくていいのよ。魔界に帰れなくても、ひっそりと森の奥で暮らしても良いわ。でもその時はタケシ君も一緒に来てね。私1人ではどちらにしろ人族の中では生きて行けないもの」
「私もイルマさんの意見に賛成です。アスケル山脈を越える危険性を考えたら、人の中に紛れ生きていった方が良いと思います。思い切って追手の掛からない他の国に亡命しましょう」
2人の言っていることも分かる。
危険を冒してまでイルマちゃんは、魔界に戻らなくても良いと言ってくれている。
そして向かった場合は、イルゼさんも危険に巻き込むことを。
どうしたら良いのか、俺にもわからなかった。
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