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第2部 外の世界

第24話 立ちふさがる者

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 俺はイルマちゃんを片手で抱き抱え走り出す。
「タケシ様」
「イルマ様」
 メイドのイルゼさんとレーナさんが付いてくる。
 イルゼさんにはお世話になったから、途中まで一緒に切り抜けようか。

「ここを切り抜けます。2人共一緒に行きましょう」
 俺は振り向いて2人にそう言った。

 俺はイルマちゃんを抱えていた手を降ろした。
 そしてイルゼさん達と合流した。
「イルマちゃんをお願いします」

 イルゼさんが驚いた顔をしている。
 まあ見てて、ここからだから。

 俺は走り出す。
 走りながら右手をストレージの中に入れる。
 そして前に立ちはだかるゴブリン群れに、左から右に振り下ろす。

 俺の手には全長1.4mの大剣、クレイモアが握られていた。

 ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、
   ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、

     ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、
  ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、

 ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、ギギギギ、

 俺は剣を振る。
 左から右に、上から下に。
 ただそれだけの動作でゴブリン達が舞う。

 クレイモアは丈夫で重い剣だ。
 その重さで、硬さで相手を叩き切る。
 必要なのは力のみ。
 技は二の次。
 俺のスキル【一騎当4いっきとうし】が、生かされる時が来た。




 す、凄いタケシ様。
 こんなに強かったなんて。
 あの重い剣を振れた時点で、何かを感じていたけど。

 剣の一振りでゴブリン達が、4~5匹飛んで行く。
 まさかこれほどとは。
 イルマ様を守って、このまま王都まで私達と帰りましょう。

 戦闘メイド、イルゼは圧倒的な力を見て心が震えた。




 タケシ君、凄いわ!
 こんなに強かったなんて。
 
 それにあの大剣はなに?
 私の身長くらいあるわよ。
 それを振り回している。

 魔族は力。
 絶対的な力に従う。
 彼は魔族なの?
 魔力のような小手先ではなく、圧倒的な力でゴブリンの群れの中を進んで行く。

 イルマは思う。
 彼となら魔界に帰れるかもしれない。
 来てくれるかしら?
 



 あと少しで森の入口だ。
 そこに待機している人達がいるはずだ。

 森の外までは魔物は出ないと聞く。
 そこまで行けば他の人も助かる。

 イルゼさん達が出たのを確認したら、イルマちゃんと逃げよう。
 
 あと少し、森が開ける。
 出口だ。

 ザザッ。

 俺の足が止まる。
 
 馬車や騎馬が居るはずだった場所には、血だまりになっていた。
 馬は首をねじ切られたかの様に。
 騎士団員は少しずつ、殺されていったかのように目を見開いて死んでいた。
 

 そこには身長3mほどの大柄な魔物の黒い影が。
 はすに構え斧をたずさえている。
 燃えるような赤い眼、突き出た歯。

 俺は危険を感じとっさに鑑定をした。

【スキル・鑑定】
 名前:牛頭人ミノタウロス
 種族:魔物
 年齢:190歳
 HP 300
 MP 80
 攻撃力 H
 防御力 I
 素早さ J
 知力  L
 魔力  L

【スキル】
 斧攻撃

 牛の顔をした高レベルの魔物が待っていた。
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