【完結】聖女戦記物語。結局、誰が聖女役?-魔法より武力と丈夫な体に自信があります-

ジェルミ

文字の大きさ
上 下
17 / 55
第1部 新しい世界

第17話 終生の剣

しおりを挟む
 俺はメイドのイルゼさんに連れられて、騎士団の訓練所にやって来た。
 広さとしては学校のグランドくらいだ。

 そこに2階建ての建物があり、イルゼさんと中に入った。

 ここは寄宿舎なのか入り口にはカウンターがあり、50代の白髭の男の人が居た。
「ガスター様、こんにちは」
「おう、これはビッチェ王女様のところのメイドさんかい。どうしたんだい、こんなところへ」
「実はビッチェ王女様がこちらのタケシ様に、防具と剣をお貸しするようにと言われまして」
「このあんちゃんにか?」
「はい。実は今度、アウルの森の魔物の討伐に付き添いで、行かれることになりまして」
「付き添いね。まっ、詳しい話は聞かないことにするよ」
「ここは騎士団の寄宿舎だ。ここで騎士は寝起きをして訓練に励むんだ。だが防具や剣は騎士用のもので、たいしたものはないぞ」

 あぁ、やっぱり使いまわし品か。
 防具は使用済みなら臭いと嫌だな。

「こっちに来い」
 ガスターさんに言われ俺達は、奥の部屋に入った。

 むっとするような汗の臭いがする部屋だ。
「ここが防具だな」
 そう言われ中を見てみる。
 同じような作りの防具ばかりだ。
「ライトアーマーくらいしかないからな。まあ頭、肩、胸、胴から太腿辺りまで守れるから、ちょつとした攻撃ならこれで十分だろ?」

 俺は汗臭いのを我慢して何着か試着し、サイズの合うものを見つけた。
「次は剣だな、こっちに来い」
 今度は隣の部屋に来た。

「剣はここだな、好きな物を持っていけ。まっ、ろくなものはないがな」
 
 俺はせっかくあるんだからと、鑑定を使い品定めをした。
 どの剣も粗悪品ばかりで、これが騎士団の剣なら大したことは無いと思った。

 手に取ってみても、同じだった。
 そして1つだけ目につく剣があった。
 置いてあると言うよりは、立て掛けてある剣だった。

 【鑑定】
  名前:クレイモア
  全長:1.4mの大剣
  重さ:30kg

  単純に剣身を大型にした大剣
  重さで叩き切る


「この剣はなんですか?」
「これはクレイモアと言って両手持ち用の剣だが、誰も重すぎて振ることが出来ないんだよ」
「随分前に王様がドワーフの鍛冶屋に依頼して作らせたものさ。『丈夫でドラゴンでも倒せる剣』を造るように、てな」
「へえ、見るからに丈夫そうですね」
「確かに丈夫さ。ヒヒイロカネを混ぜて作られた剣だからな。しかも誰がそんな重たい剣を、持って移動できるんだ?だから剣は出来たが、お蔵入りて訳さ」

 そんなに重いのか。
 だがなんとなく、俺なら持てる様な気がした。

「持ってみても、いいですか?」
「あぁ、持てるならな」
 上に向いた柄の部分を掴んだ。
 そして持上げる。

「お、お前。持てるのか?」
「どこかで振れるところは、ないでしょうか?」
「中庭に行こう。着いて来い」

 俺は剣を持ったまま、部屋を出た。
 そして建物から中庭に出た。

「では、いきます」
 シュッ!シュッ!シュッ!
  シュッ!シュッ!シュッ!

 上段、中段、下段と剣を振る。
 
 昔テレビで見た居合の構えを思い出す。

 左足を引き腰を落とし、膝に力を貯めた。
 剣を抜き刀を外側に捻り、抜き放つ瞬間にそのまま刃は水平に振り抜く!

 ザァァァァァァ~!!

 手首を反らしせて柄を握り、二の太刀で首を狙う!

 ヒュン!!

 これは重さと長さと言い、俺に丁度いい。

「す、凄いですわ。タケシ様」
 イルゼさんが驚いている。

「あぁ、まったくだ。振れる奴がいるとは思わなかった。しかも片手でとはな」
「この剣が気に入ったのですが」
「持っていけ、お前の剣だ。誰も使わん、鞘は無いからな」

「はい、ありがとうございます」

 俺は礼を言って、イルゼさんと騎士団の寄宿舎を後にした。

 これでライトアーマーと剣を手に入れた。

 俺の身長は172~3cmくらいだと思う。
 剣の先を下に向け立てると、柄の部分が胸のところまでくる長さだ。
 大剣だがまるで、俺に合わせて作られたような使いやすさだった。

『われ、ここに終生の剣を得る』

 これから起こる多くの危険から、身を守ってくれる剣に出会った日だった。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 読んで頂いてありがとうございます。
 もし面白いと思って頂けたら、★マークまたは❤マークを押して応援して頂けると今後の励みになり、とても嬉しいです。
 また感想やレビューも頂けたら、幸いです。(欲張りですみません)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

完結【清】ご都合主義で生きてます。-空間を切り取り、思ったものを創り出す。これで異世界は楽勝です-

ジェルミ
ファンタジー
社畜の村野玲奈(むらの れな)は23歳で過労死をした。 第二の人生を女神代行に誘われ異世界に転移する。 スキルは剣豪、大魔導士を提案されるが、転移してみないと役に立つのか分からない。 迷っていると想像したことを実現できる『創生魔法』を提案される。 空間を切り取り収納できる『空間魔法』。 思ったものを創り出すことができ『創生魔法』。 少女は冒険者として覇道を歩むのか、それとも魔道具師としてひっそり生きるのか? 『創生魔法』で便利な物を創り富を得ていく少女の物語。 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※カクヨム様にも掲載中です。

【完結】ご都合主義で生きてます。奥様は魔女(中二病)だったのです。-北の森の怠惰な魔女-

ジェルミ
ファンタジー
右手首に布を巻き、左目に黒い眼帯をした白銀色の長い髪の少女の物語。 奥様の名前はパメラ18歳。そして転移者の旦那様の名前はダーリン。 ごく普通の二人は、ごく普通の恋をし、ごく普通の結婚をしました。 ただひとつ違っていたのは、奥様は魔女(中二病)だったのです。 離れている家族と意思の疎通ができ、能力を共有できる【スキル】情報共有。 カスタマイズ可能な時空間魔法ストレージや創生魔法、世界の知識を使いこなしこの世の中を駆け抜ける。 ※このお話は『ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-』のスピンオフです。 前作を読まれていない方でも、楽しめるように書いています。

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

愛すべき『蟲』と迷宮での日常

熟練紳士
ファンタジー
 生まれ落ちた世界は、剣と魔法のファンタジー溢れる世界。だが、現実は非情で夢や希望など存在しないシビアな世界だった。そんな世界で第二の人生を楽しむ転生者レイアは、長い年月をかけて超一流の冒険者にまで上り詰める事に成功した。  冒険者として成功した影には、レイアの扱う魔法が大きく関係している。成功の秘訣は、世界でも4つしか確認されていない特別な属性の1つである『蟲』と冒険者である紳士淑女達との絆。そんな一流の紳士に仲間入りを果たしたレイアが迷宮と呼ばれるモンスターの巣窟で過ごす物語。

【完結】空飛ぶハンカチ!!-転生したらモモンガだった。赤い中折れ帽を被り、飛膜を広げ異世界を滑空する!-

ジェルミ
ファンタジー
俺はどうやら間違いで死んだらしい。 女神の謝罪を受け異世界へ転生した俺は、無双とスキル習得率UPと成長速度向上の能力を授かった。 そしてもう一度、新しい人生を歩むはずだったのに…。 まさかモモンガなんて…。 まあ確かに人族に生まれたいとは言わなかったけど…。 普通、転生と言えば人族だと思うでしょう? でも女神が授けたスキルは最強だった。 リスサイズのモモンガは、赤で統一された中折れ帽とマント。 帽子の横には白い羽を付け、黒いブーツを履き腰にはレイピア。 神獣モモンガが異世界を駆け巡る。 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※カクヨム様にも掲載しております。

処理中です...