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第1部 新しい世界
第8話 召喚失敗
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俺は同郷と言われ無意識に首を傾げていた。
よく見るとイルマ・グライナーと名乗る少女の銀髪の頭から、5cmくらいの2本の黒い角が生えている。
角?
俺は無意識に呟いていた。
「まあ、タケシ様。よくご存じですね。魔族と呼ばれる魔物を従えるものには頭に角が生えていると聞いていますわ」
ビッチェ王女が俺に教えてくれる。
それを見たイルマと名乗る少女の顔色が明らかに変わった。
「ビッチェ王女様。お願いがあります」
「なんでしょうか、イルマ様」
「同郷のタケシ様と2人きりで、お話をしたいのですが駄目でしょうか?」
「そうですね」
ビッチェ王女は渋る。
「お願いします、ビッチェ王女様」
イルマとい言う少女が言った途端、ビッチェ王女の態度が変わった。
「そうね、良いでしょう。積もる話もあるでしょうから。ここは若いお二人で…」
ビッチェ王女は仲人のようなことを言い残し、オバダリア侯爵と侍女2人を連れ部屋を出ていった。
「で、あなたの誰なの?本当のことを言いなさい」
イルマと名乗る少女の言い方が突然変わった。
「誰と言ってもね。君の方こそ誰なんだい。君と俺は同胞ではないけど」
するとイルマは驚いたように目を細め、眉間にしわを寄せ俺を見ている。
よく見ると12~3歳くらい。
ボブカットの銀髪で角が生えており、それを抜かせば普通の可愛い女の子だ。
「う~~ん、う~~ん」
眉間にしわを寄せ俺を見ている。
なにをしているんだ、この子は?
そうだ。
【スキル・鑑定】発動
名前:イルマ・グライナー・タンゼント
種族:魔族
年齢:15歳
性別:女
職業:王女
HP 100
MP 70
攻撃力 N
防御力 N
素早さ M
知力 L
魔力 L
【スキル】
精神系魔法
『charm発動中』
魔族なのか。
角がある以外は俺達と外見は変わらない。
しかし15歳のわりには幼く見えるな。
魔族はみんなそうなのか。
さっきから彼女が俺に向けて行ってるのは、charmか。
でもなぜか俺には効かない。
ステータス値が俺の方が高いからか。
「俺には魅了は効かないみたいだよ。イルマ・グライナー・タンゼントさん」
「なんですって!」
彼女は向かいのソファから、身を乗り出し俺に腕を伸ばした。
思わず腕を掴んだ俺は、その子の手を見ると長い鉤爪が延びていた。
「痛い!」
「あぁ、御免よ。とっさに掴んでしまった」
俺は掴んだ腕を放した。
彼女はソファに座り直し、掴まれた腕をさすっている。
「どうして効かないの?」
「なにが、かな」
「私の魅了がよ!」
「それは俺の方がステータスが上だからではないかな」
「そんなはずはないわ。たかが人間の分際で」
「そんなことよりどうして君がここに居て、同胞と偽っているのか教えてほしいな」
なんだか俺、オジサンみたいな話し方になってないか。
『傀儡の術!』
『影縛り!』
『精神波!』
「え~、そんな」
彼女は俺に何かをしていたらしく、ガッカリしていた。
「わかったわ、認めるから。ステータスはあなたの方が上よ」
魔族は自分より強いものに従う種族だった。
「では、教えてくれないか。どうして君はここに居るんだい」
「私は巻き込まれたのよ、召喚に」
「君は聖女ではなく、俺は君の召喚に巻き込まれてここに居る」
「ではあなたも巻き込まれたの」
「聖女召喚は失敗したのか」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読んで頂いてありがとうございます。
物語は、まったり、のんびりと進みます。
もし面白いと思って頂けたら、♥マークを押して応援頂けると今後の励みになり、とても嬉しいです。
よく見るとイルマ・グライナーと名乗る少女の銀髪の頭から、5cmくらいの2本の黒い角が生えている。
角?
俺は無意識に呟いていた。
「まあ、タケシ様。よくご存じですね。魔族と呼ばれる魔物を従えるものには頭に角が生えていると聞いていますわ」
ビッチェ王女が俺に教えてくれる。
それを見たイルマと名乗る少女の顔色が明らかに変わった。
「ビッチェ王女様。お願いがあります」
「なんでしょうか、イルマ様」
「同郷のタケシ様と2人きりで、お話をしたいのですが駄目でしょうか?」
「そうですね」
ビッチェ王女は渋る。
「お願いします、ビッチェ王女様」
イルマとい言う少女が言った途端、ビッチェ王女の態度が変わった。
「そうね、良いでしょう。積もる話もあるでしょうから。ここは若いお二人で…」
ビッチェ王女は仲人のようなことを言い残し、オバダリア侯爵と侍女2人を連れ部屋を出ていった。
「で、あなたの誰なの?本当のことを言いなさい」
イルマと名乗る少女の言い方が突然変わった。
「誰と言ってもね。君の方こそ誰なんだい。君と俺は同胞ではないけど」
するとイルマは驚いたように目を細め、眉間にしわを寄せ俺を見ている。
よく見ると12~3歳くらい。
ボブカットの銀髪で角が生えており、それを抜かせば普通の可愛い女の子だ。
「う~~ん、う~~ん」
眉間にしわを寄せ俺を見ている。
なにをしているんだ、この子は?
そうだ。
【スキル・鑑定】発動
名前:イルマ・グライナー・タンゼント
種族:魔族
年齢:15歳
性別:女
職業:王女
HP 100
MP 70
攻撃力 N
防御力 N
素早さ M
知力 L
魔力 L
【スキル】
精神系魔法
『charm発動中』
魔族なのか。
角がある以外は俺達と外見は変わらない。
しかし15歳のわりには幼く見えるな。
魔族はみんなそうなのか。
さっきから彼女が俺に向けて行ってるのは、charmか。
でもなぜか俺には効かない。
ステータス値が俺の方が高いからか。
「俺には魅了は効かないみたいだよ。イルマ・グライナー・タンゼントさん」
「なんですって!」
彼女は向かいのソファから、身を乗り出し俺に腕を伸ばした。
思わず腕を掴んだ俺は、その子の手を見ると長い鉤爪が延びていた。
「痛い!」
「あぁ、御免よ。とっさに掴んでしまった」
俺は掴んだ腕を放した。
彼女はソファに座り直し、掴まれた腕をさすっている。
「どうして効かないの?」
「なにが、かな」
「私の魅了がよ!」
「それは俺の方がステータスが上だからではないかな」
「そんなはずはないわ。たかが人間の分際で」
「そんなことよりどうして君がここに居て、同胞と偽っているのか教えてほしいな」
なんだか俺、オジサンみたいな話し方になってないか。
『傀儡の術!』
『影縛り!』
『精神波!』
「え~、そんな」
彼女は俺に何かをしていたらしく、ガッカリしていた。
「わかったわ、認めるから。ステータスはあなたの方が上よ」
魔族は自分より強いものに従う種族だった。
「では、教えてくれないか。どうして君はここに居るんだい」
「私は巻き込まれたのよ、召喚に」
「君は聖女ではなく、俺は君の召喚に巻き込まれてここに居る」
「ではあなたも巻き込まれたの」
「聖女召喚は失敗したのか」
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読んで頂いてありがとうございます。
物語は、まったり、のんびりと進みます。
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