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第14話 筋書き
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私は味方になった鳥羽村のローデリックとヨルを牢から出した。
そしてダニロ公爵から今月分の私の給与900万円をもらった。
その内の500万円をローデリック達に渡し、あることを頼み村に帰らせた。
私達はダニロ公爵の書斎に再び戻り、今後について話し合っているところだ。
ダニロ公爵が先に口を開く。
「まず今回の暗殺の首謀者である西ハイベルト領のハオルド侯爵に、使いを出し抗議文を届けさせまます。そして友好領の南の叔母ダルダルが嫁いでいるサルベリア領、北の母ナンマの実家でもあるナンダン領に応援を頼みます」
「うむ、これで我らの正当性が認められ援軍を出しやすくなる。逆に今回のことは、相手を攻める良い口実になったの」
ダレナン元公爵が、それに答える。
ダニロ公爵の暗殺に失敗したことによりハイベルト領は、ダラクア3連合を相手に戦うことになる。
だがのサルベリア領とナンダン領が賛同するかだ。
実際に領同士の小競り合いは今まであったが、本格的な戦争は今回が初めてとなる。
今は農業の収穫時期となり、それほど兵も出せるとは思えない。
だがそれは相手も同じことだ。
「300人ずつでもサルベリア領と、ナンダン領が兵を出してくれたら十分ね」
私が言えばダレナン元公爵も賛同する。
「そうですな、我が領の兵が1,200人。援軍が600人ですか。出城を落としながら進軍するにはあまりにも少ない…」
「大丈夫よ。私が居ればあなた達が負けることはないわ。攻撃魔法一発で一個小隊は吹き飛ぶわ。大型魔法なら1,000人くらいは一瞬で塵よ。ただし被害は大きく辺り一面火の海になり街は跡形も無くなるけど」
「それは困ります。ですが魔法と言うのは、それほどなのですか?!」
ダニロ公爵が驚き身を乗り出す。
「えぇ、私1人でも時間を掛ければ、この国を殲滅することは出来るわ。ただし生者の居ない荒野にする事になるけどね」
「それはあまりにも…」
「ダニロ公爵、最初にお会いした時に言いましたよね。辺り一面吹き飛ばすなら魔法は便利だが、乱戦には向かないと」
「えぇ、覚えております」
「それに極力、ダニロ公爵達で勝ち進んでほしいのです」
「それはどう言うことでしょうか?」
「私が表に出れば、聖女の力で勝ち進んで行くことになります。それは私が居ないと勝てない軍と言うことになります。困っていれば知恵を貸し、力もお貸ししましょう。ただし私はあくまでも歴史の傍観者でありたいのです」
「自分達の力で国盗りをしろ、ということですね」
「その通りです」
「分かりましたビッチェ様。私達にどうぞお力をお貸しください!!」
そしてこれからのことを話した。
「援軍は必ず来てもらわないと困るわ。賛同する領が多いほどこの戦いを正当化できるから。それなら極秘裏に私のことを言っても構わないわ。そして傍観するなら構わない。だけど最後に残った時に、味方になると言っても受け入れることは出来ない、と伝えてほしいわ」
「どういうことでしょうか?ビッチェ様」
「私達は一度始めたらもう戻れない。戦争になる以上、滅ぼされるか従順になるかこの2つしか相手に認めないと言うことよ」
「それは、あまりにも厳しい」
ダレナン元公爵が顔を曇らせる。
「いいえ、※『神と会えば神を斬り、父母に逢うては父母を殺せ、 情を捨て修羅に入る』、これが覇道を行くと言うことではないでしょうか」
ダニロ公爵がそれに答える。
「目的の為には私情を挟むなと言うことかダニロ…」
「そういうことです。父上」
「わかりました、そのように使いを出だしましょう」
「ではそれに付け加えてください。『わが軍だけでも勝てますが、身内なので参加しませんか』と」
「それはどう言うことでしょうか?ビッチェ様」
サルベリア領と、ナンダン領に援軍を頼みに使いを出す。
援軍が到着するまでに早くて15日。
その間にハイベルト領に暗殺の件で使者を出し、確信犯を捕虜にした事を伝える。
だが認めることは無いだろう。
しかし相手も今回の件が露見したころに気づく。
そしてその時こそハイベルト領との争いとなり、もう引くことはできなくなる。
使者を出しハイベルト領に着き、戻ってくるまで10日。
ハイベルト領が戦の準備をして、出発するのは5日間は掛かるはずだ。
だから攻めてくるとしたら、使いを出した15日後くらいだ。
ハイベルト領からの使者が戻ると同時に、ダラクア領を出陣すれば間に合う。
サルベリア領とナンダン領に援軍の使者を出した5日後に、ハイベルト領へ暗殺の件で使者を出すと丁度いい。
まあ使者を出す前に、援軍を頼むのも変だが戦は避けられない。
近隣の領の手前、合同演習と言うことにすればいい。
たまたま合同演習でダラクア領に来ていた、サルベリア軍とナンダン軍と力を合わせ宣戦布告をしてきたハイベルト領を力を合わせて倒したと言う筋書きだ。
そして私は再度、ダニロ公爵にこの国の戦い方を聞いた。
弓の打ち合いから始まり、槍隊が進軍し最後は白兵戦になると。
そして弓の強さや槍の長さを詳しく聞いた。
ミリアちゃんは格安スマフォで、戦い方を検索している。
この戦いを機に私とミリアちゃんで、新しい戦い方を考えないと。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読んで頂いてありがとうございます。
※「仏に逢うては仏を殺せ、父母に逢うては父母を殺せ」は禅の有名な名言です。
他人に与えられた常識や正解を壊し、すべてを疑い全てに絶望する。
そしてその先に光がある、と言う事らしいです。
解釈は色々あると思いますが。
本文の使い方は本来のものではありません。
覇道を行くと言う例えで使っています。
そしてダニロ公爵から今月分の私の給与900万円をもらった。
その内の500万円をローデリック達に渡し、あることを頼み村に帰らせた。
私達はダニロ公爵の書斎に再び戻り、今後について話し合っているところだ。
ダニロ公爵が先に口を開く。
「まず今回の暗殺の首謀者である西ハイベルト領のハオルド侯爵に、使いを出し抗議文を届けさせまます。そして友好領の南の叔母ダルダルが嫁いでいるサルベリア領、北の母ナンマの実家でもあるナンダン領に応援を頼みます」
「うむ、これで我らの正当性が認められ援軍を出しやすくなる。逆に今回のことは、相手を攻める良い口実になったの」
ダレナン元公爵が、それに答える。
ダニロ公爵の暗殺に失敗したことによりハイベルト領は、ダラクア3連合を相手に戦うことになる。
だがのサルベリア領とナンダン領が賛同するかだ。
実際に領同士の小競り合いは今まであったが、本格的な戦争は今回が初めてとなる。
今は農業の収穫時期となり、それほど兵も出せるとは思えない。
だがそれは相手も同じことだ。
「300人ずつでもサルベリア領と、ナンダン領が兵を出してくれたら十分ね」
私が言えばダレナン元公爵も賛同する。
「そうですな、我が領の兵が1,200人。援軍が600人ですか。出城を落としながら進軍するにはあまりにも少ない…」
「大丈夫よ。私が居ればあなた達が負けることはないわ。攻撃魔法一発で一個小隊は吹き飛ぶわ。大型魔法なら1,000人くらいは一瞬で塵よ。ただし被害は大きく辺り一面火の海になり街は跡形も無くなるけど」
「それは困ります。ですが魔法と言うのは、それほどなのですか?!」
ダニロ公爵が驚き身を乗り出す。
「えぇ、私1人でも時間を掛ければ、この国を殲滅することは出来るわ。ただし生者の居ない荒野にする事になるけどね」
「それはあまりにも…」
「ダニロ公爵、最初にお会いした時に言いましたよね。辺り一面吹き飛ばすなら魔法は便利だが、乱戦には向かないと」
「えぇ、覚えております」
「それに極力、ダニロ公爵達で勝ち進んでほしいのです」
「それはどう言うことでしょうか?」
「私が表に出れば、聖女の力で勝ち進んで行くことになります。それは私が居ないと勝てない軍と言うことになります。困っていれば知恵を貸し、力もお貸ししましょう。ただし私はあくまでも歴史の傍観者でありたいのです」
「自分達の力で国盗りをしろ、ということですね」
「その通りです」
「分かりましたビッチェ様。私達にどうぞお力をお貸しください!!」
そしてこれからのことを話した。
「援軍は必ず来てもらわないと困るわ。賛同する領が多いほどこの戦いを正当化できるから。それなら極秘裏に私のことを言っても構わないわ。そして傍観するなら構わない。だけど最後に残った時に、味方になると言っても受け入れることは出来ない、と伝えてほしいわ」
「どういうことでしょうか?ビッチェ様」
「私達は一度始めたらもう戻れない。戦争になる以上、滅ぼされるか従順になるかこの2つしか相手に認めないと言うことよ」
「それは、あまりにも厳しい」
ダレナン元公爵が顔を曇らせる。
「いいえ、※『神と会えば神を斬り、父母に逢うては父母を殺せ、 情を捨て修羅に入る』、これが覇道を行くと言うことではないでしょうか」
ダニロ公爵がそれに答える。
「目的の為には私情を挟むなと言うことかダニロ…」
「そういうことです。父上」
「わかりました、そのように使いを出だしましょう」
「ではそれに付け加えてください。『わが軍だけでも勝てますが、身内なので参加しませんか』と」
「それはどう言うことでしょうか?ビッチェ様」
サルベリア領と、ナンダン領に援軍を頼みに使いを出す。
援軍が到着するまでに早くて15日。
その間にハイベルト領に暗殺の件で使者を出し、確信犯を捕虜にした事を伝える。
だが認めることは無いだろう。
しかし相手も今回の件が露見したころに気づく。
そしてその時こそハイベルト領との争いとなり、もう引くことはできなくなる。
使者を出しハイベルト領に着き、戻ってくるまで10日。
ハイベルト領が戦の準備をして、出発するのは5日間は掛かるはずだ。
だから攻めてくるとしたら、使いを出した15日後くらいだ。
ハイベルト領からの使者が戻ると同時に、ダラクア領を出陣すれば間に合う。
サルベリア領とナンダン領に援軍の使者を出した5日後に、ハイベルト領へ暗殺の件で使者を出すと丁度いい。
まあ使者を出す前に、援軍を頼むのも変だが戦は避けられない。
近隣の領の手前、合同演習と言うことにすればいい。
たまたま合同演習でダラクア領に来ていた、サルベリア軍とナンダン軍と力を合わせ宣戦布告をしてきたハイベルト領を力を合わせて倒したと言う筋書きだ。
そして私は再度、ダニロ公爵にこの国の戦い方を聞いた。
弓の打ち合いから始まり、槍隊が進軍し最後は白兵戦になると。
そして弓の強さや槍の長さを詳しく聞いた。
ミリアちゃんは格安スマフォで、戦い方を検索している。
この戦いを機に私とミリアちゃんで、新しい戦い方を考えないと。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読んで頂いてありがとうございます。
※「仏に逢うては仏を殺せ、父母に逢うては父母を殺せ」は禅の有名な名言です。
他人に与えられた常識や正解を壊し、すべてを疑い全てに絶望する。
そしてその先に光がある、と言う事らしいです。
解釈は色々あると思いますが。
本文の使い方は本来のものではありません。
覇道を行くと言う例えで使っています。
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