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第10話 あるいは
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私はダラクア領の街を目指し馬車に揺られている。
のどかな田園地帯で、土地が豊かなのが分かる。
そして街に使づくにつれ思うことがあった。
「ダニロ公爵、その国の人種問題はどうでしょうか?」
「人種問題ですか?」
「えぇ、外見による差別とかはないのですか」
「身分格差はありますが、容姿によっての差別はありません」
「では異種族とは仲良くやっているのですね」
「異種族?ああ、遠方の遊牧民でしょうか?関わることがありませんから」
異種族がいない?
「例えば私達人族と容姿の違う種族はいないのでしょうか?」
「あぁ国によっては、肌の色や体格差がある種族もいますね。ですが人以外の人種なんていませんよ。出てくるのはおとぎ話くらいでしょう」
ここはエルフやドワーフなどの種族はいない、人族だけの世界なのね。
「ダニロ公爵、あれはなんでしょうか?」
進む方向に小さな城が見える。
「出城のことでしょうか?」
「出城ですか?」
「はい、敵が侵入する可能性が高い場所に、厳重な出城を築くのです。そして出城を落とさないと、領の中心に進むことは出来ないため、戦いの要になります」
「そうですか、初めて見ました」
「出城は敵を領に入れない様に食い止めその間に援軍を呼べばいいので、建物が強固であれば常駐する兵は500人いれば良いのです」
「500人ですが。それでは東西南北に建てると、2,000人は必要となりますね」
「えっぇ、そうです。ですから他領を攻めるほど、兵に余裕がないのです」
「今の倍の人口にならないと無理ですね、では早めに事を起こしましょうか?」
「事を起こす?」
「えぇ、そうです。早めに手を打てば、それだけ早く結果がでるから。街に着いたらさっそく会議をしましょうか?」
「分かりました。ビッチェ様」
「お父様、なんだかビッチェ様の部下みたい」
10歳の娘、ダリダ様に言われてしまう。
「はは、ダリダ。その通りだよ。私はもう聖女ビッチェ様の部下も同然さ」
「聖女呼ばわりは私は好きではないんだけど。まあ良いわ、これから結果がでれば聖女の名を大いに使って評判を高めるのも良いわね」
そんな話をしながら馬車は進む。
しばらくするとダラクア領の街が見えて来た。
そしてビッチェは、あることに気づいた。
街に城壁がないのだ。
ビッチェが居た世界では魔物がおり、城壁が無いと安心して暮らせない。
だがこの世界は魔物はおらず、外敵となるのは同じ人間。
領の道筋となる入口に出城を築いておけば、それだけで敵の牽制になる。
出城に守られているから街には城壁は必要ない。
こんな暮らしもあるのだとビッチェは思った。
街中に入りしばらく進むと、大きなお屋敷が見えてきた。
屋敷の塀は3mくらいあり、その奥に大きなお屋敷の屋根が見える。
門番が恭しく門を開け、馬車は進む。
執事やメイドが14~15人くらい待っており、左右に並び馬車を迎える。
私達は馬車を降りた。
「「「 お帰りなさえませ公爵様!! 」」」
従業員に迎えられ私も馬車から降りる。
「お帰りなさいませ、お父様!!」
声のした方を見ると父親似の銀色の髪をした、12~3歳の男の子が居る。
「ただいま、ダレレ」
ダニロ公爵は息子に声を掛ける。
「サルベリアの領会議はどうであった?!」
側に居た50歳くらいの紳士が聞いてくる。
「はい父上、順調でしたが帰りに襲われました」
「な、なんだと?!」
「まぁ!!なんと言うことでしょう」
横に居た40代後半の女性が、驚きの声を上げ手で口を押さえる。
「それで怪我はないのか?!」
「はい、賊に脇腹を刺されまして…」
「脇腹を刺されたですって?!」
「母上、心配なさらないでください。賊は殲滅しビッチェ様に助けて頂きました」
「ビッチェ様?!」
私は公爵の母親と思われる女性に軽く頭を下げた。
「旦那様、皆様お疲れだと思いますので中に入られてから…」
「あぁ、そうだなセバスクン。屋敷の中に入ろう」
私達は屋敷の中に入った。
「ビッチェ様、用意が出来たらお呼びしますので、それまで部屋でお寛ぎください」
ダニロ公爵にそう言われ、私はメイドに案内され個室に入る。
私は椅子に腰かける。
「ミリアちゃん、大丈夫?!」
「大丈夫よ」
のそのそと私のポーチからミリアちゃんが顔を出す。
「ふぅ~、なんとか魔力は戻ったわ。しかしこんな世界があるなんて知らなかった」
「元の世界には帰れないの?」
「ごめんねビッチェ。この世界には数えきれないほどの世界が背中合わせにあるわ。その中から1つを捜して、次元の道を繋げるなんて私には無理なのよ」
「気にしないで。私はミリアちゃんと一緒ならどこでも良いわ」
「うぅ~、ビッチェ~!!でもこれから私はビッチェから、少しずつ魔力をもらいながら生きないといけないから複雑だわ」
「どう言うこと?」
「だから言ったでしょ。この世界は魔素が極端に薄いから、妖精の私は魔素がないと生きていけないのよ。だからビッチェの持っている魔素を側に居て、少しずつもらうしかないの」
「そして魔力枯渇にも、気と付けないといけないのね」
「そうよ、倒れたら意識がなくなるもの。でもさっきの枯渇した感覚を覚えておけば、次は分かるでしょ?ここまで使うと倒れる、て」
「まあ、そうだけど」
「それに一晩したら魔力は回復していくわ。その回復力を利用してこれから毎日、魔力を少しずつストレージに溜めていくのよ」
「魔力を溜める?」
「そうよ。そうすればいざと言う時、ストレージの魔力を使うことができるわ」
「分かったわ。魔力がいっぱいになったらそうするわ。それからこれからのことなんだけど、国作りを約束してしまって…」
「なんですって?!まったくあなたは!!」
「だって、私達もこの国で生活していくことになるのよ。それなら平和な世の中にしたいわ」
「仕方がないわね~。それなら私が教えてあげようかな~」
「ありがとう、さすがミリアちゃんね!!」
この世界は背中合わせに、たくさんの世界がある。
ミリアは今まで神になるため、そのたくさんの世界を旅してきた。
その中に面白い世界があった。
特に好きなのは時代劇や戦国時代、漫画、アニメ、ゲームそれにファンタジー。
その世界は特殊でネットなるものを繋げば、どんなに離れていても自分の望むものを調べたり見ることができ、対価を払えば欲しいものが手に入る便利な世界だった。
最近では独占禁止法ができその事業も、1社だけではなく複数の会社が参入できるようになった。
格安スマフォなるものができ、使用料を払えば異世界でも使えるようになった。
ミリアの支払い方法はストレージ内にある、今まで倒した魔物の肉や魔石だ。
その世界で需要が無くても、他の世界で需要があれば価値が付く。
どこかの知らない世界で、魔物の肉や魔石が販売されているのかもしれません。
あなたの近所のスーパーで売られている、その特売の肉。
本当に牛ですか?
ちょっといつもと色が違いませんか?
あるいは異世界の……。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読んで頂いてありがとうございます。
今回はオチをSF風にしてみました。
まあ、オチが必要かはわかりませんが…。
のどかな田園地帯で、土地が豊かなのが分かる。
そして街に使づくにつれ思うことがあった。
「ダニロ公爵、その国の人種問題はどうでしょうか?」
「人種問題ですか?」
「えぇ、外見による差別とかはないのですか」
「身分格差はありますが、容姿によっての差別はありません」
「では異種族とは仲良くやっているのですね」
「異種族?ああ、遠方の遊牧民でしょうか?関わることがありませんから」
異種族がいない?
「例えば私達人族と容姿の違う種族はいないのでしょうか?」
「あぁ国によっては、肌の色や体格差がある種族もいますね。ですが人以外の人種なんていませんよ。出てくるのはおとぎ話くらいでしょう」
ここはエルフやドワーフなどの種族はいない、人族だけの世界なのね。
「ダニロ公爵、あれはなんでしょうか?」
進む方向に小さな城が見える。
「出城のことでしょうか?」
「出城ですか?」
「はい、敵が侵入する可能性が高い場所に、厳重な出城を築くのです。そして出城を落とさないと、領の中心に進むことは出来ないため、戦いの要になります」
「そうですか、初めて見ました」
「出城は敵を領に入れない様に食い止めその間に援軍を呼べばいいので、建物が強固であれば常駐する兵は500人いれば良いのです」
「500人ですが。それでは東西南北に建てると、2,000人は必要となりますね」
「えっぇ、そうです。ですから他領を攻めるほど、兵に余裕がないのです」
「今の倍の人口にならないと無理ですね、では早めに事を起こしましょうか?」
「事を起こす?」
「えぇ、そうです。早めに手を打てば、それだけ早く結果がでるから。街に着いたらさっそく会議をしましょうか?」
「分かりました。ビッチェ様」
「お父様、なんだかビッチェ様の部下みたい」
10歳の娘、ダリダ様に言われてしまう。
「はは、ダリダ。その通りだよ。私はもう聖女ビッチェ様の部下も同然さ」
「聖女呼ばわりは私は好きではないんだけど。まあ良いわ、これから結果がでれば聖女の名を大いに使って評判を高めるのも良いわね」
そんな話をしながら馬車は進む。
しばらくするとダラクア領の街が見えて来た。
そしてビッチェは、あることに気づいた。
街に城壁がないのだ。
ビッチェが居た世界では魔物がおり、城壁が無いと安心して暮らせない。
だがこの世界は魔物はおらず、外敵となるのは同じ人間。
領の道筋となる入口に出城を築いておけば、それだけで敵の牽制になる。
出城に守られているから街には城壁は必要ない。
こんな暮らしもあるのだとビッチェは思った。
街中に入りしばらく進むと、大きなお屋敷が見えてきた。
屋敷の塀は3mくらいあり、その奥に大きなお屋敷の屋根が見える。
門番が恭しく門を開け、馬車は進む。
執事やメイドが14~15人くらい待っており、左右に並び馬車を迎える。
私達は馬車を降りた。
「「「 お帰りなさえませ公爵様!! 」」」
従業員に迎えられ私も馬車から降りる。
「お帰りなさいませ、お父様!!」
声のした方を見ると父親似の銀色の髪をした、12~3歳の男の子が居る。
「ただいま、ダレレ」
ダニロ公爵は息子に声を掛ける。
「サルベリアの領会議はどうであった?!」
側に居た50歳くらいの紳士が聞いてくる。
「はい父上、順調でしたが帰りに襲われました」
「な、なんだと?!」
「まぁ!!なんと言うことでしょう」
横に居た40代後半の女性が、驚きの声を上げ手で口を押さえる。
「それで怪我はないのか?!」
「はい、賊に脇腹を刺されまして…」
「脇腹を刺されたですって?!」
「母上、心配なさらないでください。賊は殲滅しビッチェ様に助けて頂きました」
「ビッチェ様?!」
私は公爵の母親と思われる女性に軽く頭を下げた。
「旦那様、皆様お疲れだと思いますので中に入られてから…」
「あぁ、そうだなセバスクン。屋敷の中に入ろう」
私達は屋敷の中に入った。
「ビッチェ様、用意が出来たらお呼びしますので、それまで部屋でお寛ぎください」
ダニロ公爵にそう言われ、私はメイドに案内され個室に入る。
私は椅子に腰かける。
「ミリアちゃん、大丈夫?!」
「大丈夫よ」
のそのそと私のポーチからミリアちゃんが顔を出す。
「ふぅ~、なんとか魔力は戻ったわ。しかしこんな世界があるなんて知らなかった」
「元の世界には帰れないの?」
「ごめんねビッチェ。この世界には数えきれないほどの世界が背中合わせにあるわ。その中から1つを捜して、次元の道を繋げるなんて私には無理なのよ」
「気にしないで。私はミリアちゃんと一緒ならどこでも良いわ」
「うぅ~、ビッチェ~!!でもこれから私はビッチェから、少しずつ魔力をもらいながら生きないといけないから複雑だわ」
「どう言うこと?」
「だから言ったでしょ。この世界は魔素が極端に薄いから、妖精の私は魔素がないと生きていけないのよ。だからビッチェの持っている魔素を側に居て、少しずつもらうしかないの」
「そして魔力枯渇にも、気と付けないといけないのね」
「そうよ、倒れたら意識がなくなるもの。でもさっきの枯渇した感覚を覚えておけば、次は分かるでしょ?ここまで使うと倒れる、て」
「まあ、そうだけど」
「それに一晩したら魔力は回復していくわ。その回復力を利用してこれから毎日、魔力を少しずつストレージに溜めていくのよ」
「魔力を溜める?」
「そうよ。そうすればいざと言う時、ストレージの魔力を使うことができるわ」
「分かったわ。魔力がいっぱいになったらそうするわ。それからこれからのことなんだけど、国作りを約束してしまって…」
「なんですって?!まったくあなたは!!」
「だって、私達もこの国で生活していくことになるのよ。それなら平和な世の中にしたいわ」
「仕方がないわね~。それなら私が教えてあげようかな~」
「ありがとう、さすがミリアちゃんね!!」
この世界は背中合わせに、たくさんの世界がある。
ミリアは今まで神になるため、そのたくさんの世界を旅してきた。
その中に面白い世界があった。
特に好きなのは時代劇や戦国時代、漫画、アニメ、ゲームそれにファンタジー。
その世界は特殊でネットなるものを繋げば、どんなに離れていても自分の望むものを調べたり見ることができ、対価を払えば欲しいものが手に入る便利な世界だった。
最近では独占禁止法ができその事業も、1社だけではなく複数の会社が参入できるようになった。
格安スマフォなるものができ、使用料を払えば異世界でも使えるようになった。
ミリアの支払い方法はストレージ内にある、今まで倒した魔物の肉や魔石だ。
その世界で需要が無くても、他の世界で需要があれば価値が付く。
どこかの知らない世界で、魔物の肉や魔石が販売されているのかもしれません。
あなたの近所のスーパーで売られている、その特売の肉。
本当に牛ですか?
ちょっといつもと色が違いませんか?
あるいは異世界の……。
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