4 / 10
第4話 私は魔女
しおりを挟む
はあ、はあ、はあ、はあ
私は私は顔を上げた。
疲れたわ。
でもまた新しいことをやりとげた達成感があるわ。
「もう良いわよ。ソフィアちゃん」
「終わったの、お姉ちゃん」
「えぇ、一通り考えられることはしたわ」
「治ったの?」
「そうね、後はお母さんの体力次第だね」
「う、う、ありがとう。パメラお姉ちゃん」
「本当でしょうか!私は治ったのでしょうか」
「えぇ、治ったはずよ」
「あ、ありがとうございます。なんとお礼を言ったら良いのか」
うぇ~~~ん!!
今まで我慢していたのか、ソフィアちゃんが泣きだした。
「ソフィア、今までごめんね」
「お母さ~~ん」
エリーナさんはソフィアちゃんを抱きかかえている。
「でも安心しないでね。免疫力の低下や栄養状態の悪化などが重なると、また同じ病気になるから」
「ど、どういう事でしょうか?」
「今回の原因は栄養が足りなくなり、免疫力が下がり悪い菌に感染した、てことね」
「はあ?」
「つまり美味しいものをたくさん食べて、体力を回復しないと駄目だと言う事よ」
「で、ですが、そんなお金は我が家にはありません」
「あるわよ」
「えっ、どこにでしょうか」
「ここ!」
私は肩から下げているポーチを叩いた。
「それは、どう言う」
「実はソフィアちゃんとは、森で出会って」
「森で、でしょうか?」
「そう丁度、お母さんにあげる薬草を探している時に、サーベルウルフの群れに見つかり追われていてね」
「な、なんていう無茶な事を、この子は」
「そこに私が通りかかり、サーベルウルフの群れを倒したのよ」
「倒したですって?サーベルウルフの群れをですか」
「そうだよ」
「お姉ちゃんが親指と人指し指を立てたら、パン、パン、て音がしてサーベルウルフが吹き飛んだのよ」
「吹き飛んだ、て。パメラさんは魔法使いなのでしょうか?」
はい?
今までの流れでそれを言いますか?
貴方を直したのも、魔法ですよ。
はっ!
エリーナさんが突然、思い付いたようにベッドから降り、両手を胸の前で組み跪いた。
「聖女様!」
あっ、またこれなの。
「ち、違います、エリーナさん。さあベッドに戻って」
私はエリーナさんをベッドに座らせた。
「ソフィアちゃんにも言いましたが、私は既婚者なので聖女ではないのよ」
しばらくエリーナさんは、きょとんとした顔をしていたがあぁ、と言って頷いた。
「お母さん、どうして結婚してると聖女様になれないの?ソフィアにも教えて」
「あなたがもう少し大人になったらね」
エリーナさんは優しく微笑んで、ソフィアちゃんの頭を撫でた。
「さっきの話だけど結果として、ソフィアちゃんがおとりになって引きつけた、サーベルウルフが13匹だから半分取り分をあげるわ」
「助けて頂いた上にどうして、そこまでして頂けるのでしょうか?」
どうしてだろう?
パメラ達家族はお金に困らないほど、生活に余裕があった。
ただそれだけ。
自分に余裕があってこそ、他人に目を向ける思いやりの気持ちが持てるからだ。
「なんとなくよ。金は天下の回りものて言うでしょ」
「か、かねは天下の、なんでしょうか」
分かる訳がなかった。
「パメラお姉ちゃんはマジック・バッグを持っているのよ~。そこにサーベルウルフを仕舞ったの」
「マジック・バッグの様な高価な物まで、お持ちなのですね」
「お姉ちゃんのマジック・バッグは、旦那様から(能力を)もらったんだって」
「それはパメラ様はもしかしたら、どこかの高貴な貴族の方でしょうか?」
「やめてよ、パメラ様なんて。ガラじゃない。私は魔女よ」
「魔女ですか」
「お姉ちゃん、かっこいい」
「でへでへへへ」
中二病を病んでいるパメラには、魔女という響きがとてもカッコよく思えた。
だが旦那様の知識を吸収しすぎて、常識とはズレていることに気づかなかった。
私は私は顔を上げた。
疲れたわ。
でもまた新しいことをやりとげた達成感があるわ。
「もう良いわよ。ソフィアちゃん」
「終わったの、お姉ちゃん」
「えぇ、一通り考えられることはしたわ」
「治ったの?」
「そうね、後はお母さんの体力次第だね」
「う、う、ありがとう。パメラお姉ちゃん」
「本当でしょうか!私は治ったのでしょうか」
「えぇ、治ったはずよ」
「あ、ありがとうございます。なんとお礼を言ったら良いのか」
うぇ~~~ん!!
今まで我慢していたのか、ソフィアちゃんが泣きだした。
「ソフィア、今までごめんね」
「お母さ~~ん」
エリーナさんはソフィアちゃんを抱きかかえている。
「でも安心しないでね。免疫力の低下や栄養状態の悪化などが重なると、また同じ病気になるから」
「ど、どういう事でしょうか?」
「今回の原因は栄養が足りなくなり、免疫力が下がり悪い菌に感染した、てことね」
「はあ?」
「つまり美味しいものをたくさん食べて、体力を回復しないと駄目だと言う事よ」
「で、ですが、そんなお金は我が家にはありません」
「あるわよ」
「えっ、どこにでしょうか」
「ここ!」
私は肩から下げているポーチを叩いた。
「それは、どう言う」
「実はソフィアちゃんとは、森で出会って」
「森で、でしょうか?」
「そう丁度、お母さんにあげる薬草を探している時に、サーベルウルフの群れに見つかり追われていてね」
「な、なんていう無茶な事を、この子は」
「そこに私が通りかかり、サーベルウルフの群れを倒したのよ」
「倒したですって?サーベルウルフの群れをですか」
「そうだよ」
「お姉ちゃんが親指と人指し指を立てたら、パン、パン、て音がしてサーベルウルフが吹き飛んだのよ」
「吹き飛んだ、て。パメラさんは魔法使いなのでしょうか?」
はい?
今までの流れでそれを言いますか?
貴方を直したのも、魔法ですよ。
はっ!
エリーナさんが突然、思い付いたようにベッドから降り、両手を胸の前で組み跪いた。
「聖女様!」
あっ、またこれなの。
「ち、違います、エリーナさん。さあベッドに戻って」
私はエリーナさんをベッドに座らせた。
「ソフィアちゃんにも言いましたが、私は既婚者なので聖女ではないのよ」
しばらくエリーナさんは、きょとんとした顔をしていたがあぁ、と言って頷いた。
「お母さん、どうして結婚してると聖女様になれないの?ソフィアにも教えて」
「あなたがもう少し大人になったらね」
エリーナさんは優しく微笑んで、ソフィアちゃんの頭を撫でた。
「さっきの話だけど結果として、ソフィアちゃんがおとりになって引きつけた、サーベルウルフが13匹だから半分取り分をあげるわ」
「助けて頂いた上にどうして、そこまでして頂けるのでしょうか?」
どうしてだろう?
パメラ達家族はお金に困らないほど、生活に余裕があった。
ただそれだけ。
自分に余裕があってこそ、他人に目を向ける思いやりの気持ちが持てるからだ。
「なんとなくよ。金は天下の回りものて言うでしょ」
「か、かねは天下の、なんでしょうか」
分かる訳がなかった。
「パメラお姉ちゃんはマジック・バッグを持っているのよ~。そこにサーベルウルフを仕舞ったの」
「マジック・バッグの様な高価な物まで、お持ちなのですね」
「お姉ちゃんのマジック・バッグは、旦那様から(能力を)もらったんだって」
「それはパメラ様はもしかしたら、どこかの高貴な貴族の方でしょうか?」
「やめてよ、パメラ様なんて。ガラじゃない。私は魔女よ」
「魔女ですか」
「お姉ちゃん、かっこいい」
「でへでへへへ」
中二病を病んでいるパメラには、魔女という響きがとてもカッコよく思えた。
だが旦那様の知識を吸収しすぎて、常識とはズレていることに気づかなかった。
1
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる