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第二章 15歳、学術学院魅惑のイッチ年生時代
怖くないよ、ただふわふわ揺蕩うだけ
しおりを挟む『白い海岸の見える別荘に籠り、やがて燦々煌めく夜月の下。
海に行って、君と貝殻を拾い、合わせたい』
そうやって好く内に、どんどん重なり合う寒色。最年少にして期待の新星であり、最も輝かしい傑作。
彼女にとって、音楽は日常で、旋律は鼓動。絵画はずる賢い友で、文字は安上がりな表現技法。
一度「内」に入りさえすれば、意外にも親しみやすい私たち。
「おまたすーすーして、落ち着かない? 大丈夫だよ、そんなコト…直ぐに『どうでもよく』なるから」
淘汰された過去を脳の片隅に追いやり、溢れんばかりの思いを結んだら、貴女になった気がした。
「おまんこも、その周りも、始めて他人に触れられてびっくりしちゃってるね。リラックス、リラックス、力抜いて? ……君の場合、ちょっと抵抗あるかもけれど」
真っ白な両脚を開いて、俺の脚に絡ませて、『よしよし』甘やかし易いよう、おまた ぱかー♡
「……って、して? そう上手」
「ぅっ~~~、」
優しい声であやしつつ。
それは快楽、生まれながらの加虐で、傲慢。身分社会を前に多少取り繕えようと、結局はロクでもない人間共。
いくら第一性の力差の違いがあれど、仮にもSubがそういった世の支配者たるDomを抑え込むなんて、余程の例外的嗜好を持つ相手方でもない限り、本来ならば「ほぼありえない」と断言できるような話で……情景だった。
『私が「受け入れたら」、これからの学園生活、少しは安心できる……?」』
……だから、天国と地獄を同時に味わったあの日を境に、それだけ『許されている』のだと思うと、化物染みた熱が身体のそこかしこから湧き上がり、その量だけ、ココまで我慢してきた時だけ、堪らない気持ちにもなる。
「俺が…こうして、おまたくちゅくちゅ、おまんこ『よしよし』してる間、いい子にできるかな…?」
「ッ! ん、……っ」
然し、それでも場所が場所、体位が体位だけに、相手の顔が見えないのは虚しく、至極残念ではあるが。
………………………………でもマァ。
その分暴走せず、唯一無二に可愛い人の初めてを存分に堪能、甘やかし、『気持ちよくさせる』ことに集中できる。
「ほら、始めは指の腹で すり♡ すり…♡ って、優しく撫でて…。よしよーし、怖くないよ、気持ちいいだけだよ~って、何時も君がシてくれている様に、これから俺がいっぱい、」
———と、思えば。
いや、寧ろそう思うことでしか、レオは今にも爆発しそうな興奮やら熱やらを何とか堪え。数年恋焦がれてきたDom、大好きな女の子……そして、未来の嫁を怖がらせては元も子もない、と。
然し、そんな崩壊間近な最後の理性をいくら繋ぎ合わせるも、ほぼ無自覚なまま……男は。
「いーぱい、『お世話』して。今までの分まで甘えさせてあげる、ね?」
「…ぁ!? んぅ、っ!!」
戸惑いガチな蜜のような声に脳を揺さぶられ溶かされ、膝上の重みに愛おしさが募り、隙なくくっついた背から伝わる強張りすら……あの頃以上に、一度知ってはもう戻れない。
この泣きたくなるほど可愛い女の子は一体、俺をどうしたいのだろう。
にやけそうになる顔を、何とか引き締め。
「ふふ、嬉しいなぁ、君の家族が、君が俺を受け入れてくれてすっごく、死ぬほど嬉しい。特に君のことが病的なまで大好きなお義兄様相手に、"頑張った"甲斐があったよ…」
と。
それは今から好きな相手と情事を致すには、余りも積年の重みのある、しんみりとした声だった。
「あ、ン、んん?」
「いや、何でもない。ふふ、始めてなのに、おまんこをこうして一寸よしよし、なでなでするだけで、こんなに大人しくなっちゃって……可愛い。何時も俺にあんだけ、思う存分 あんあん♡ 喘いでって言ってくるクセに、自分じゃあ声聞かれるの、恥ずかしい…?」
「!! だってぇ」
時間・労力・メンタル共々、失われたものは大きい。
然し、その代わり。こうして得たモノが比べようもない結果をもたらしてくれたのだから、今更になってもう何も言うまい、そして思い出したくもない……外堀戦略。
緊張、高揚 ぐちぐち、ぐちゅ♡ っと、狭く、閉鎖的な空間に木霊す堕落的な水音。
結局いつの世も男の原動力は性欲で、拗らせていようといまいと、恋飛ばしの愛は最狂だっただけの話だ。
「ほらもう、可愛らしい、機嫌直して、俺を、俺だけを感じて?」
「うっ、ぅうう」
初めこそは嫌々首を振っていようも、今では大して嫌がりもせず自分の指を、恥部への愛撫を受け入れている。
気位の高い猫がようやくの思いで懐き、現実では到底、そんな健全な行為ではないが……。
「可愛い、どこもかしこも綺麗で可愛い、かわいい。すべすべしてて、ぷにぷにしてて、男知らずの可愛いおまんこ…♡ もっと気持ちよく、甘く鳴けるよう」
「いちいち声にしなッ、ゃあ、め……っ、」
それでも、今まで。
それどころか今でも、普段はあれ程つれない素振りをするも、いざ「こうする」と満更でもない愛猫の喉を擽っている様なときめき。
基本的に『世話好き』のSubとしてではなく。
……いや、多分それ故も多少あれど……それ以上のナニカを、男は一人の雄として、その味をしめていた。
で、
「俺の唯一無二、この世で最も愛おしい可愛い人。いっぱい甘やかしてあげる……! なでなで、よしよし、明後日までに全身くまなくマーキングして、俺が君のであるように、この子も、オフィーリアも俺のもんだって…———徹 底 的 に『お世話』してあげるから」
ね。
……例え世界が変わっても、この界隈の様式美の一つ。
今。
もしこの「レオ・カイラル・ド・クリシス」という男の顔・容姿がどこぞの誰か曰く「自他共々、ファンタジー産やべぇ……これだから、さすイセは(歓喜)」でなければ。
(コイツは私に感謝すべき)
……今の発言どころか、先ほどの病みだけで、荷が重い。
普通の相手、ただの婦女子では、恐怖を煽るだけの話。
こんなあんあん、にゃあにゃあ濡れる云々以前の展開となっていたであろう。
(だから、レオくんは普通の子より、理解のある私に感謝すべき)
なので、オフィーリアの名誉の弁明のために、言うなれば。
とどのつまり、例え彼女でなくとも、何時の時代だって人類、強いてはカミサマだって『美しいモノ』を好み、俗に言う余程のB専や某世界観でもない限り、よわよわ。
一度でも、一回でも、あるラインを越えてしまうと、後に残るは羞恥心、矜持というよりかは僅かの罪悪感と「ハイ、喜んで」だったり。
「……いくらSubでも、俺にも限界はあるんだ」
「?」
「ずっと、君を一目見たあの時から今日まで、本当にずっと、我慢してきた……我ながら上手く抑えてきたと思うよ」
なかったり。
する。
……んだよな、これが。
「えっ……あ……♡」
怖いハズ。
なのに、思わずドキッとしてしまう。
……今までワンコだと思っていた相手の、まさかのギャップ。
然し、身体が強張るのと同時に、このねっとり絡みつくような男の声、剥き出しの獣性。
煮えぎった欲情……そして、何よりこの———噛み合わない、話の通じない愛情表現。
の体現表現と言えば。
ソレ、即ち。
「うん? っと、そんなにビクってして、どうしたの…? 怖くない怖くない、俺の愛撫、なでなで、きもちいいでしょ……??」
「っあ! ~ッ…ぁ、ぅ……♡」
「うーん、これは…可愛いけれど、この程度、こんなのでこうもびくびくされると、大丈夫かなって、先が思いやられるなぁ」
ヤンデレである。
つまりは、命大事に。
可愛い我が身でさえなければ、みんな大好きなあのジャンルである。
……なので、思うに。
「ようやく…。この腕で君を抱けるなんて、俺ね、今すっごくシアワセ」
しかも(多分)相当拗れている……!!
いくらイケメンであろうと、リアル。そんな相手に好かれるなんてメリーバッドエンドへの片道切符、不幸、恐怖のハジマリ以外の何でもないのだけれども。
(私は、違う……)
それだけ、やべぇヤツが違う、若しくは今まで考えだにしなかった間違った方向性で、これまたやべぇ本性を前ぶりなく(?)曝け出して来たら普通、誰だって怯えるはずだ。
(然し、私は違う……)
危ない奴は、結局どこに行っても危ない奴。
そう。
普通なら、ダレだって「知らない」に対し、怖がったり、ビビるのは至極当然、当たり前なのである。
が。
「この綺麗な首筋も、形のいい耳も、」
嘗ての性で数多の男を攻略し(ゲームの話)、数多の人間をジャンル問わず片っ端から読み漁って来た(書籍の話)、私に死角はない。
なので、
(このイケメンは私に感謝)
すべき……。
と思う今日この頃。
いくら傍から見たら怖くとも、ソレを拗らせている当事者からすれば。きっとコレは、ただの愛情表現の一環なのであろう……。
でも、だからと言って。
チュプ、
グチュッ♡ と。
知っているのと、我が身でリアル体験しているのとでは別の話であるし……元より人の許容量は無限ではないのだ。
「ふぁっ!?」
「可愛い声も」
「やっ…ちょっ」
「こっち、見て」
「……んえぇ?」
なので。
だから、別にいいよね?
そう言わんばかりな態度。
……いきなり耳に舌を捻じ込まれ、その次に、そのままの流れで口を塞がれ、舌の付け根まで余すことなく蹂躙され……。
例え怒涛の現実に心は取り残されるも、体は正直……で、そうやって甘やかされる内、多少解れつつあったオフィーリアの体が。
今ので、もっと強張った。
……のは言うまでもない。
然し、その一方どこ口が、この程度と。
まだ理性を保っている様子ではあるが、好いた雌の味を知り、ガタが外れた雄の手が止まるハズもなく。
ここでは、と。
あと歳……がよと、嫌がるオフィーリアにレオは。
「きもちくて、大変かもだけど、先に謝っとく。ごめんね? でも、ここからが本番だから、一緒に頑張ろうねぇ」
「…………っ? やぁ、ゆび、指が……!」
とにかく遠慮も、容赦もなかった。
なので食われる三秒前の生娘、小動物からすれば。
先ほどは流れでああいえど、物凄く撤回したい。今の展開は正しく物心ついた頃から常日頃、彼女が内心でナニより恐れてきたもので……。
こうも易々と犯されそうになっている、未知なるゾーン。
女の蜜なる壺であり、男の念願でもある、そこに。
「あ…ッ♡! っあ、あ、まって、」
「もう十分待ってあげたつもりだけど…怖くないよ、怖くない。俺を信じて、ただどんどん頭がふわふわしてきて、何も考えなれなくなって、中も外も気持ち悦くなるだけだから……」
大丈夫。
怖くないよ、怖くない。
優しい声、耳元で何度も繰り返し刷り込まれては、まるで洗脳されているかのよう。
……そんな中、あと。
「……君が『初めて』で、本当によかった」
じゃないと……。
「あっ、はっ、~~~~ッ」
ぐぽっ…♡
「な!? は、はぁ……っ♡♡」
「……あー…もう。指一本で? 気持ちよさそうー♡」
だからもっと、してあげるね。
と。男は、喉を低く鳴らした。
普通なら。
男であろうと女であろうと、普通のDomならば、とうにキレて物理的に殺してきても可笑しくない状態だ。
然し、同じ第二性を持てど、彼女は違う。
「君がわからない。……でも、もういいや。はー、頭バグりそう……」
嫌われては…いないだろう。と、思っていたし、感じていた。
でもまさか、ここまで受け入れてくれるとは。
この子に限って…どう転ぶか分からないから、念には念を、と何度も自分に言い聞かせ、後なくも先に進めず。
我ながら"こうなる"まで、悶絶していた自分が馬鹿々々しい……。
♡
はぁ~~~~~????
「ッ、俺がイヤラシイなら、君も十分イヤラシイよ。割れ目の中を優しく弄りながら、ここ。態々見なくても分かる、上でひくひく健気に勃起した、このちっちゃいのを…」
「あ…、ぁ」
「ぐりっ♡ って抑え、親指の腹で ぐりぐり♡♡ ってしてやると、」
「ゃ""ぁ"っ!! ———ッ…!! う"、んんん~~~♡?!」
男の眼が歪む。
粘着質な水音と……処女のくせに、もはや煽って、喧嘩売ってるとしか認知できない子猫の様な鳴き声。
……そして、引き千切らんばかりに咥えられた指から伝わるうねり、熱に。
ギリィ。
自分の口中から奥歯を噛み締める音がした。
「考えていた以上に敏感でかぁいいね、俺の妖精、お姫様はっ…」
甘い匂いと声にイライラ、ムカムカする。
思わず、目の前の白雪。嫌がらずも、怖がっている相手のうなじに噛みつきそうになる。
何時もの行為とはまるで違った、これまで芽生えたことのなかった類の興奮、恍惚……それで最期の〆かの様なギャップと悶えに骨の髄まで火照りだす。
……好きな女をよがらせ、しかも当の惚れた相手が支配側という、この、なんとも表現しがたい思いが湧き上がる背徳的な情、倒錯感。
「ぁ、ぁっ、ん♡ ん、ン…」
「あーもう、ほんと、どうしよう、どうしてくれよう。おててぎゅー、って俺の腕にしがみ付いて、可愛い…」
指一本、差し引き。ちょっと女の子の「イイ所」を ぐちゅぐちゅ、とんとん♡
まだ前戯すら始まっていない、親指で ぐりぐり♡♡ 捏ねただけなのに。
「れぉ」
この子は。
文武両道で、知り得る限り出来ないことなんて何一つなくて……そんな、奇跡の塊かの様な女の子。
悪漢どころか魔性すら引き寄せる、この世の『シアワセ』を全て詰め込んだかの様な存在……。
「~~~~ッ、何!?」
傍から見れば大人より、時折り、良識ある大人してる。
そんな普段の彼女から想像だにしない、想像出来ない甘い声で名を呼ばれ……歯茎に血、レオの額に筋が浮かんだ。
又もやヤンデレのヤンを消し飛ばすファインプレーに、れぉくんはキレた。
(さっきから、一体、ナニが起きている……??)
正しくそう言いたげな目での、逆ギレである。
お互い、ハジメマシテの世界。こんなDom、見たことがない……。
世界は広かった。
永遠なる我が伴侶。
俺の嫁(未来)(予定)(いや、絶対逃がさん)が、こんなにもエロいなんて聞いてないが……?
「これから君の視界に入って、君に触れようとする男は、全員さっさと死ねばいいよ」
「んん、え、ぁん♡ い、いきなり何の話で……?」
暫くそう思っていると、とうとう現実にまで炸裂した男心。
———だが、然し、その一方で。
こっちはこっちである意味真面ではないが、それでも元の世界で培った常識は一応ある女。
×ればいいのに……。
ではなく、前戯? 行為? 中における、突如の×ればいいよ発言。突然の殺害、若しくは抹殺予告に、無論。
いくらふわふわ、ぽわぽわ、快感に知能が失われているとは言え……流石に聞き捨てられない。
のに。
「どうせ、みんな君を好きになって求愛し出すんだろ? それで、もし、万が一にも…有象無象なヘタクソの分際で、」
大真面目のリアルタイム。
こんな一台詞の中だけでも、雄雌、色々混じってる気がして、ただでさえダメージを喰らっていたオフィーリアの頭は殊更、混乱した。
「いや、だから、一体何のっ! はぅ、~~~っ♡♡ それ、やぁ」
……そして、今日はあくまで、少なくとも今回は彼のターンなもんだから、鳴くことしか許されない。
見るから混乱している嫁、そんな腕に閉じ込めたふわふわから、脳を溶かすような甘く堪らない香りが立ち上っているのを感じ、レオの理性が焼き切れた。
———いや、そんなモノ、初めから彼の中には無く。それこそ、彼自身ですら気づかぬ場面で、とうに焼き切れていたかもしれないけれど……。
「俺のDomは世界中の誰よりも綺麗で、甘くて。大人びているのに、でもふとした仕草が可愛くて、同じ空間に居るだけでおちんちんイライラしてくる……そんな、愛おしいの塊だからさぁ」
だからね? と。
ここからはノンブレス。
「学園じゃあお義兄様もいないし、俺は学年違うし、だから絶ッ対! 絶対、俺みたいな奴が出て来るよね」
ただでさえ君のお兄様が言うように、上位クラスなほど、ロクデナシ野郎を集めたかのような場所だから。
そんな場所に君を放り入れるとか、飢えた発情狼の群れに子猫をブチ込むようなもんだろ?
だから、さ……。
「はー、入学する前、全員不慮の事故に襲われるか、入った瞬間退学になって欲しい~」
多少違うベクトルでも、誤差。
広い世の中、数多な世界。いざという時に饒舌になるのは、オタクだけではないことが、証明されてしまった……。
と、今のレオくんを見たオフィーリアは、思った。
……当初、優しくする、って約束したから『許した』行為なのに。
それでも当の相手が、自分より先にやり場のない苛立ちと興奮に犯されている様子。病んでるヤツ特有の思い込み思考に、
「ぅ、ふぅう、ふっぁあ♡」
受け止める側の状態を、少しでもいいから、考慮して欲しいなと思う。
始めて異物を受け入れる場所に、男の中指さしこまれ、それが締まり切った膣内を我が物顔で蹂躙される。
ぐぽぐぽ♡ 出し入れを繰り返され。
……でもだからと言っていきなりおちんちんを突っ込んだり、ここで指を増やさないのは、好きな子に本当に嫌われたくない潜在意識からなのかしら。
しかし。
ただ、それでも欲と情に止めどは無く ぐちゅ、ぐじゅッ♡♡ とした水音が増す度、その分激しさも増して。
やはり器に対し、荷が重い。
「もう! にッ♡!! やぁっ、こんな時になんてこと、生理前の女子じゃあっ、ないんだから、」
思ずとそう思うほど。
膣内をイジメながらも ぐりぐり、ぐりぐりー♡ クリトリスを刺激するのも忘れない、無駄な器用さに。
———だめだと。
最早無に等しいIQで喘げばいいのか、笑えばいいのか分からなくなる嫁(暫定)。
「同じ墓に入るまで、いや同じ墓に入っても、虫一匹近づけなくない…。まぁ……例え誰が相手だろうと、どんな手を使っても、思い通りにのさばらせるつもりはないけど」
……それだけ、この時ばかり。男の脳内も、現実的な発言行為も初心者向けどころか。少し冷静になって、傍から見れば、完全にイカレていた。
普通に。
「……ばか」
「そっちこそ、なんでこんな時でもそんな可愛いこと言うの、ふざけんなよ」
本性がまろび出たり、ヤンデレたり、キレたり、そうやって先ほどから大忙し、情緒不安定にも程がある、レオくん。
目は言葉より心を語るのだ。
もうシてるけど、今すぐ、もっと、めちゃくちゃのどろどろにしたい。
獣のように貪って、この薄い腹、胎の中を自分の精でいっぱいにして…。
ぐちゃぐちゃ、ドロドロに、
「ん~~~??? や。何で、私が怒られ、」
「この減らず口、まだそんな余裕あるんだ? これからのことを考えると頭おかしくなって、俺は今にも壊れそうなのに……」
「んっ!?」
「……もう、ほんと一回黙って。折角婚約したことだし、つまりは将来を約束した恋人になったようなもんだから…無駄口叩いてないで、もっと『キス』しようよ」
種をいっぱい注いで、埋めて、孕ませて。
「…? この体勢で……?? ンっ♡ んんっ…♡ ぷ、はぁっ……♡♡」
早く、全てを、他の誰かに盗られる前に……気持ちばかりが先走る。
それか、自分がこれ以上狂う前に、一刻も早く、膜を貫いて、射れて、抱いて、満たして…いっそのこと、壊してでも……早く。
「すき、大好き、愛してるんだ」
普段の男らしくもない熱に浮かされるも、切羽詰まった、切ない声。
だから俺のゼンブを、受け入れて欲しい、と訴えられる。
早く、ハヤク、はやく!
第二性以上に、第一性である男としての本能が強くそう叫ぶ。
この身も心もとうに彼女のモノだから、この子を早く俺のものに。
きっと初めから、運命だなんてありふれた表現、生ぬるい関係ではない。生の全て、魂の半身とも呼べる存在。
———「コレ」は俺の番だ。
「? ん……?? なんだろ、この、匂い? あたま、ふわふわする……」
すごく、すき…かも。
……と。
そんな俺の脳内なんて知らないであろう幼い番は、無防備に俺の腕を掴み、顔を埋めて すん と鼻を鳴らした。
この度における突如に、明らかにびっくりするも、彼女がこの婚約に異を唱える素振りは、今のところなく。
……彼女のことだから、もし本当に嫌な事ならもっと理路整然と訴えてくるだろう。
「君は俺の番、だから惹かれ合うのはしょうがない」
「……そう、よね。好きだから、しょうがないよね。こればかり、どうしようもない……」
とどのつまり、身内判定されたことにより、どっちもどっちでガタ外れ、甘えているのだ。
だからこうして、お互い何だかんだ言いながらも、結局リラックスしながら何も思考を巡らせず、警戒心皆無な甘美で、ぽわぽわとした音を上げている。
いざという時に気性が烈しく意地悪で攻撃的な面もあるが、一度懐いた相手にはとことん甘い、星の性。
カミサマはイイ仕事したし、彼女の両親には感謝の念しか抱けなくなる。
昔も十分kawaiiではあったが、あの日を境に「レオくん」と懐かれた自覚が生まれた男は、そんな番が殊更可愛くてたまらない。
「甘すぎる匂いは、余り、すきくないけど…」
「知ってる」
「この匂いはすき……」
「………………………」
自分の上に腰を下ろし、股を開かれ、中も外も弄られ、こんなにイヤラシイ体勢をしてるというのに。随分といじらしい、幼いことを言う。
何時もは鳴かせて、泣かせているSubの片腕を両手でぎゅって、して。普段の型もない知能が低下した声が、やけに響き、聞こえ———本当に、堪らない気持ちになる。
可愛い番でありながら、時折り。こんな時でさえも相も変わらず、その分憎たらしいほどひっどい女だった。
こちとら先ほどの吐露以上、今までのPlayですら感じたことのない。強烈で、慣れない本能を今もねじ伏せて、辛うじて人形を保っているというのに。
(君は……)
鼻を鳴らす音に混じり、「はぁ♡ はぁー、」という初めて耳にするオフィーリアの荒い息づかいも。
これまでいくら『誘えど』ガン無視されてきたフェロモンに対し、何度も拙い声で「この匂いすき」と繰り返すとろんとした言い草も、ただでさえ堕ちていた脳髄と、誤爆寸前、限界間近な下腹部に響く。
「どうしよう…いい匂いで頭ぼんやりするし、れおくんにぐちゅぐちゅ、ぐりぐりされているとこも、ぜんぶきもちいいしで、意味わかんない……どうしよう、」
「…………っ、クソッ」
「!? んんぅ……ッ!! んん———ッ……♡♡♡♡」
恐らく「コレ」も初めてなのだろう。
生まれて初めて好ましい、『相性のいい』相手の匂いに充てられ、染められ。普段と違うベクトルで理性が飛んでしまったのか。
茹だる様な鼻声と共に、引き千切らんばかりに中を締め、ぎゅうううううううう♡
っと、柔らかな胸を押し付けるように縋り抱き付いてくる。
……それも、少しでも指を動かす度、改めて顔を見ずも分かるほど、「んッ♡」と何とも心地よさげな気な、鼻から抜ける甘い声を漏らし……甘えるみたいにすんすん、鼻を、まるで好感度の五感化、オープションみたいに……この子は。
「…行為中でも、ましてやこのお遊び程度の前戯、未だ情事とすら呼べない段階で、人間の心臓がこんなに高鳴るなんておかしいだろ……」
ああ、そうだな、分かるとも。
だからこうして改めて見ずも、明確に分かるほどの窮屈さ。痛いくらいに反り立ったモノがズボンの中で脈打ち、ズクズク疼き、今この時も先走りがだらだらと垂れ流し続けていようと———
「れおくん……れぉ、何だか熱くない? あつい……っ」
拷問である。
番。
ツガイ。
俺のツガイ。
欲情した声音で愛を囁くように名前を呼び、腰をくねらせ、胸を張り、目下の白い首筋に汗が浮き出るのを見た。
そんな、既に限界を超えている雄の脳をさらにバカにするような、それはもうカケラほどの慈悲も、容赦もない追い撃ち。
「すぅううううう、はぁ~~~~~~~」
レオはここ数年において最も特大であろうため息を落として、番を抱きかかえ直シ、心頭滅却する。
そして天井を仰いで、最終的には ニコッ! とした笑みを浮かべた。
人というのは大概、自分より危ない状態のやつを見ると、冷静になる。
……なので若干コレを狙ってたとは言え、それでもまさか、ここまでふわふわ、ふにゃってなって仕舞うとは思わなんだ。
行き過ぎた収穫を前に。
でも、もしこんな場所で本当に食ってしまうと、恐らく彼女自身に始末されるので。
レオはもう、笑うしかない。
が。
「君…本っ当に後で覚えっ、」
そういうと。
「きす、キス? とにかく、熱いから、ねっ『ちゅー』しよう」
!?
あ……♡
え、
と、思うのも瞬きの間。
気付けば、
「ハイ……よろこんで、」
と口走り。
「ちゅっ♡ ちゅぷ♡」
「ん、♡????」
「じゅっ、んち""ゅー♡♡」
「ン""っ!? ぶ…ッ!!?!」
異世界産に古き良きジャパンのネタが分からないのもあって。
やはり……いっそこの場、今ここでブチコミタイ。
が……いくら今はこんなんでも、彼女が実は中々ロマンチストであるのを、割と知っている。可愛さ余って憎さ百倍、嘗てないほど男の上も下も、物凄くイラついた。
夢にまで見た番も(多分)その気で、これはこれで、それなりのシュチュではあれど……。
それでも、馬車は、どう足搔いても馬車。海の見える宿には勝てっこないし、『初めて』に相応しくないと、そう思うだけの自我はまだ残って……。
「あつい」
「いい子だから、お願いだから、あとちょっと、もう少し考えさせて」
心以上に身体の方が正直で、素直だった。
甘露が浮かび、白い首筋を擽ぐるように舐れば、「うぅーあ""つ"い""」と嫌そうな声を上げるも、大人しくその身を預ける。
微塵の警戒もなく、力を抜いているところを見せてくれる全幅の信頼に、何よりも良心が痛む、今現在。
然し、いくらこうして、頭では名分や愛が全ての『免罪符』にならないと知ってはいるけれど……。
「れおくんとの、においも、ちゅーも、すき……」
『それだけ好きなんだから、どうしようもないし、しょうがないよね』
この時自分の中でぷつん、とキレたナニカ。
そうやって。男の脳裏で先ほどの声が今と呼べる現実とシンクロし、同時再生サレテ仕舞った。
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