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カヤラ・オリガの前世の記憶
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誰にも話した事は無いけど、僕には前世の記憶がある。
この世界に生まれる前、僕は日本という国で生きていた。死んだのは多分15歳。死因は分からない。
僕はずっと大きな病気持ちだったせいで、入退院を繰返していた。学校にもあまり通えず友人も少ない。馴染んだと思ったらまた入院。そんなだからクラスメイトの話題にもついて行けず、いつも浮いていた。だから学校もあまり好きでは無かった。
家も完全に、安らげる場所では無かった。家族も僕の治療費で生活が削られ、心身共に疲弊していたから。
そんなだから、誰の為にも僕が死んだ事は良かったと思う。
そしてこの異世界に転生した。今世は大病など患わないよう、健康に気遣って過ごすのが第一目標だ。
あれから帰宅し、僕は家族に囲まれた。
皆、僕がどんなスキルを授かるかが気になっていたらしい。注目される中、申し訳ない気持でそれを告げる。
「「「……オリガミ……?」」」
皆、呆然と呟いてから、問いかけるようにお互いの顔を見交わす。けど直ぐに全員、一様に首を振った。
「……何か、ごめん……」
僕はあの後。神父様に残るように言われ、“オリガミ”の説明を受けることになった。
この世界では“オリガミ”はレアスキルであり、用途が未だ謎ならしい。
確かに思い返しても、この世界で折り紙なんて見たこと無いな。僕は折り紙だと分かるけど、知らない人から見れば、ただの正方形の紙が入っただけの箱だもんね。
「後日、王家から魔術師が派遣される筈です。あちらの方が詳しいと思いますので、良きアドバイスを頂けると思いますよ?」
だから神の御心を信じて、悪く考えずにいて下さい。そう、言ってくれた。
小さくなっている僕に、母さんが笑顔で慰めてくれる。
「……なぜ、カヤラが謝るの? 気持は分からなくも無いけど、そう落ち込むものではないわ。何か利用出来るわよ」
兄さんも、
「どうとでもなる! スキルに関係なくても、出来る仕事はあるって!」
と、一緒に行ってくれた。その横で姉さんが
「それに王宮から探査が来るんでしょう? 専門家に調べてもらったら、何か分かるかもよ?」
現実に沿った意見を言ってくれる。最後に、
「何があっても力になろう。我々は、家族なのだから」
父さんが言って笑いかけてくれた。
「――ありがとう、皆」
ホッと肩から力が抜けた。笑顔になった僕に、家族もホッとしたように温かい笑顔をくれる。
「さ、ご飯にしましょう♪」
何もなかったように明るい声で、僕らに母さんは言った。それを合図に、皆食堂に向かう。
――優しい人達。
――僕がいなければ、前世の家族もこんな感じだったんだろうか?
そう思うとやっぱり、前世では……僕が死んで、良かったんだと思う。
この世界に生まれる前、僕は日本という国で生きていた。死んだのは多分15歳。死因は分からない。
僕はずっと大きな病気持ちだったせいで、入退院を繰返していた。学校にもあまり通えず友人も少ない。馴染んだと思ったらまた入院。そんなだからクラスメイトの話題にもついて行けず、いつも浮いていた。だから学校もあまり好きでは無かった。
家も完全に、安らげる場所では無かった。家族も僕の治療費で生活が削られ、心身共に疲弊していたから。
そんなだから、誰の為にも僕が死んだ事は良かったと思う。
そしてこの異世界に転生した。今世は大病など患わないよう、健康に気遣って過ごすのが第一目標だ。
あれから帰宅し、僕は家族に囲まれた。
皆、僕がどんなスキルを授かるかが気になっていたらしい。注目される中、申し訳ない気持でそれを告げる。
「「「……オリガミ……?」」」
皆、呆然と呟いてから、問いかけるようにお互いの顔を見交わす。けど直ぐに全員、一様に首を振った。
「……何か、ごめん……」
僕はあの後。神父様に残るように言われ、“オリガミ”の説明を受けることになった。
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確かに思い返しても、この世界で折り紙なんて見たこと無いな。僕は折り紙だと分かるけど、知らない人から見れば、ただの正方形の紙が入っただけの箱だもんね。
「後日、王家から魔術師が派遣される筈です。あちらの方が詳しいと思いますので、良きアドバイスを頂けると思いますよ?」
だから神の御心を信じて、悪く考えずにいて下さい。そう、言ってくれた。
小さくなっている僕に、母さんが笑顔で慰めてくれる。
「……なぜ、カヤラが謝るの? 気持は分からなくも無いけど、そう落ち込むものではないわ。何か利用出来るわよ」
兄さんも、
「どうとでもなる! スキルに関係なくても、出来る仕事はあるって!」
と、一緒に行ってくれた。その横で姉さんが
「それに王宮から探査が来るんでしょう? 専門家に調べてもらったら、何か分かるかもよ?」
現実に沿った意見を言ってくれる。最後に、
「何があっても力になろう。我々は、家族なのだから」
父さんが言って笑いかけてくれた。
「――ありがとう、皆」
ホッと肩から力が抜けた。笑顔になった僕に、家族もホッとしたように温かい笑顔をくれる。
「さ、ご飯にしましょう♪」
何もなかったように明るい声で、僕らに母さんは言った。それを合図に、皆食堂に向かう。
――優しい人達。
――僕がいなければ、前世の家族もこんな感じだったんだろうか?
そう思うとやっぱり、前世では……僕が死んで、良かったんだと思う。
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