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「まぁ!婚約者ってイライジャくんだったの!それなら照れてなかなか連れて来れないわけだわ!」

いつも以上にお洒落をして出迎えた母に少し恥ずかしくなる。机の上にはいつもは無い花瓶や名前の分からないようなお花まで置いてある。昔からうちで遊んでいたイライジャにはいつもと違うことがバレているのだからより恥ずかしい。本当の婚約者でもないし。

ちらりと隣を伺うと柔和な笑みを浮かべて綺麗な花ですね、などと言っているイライジャにゾワッとする。まるで本物の婚約者であるかのように気を使っている。

「結婚はいつするの?」
「おかああああさん!」

何も知らない母は機嫌よくお茶を準備しながらとんでもない一言を放つ。

「年内には」

同じようにとんでもない一言を放つイライジャに聞き間違いかな?と自分の耳を引っ張る。

「まああああ!そうなの!それならもっと早く行って欲しかったわ!」

ドレスは決まったの?教会には連絡した?と食い気味な母にやっぱり聞き間違いじゃないと確信する。

「イラ、」
「実はエレノアが恥ずかしがってて…。ずっと幼馴染として一緒にいたから今更周りに言いづらいと」
「エレノア!イライジャくんにそんなこと言ったの!ダメじゃない!」

理不尽に怒られる。いや、だから違くて!そもそも本当のカップルじゃなくて!
喜んでいる母親に嘘でしたとも言いづらい。イライジャは何が目的なのか…。

3ヶ月後にはすることになっている結婚にイライジャはどう対応するのだろう。きっと彼のことだから上手くやってくれる…よね?
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