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領地経営編①
領主、領都に現る
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ガタンゴトンと馬車に揺られて町へと繰り出す白豚一人……俺が乗るときに馬車を牽く馬が俺の体重にビビっている気がした。
俺だって、こんな巨体を乗せて馬車の床が抜けないかとか、馬が動かないんじゃないかと不安になったさ。
そんなデリケートなハートの持ち主の俺は、馬車の窓から初めて見る異世界の風景を楽しむとしよう。
オールポート伯爵の屋敷は高台にあるらしく、緩やかな坂道を下っていく。
徐々に建物が増えていき、道も広くなっていくのがわかって気分が高揚してくる。
……うん、前の世界の地方都市ぐらいの賑やかさを想像していたんだけど……。
いや、領都の町はキレイに整えられた区画に住宅と鍛冶場などの作業所、商店や宿屋などが並ぶ商業地域が整然と建てられている。
その建物もメルヘンチックな装いで、テーマパークに来たみたいで気持ちがウキウキしてくる。
馬車が走る、たぶんこの町のメインストリートの両脇には贅沢にもガラスがはめられたショーウインドーがある店や、二階三階建ての立派なホテルが並んでいるが……。
なぜか、営業している店舗がポツポツとあるだけで、ほとんどが締まっていて「close」「for Rent」「sales」の札がかかっている。
「なんで、異世界まで来てシャッター商店街なんだ?」
あいつらがやりやがった税金アゲアゲ政策で、逃げ出した領民たちが営んでいたのだろうか?
俺は、一抹の不安を抱えて馬車が目指す領都の中心、役所を目指した。
ガタンと大きく揺れて停まったのは、石造りの無骨なイメージな建物の前だった。
カチャリと馬車の扉が開くと、ベンジャミンの手がこちらへ向けられる。
ああ、うん。俺一人じゃこの馬車からスムーズに降りられないもんね?
「すまんな」
形だけの補助ではなく、真実、俺が馬車から降りるのを補助したベンジャミンの体幹の強さに感嘆するよ。
どしんと役所のエントランスに降り立つと、オールポート伯爵、ここの領主を出迎えるために職員が並んでいる……てことはないのね。
いいけど。
ただ、チラチラとこちらを見て、コソコソと何かを喋っている職員の姿が気になる。
しかも、その喋っている内容が「白豚」「無能領主」とかなら甘んじて受け入れるが、どうも「悪役令嬢」とか「甘やかされた跡取り娘」とか聞こえてくる。
ん? 悪役令嬢ってなんだろう?
あれか? 追い出したニセ乳ちゃんのことかな?
あいつらはなぁ、たぶんこの領都でもブイブイいわせて散財しまっくったろうし、身分を笠にきて傍若無人に振る舞ったろうから、領民たちには嫌われてんだろう。
職員の不可解な言葉に首を捻りつつ、ベンジャミンの案内で役所内へ入っていく。
大抵、偉い奴は上にいる。
前の世界もここでもそれは不文律で変わらない事だと覚悟はしていたが、さすがにこの白豚に階段は無理だと用意された部屋は、役所の一階奥にあるこじんまりとした部屋だった。
とにかく急ぎで準備したのだろう、飾りっけのない部屋だが、ソファーセットは整えられている。
とにかく、ここまで歩いただけで俺の疲労はMAXの状態です。
新任の代官を待つこともなく、どっさりとソファーに腰を下ろした。
「フー、フー」
息が荒いぞ、白豚。
「大丈夫ですか? セシルさま」
同行してきたベンジャミンに頷いて答えてから、ポケットから出したハンカチで顔の汗を拭く。
「セシル様、新しく代官になったクラーク殿は奥様が生きておられた時代はここで、例のコーディたちがのさばり始めたころにはハーディング侯爵領で才気を奮っていた者です。能力には問題はありません」
「それな……。由々しき問題だよなぁ。ただでさえ人手不足なのに、人材の流出まであるなんて」
ベンジャミンの話では、あの悪党どもに追い出されたり、身の危険を感じたり、愛想を尽かしたりして、オールポート伯爵領の有能な人材がハーディング侯爵領や王都に流れてしまったらしい。
今回、戻ってくるように広くアナウンスはしたが、既に流れ着いた場所で要職に就いてたりして戻ってくる者は僅か……。
その中でも、特に優秀で陰険執事たちの悪事がなければ順調に代官になっていたと思われる人物が、クラークだ。
本人はこちらに戻ってくるのを渋っていたが、俺の兄、記憶にないし顔も思い出せないが、ハーディング侯爵が直々に頼んで、戻ってきてくれたのだ!
兄ちゃん、グッジョブ!
なんでも、白豚の亡くなった奥さんが生きていたころから、領地経営には暗雲が垂れ込めていたっていうし、単純に陰険執事たちが来る前の状態に戻せばいいって訳じゃないんだよね。
税率だって、どこまで減らせばいいのか? 元に戻すにしても、そのころから物価の変動とか、オールポート伯爵領の産業の推移とか、チェックしなければいけないことが山積なのだ。
その決済をする俺は、白豚の中に異世界産の魂が入った状態だから正常な判断ができているか難しい。
新しい代官のクラークと協力して、シャーロットちゃんが継ぐオールポート伯爵領を黒字にしたい!
領民にも、いい暮らしをしてほしい!
よし、白豚は頑張るぞ!
「お待たせしました」
トントン、ガチャリと部屋に入ってきたのは、思ったよりも若い痩せた男だった。
俺だって、こんな巨体を乗せて馬車の床が抜けないかとか、馬が動かないんじゃないかと不安になったさ。
そんなデリケートなハートの持ち主の俺は、馬車の窓から初めて見る異世界の風景を楽しむとしよう。
オールポート伯爵の屋敷は高台にあるらしく、緩やかな坂道を下っていく。
徐々に建物が増えていき、道も広くなっていくのがわかって気分が高揚してくる。
……うん、前の世界の地方都市ぐらいの賑やかさを想像していたんだけど……。
いや、領都の町はキレイに整えられた区画に住宅と鍛冶場などの作業所、商店や宿屋などが並ぶ商業地域が整然と建てられている。
その建物もメルヘンチックな装いで、テーマパークに来たみたいで気持ちがウキウキしてくる。
馬車が走る、たぶんこの町のメインストリートの両脇には贅沢にもガラスがはめられたショーウインドーがある店や、二階三階建ての立派なホテルが並んでいるが……。
なぜか、営業している店舗がポツポツとあるだけで、ほとんどが締まっていて「close」「for Rent」「sales」の札がかかっている。
「なんで、異世界まで来てシャッター商店街なんだ?」
あいつらがやりやがった税金アゲアゲ政策で、逃げ出した領民たちが営んでいたのだろうか?
俺は、一抹の不安を抱えて馬車が目指す領都の中心、役所を目指した。
ガタンと大きく揺れて停まったのは、石造りの無骨なイメージな建物の前だった。
カチャリと馬車の扉が開くと、ベンジャミンの手がこちらへ向けられる。
ああ、うん。俺一人じゃこの馬車からスムーズに降りられないもんね?
「すまんな」
形だけの補助ではなく、真実、俺が馬車から降りるのを補助したベンジャミンの体幹の強さに感嘆するよ。
どしんと役所のエントランスに降り立つと、オールポート伯爵、ここの領主を出迎えるために職員が並んでいる……てことはないのね。
いいけど。
ただ、チラチラとこちらを見て、コソコソと何かを喋っている職員の姿が気になる。
しかも、その喋っている内容が「白豚」「無能領主」とかなら甘んじて受け入れるが、どうも「悪役令嬢」とか「甘やかされた跡取り娘」とか聞こえてくる。
ん? 悪役令嬢ってなんだろう?
あれか? 追い出したニセ乳ちゃんのことかな?
あいつらはなぁ、たぶんこの領都でもブイブイいわせて散財しまっくったろうし、身分を笠にきて傍若無人に振る舞ったろうから、領民たちには嫌われてんだろう。
職員の不可解な言葉に首を捻りつつ、ベンジャミンの案内で役所内へ入っていく。
大抵、偉い奴は上にいる。
前の世界もここでもそれは不文律で変わらない事だと覚悟はしていたが、さすがにこの白豚に階段は無理だと用意された部屋は、役所の一階奥にあるこじんまりとした部屋だった。
とにかく急ぎで準備したのだろう、飾りっけのない部屋だが、ソファーセットは整えられている。
とにかく、ここまで歩いただけで俺の疲労はMAXの状態です。
新任の代官を待つこともなく、どっさりとソファーに腰を下ろした。
「フー、フー」
息が荒いぞ、白豚。
「大丈夫ですか? セシルさま」
同行してきたベンジャミンに頷いて答えてから、ポケットから出したハンカチで顔の汗を拭く。
「セシル様、新しく代官になったクラーク殿は奥様が生きておられた時代はここで、例のコーディたちがのさばり始めたころにはハーディング侯爵領で才気を奮っていた者です。能力には問題はありません」
「それな……。由々しき問題だよなぁ。ただでさえ人手不足なのに、人材の流出まであるなんて」
ベンジャミンの話では、あの悪党どもに追い出されたり、身の危険を感じたり、愛想を尽かしたりして、オールポート伯爵領の有能な人材がハーディング侯爵領や王都に流れてしまったらしい。
今回、戻ってくるように広くアナウンスはしたが、既に流れ着いた場所で要職に就いてたりして戻ってくる者は僅か……。
その中でも、特に優秀で陰険執事たちの悪事がなければ順調に代官になっていたと思われる人物が、クラークだ。
本人はこちらに戻ってくるのを渋っていたが、俺の兄、記憶にないし顔も思い出せないが、ハーディング侯爵が直々に頼んで、戻ってきてくれたのだ!
兄ちゃん、グッジョブ!
なんでも、白豚の亡くなった奥さんが生きていたころから、領地経営には暗雲が垂れ込めていたっていうし、単純に陰険執事たちが来る前の状態に戻せばいいって訳じゃないんだよね。
税率だって、どこまで減らせばいいのか? 元に戻すにしても、そのころから物価の変動とか、オールポート伯爵領の産業の推移とか、チェックしなければいけないことが山積なのだ。
その決済をする俺は、白豚の中に異世界産の魂が入った状態だから正常な判断ができているか難しい。
新しい代官のクラークと協力して、シャーロットちゃんが継ぐオールポート伯爵領を黒字にしたい!
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トントン、ガチャリと部屋に入ってきたのは、思ったよりも若い痩せた男だった。
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