12 / 26
12話・浮遊霊と地縛霊2/4
しおりを挟む
久美がジバ子に会って次の日、約束どおり彼女の家に向う。地縛霊で家から出られない彼女のためにリバーシを持っていくことにした。道中、人に見つからないように注意していたら家につくのが午後になってしまった。
「来たよー」
「いらっしゃい」
ジバ子が明るく迎える。前回は壁越しだったり、暗かったりしたため気付かなかったが、ジバ子にはひどいクマがあった。
「ジバ子ちゃん、クマがひどいけど寝れてる?」
「私、あまり眠れないの」
「眠くないの?」
「ううん」
「寝る?」
「ううん」
久美は少し心配になったが、リバーシをやりたかったため、気にしないことにした。
八戦して久美が全勝した。久美は飽きたため、帰ろうとする。
「次はいつ来てくれるの?」
「絶対また来るから安心して」
久美は優しく微笑んでなだめる。ジバ子は小さく手を振って見送った。
久美が帰った後、ジバ子は一人でリバーシをしていた。勝っても負けても何も感じない。
「ジバ子ちゃーん。また来たよー」
一時間後、久美がまた来た。
「おねーちゃん!」
久美の所に駆け寄る。久美は頭をなでる素振りをする。
「今日泊まって良い?」
「うん!」
ジバ子はリバーシを嬉しそうに持ってきた。久美は何も言わずリバーシ九戦目に入った。
「ジバ子ちゃんは幽霊になって何年くらい経つの?」
「3年。お姉ちゃんは?」
「覚えてない」
「お外楽しい?」
「別に楽しくないよ」
久美は外の世界に飽き飽きしている事を話す。怖い顔の人が山奥で蠢く黒いビニール袋をうめていた話や、満員電車などの話をした。久美の愚痴が続いた。口をとがらせながら話したが、ジバ子は羨ましそうに聞いていた。その事に久美は調子を良くした。
「まあ、浮遊霊だから動物園とか水族館とかは入り放題だよね。それは楽しかったよ」
自慢気に言う。
「いいな~」
笑い話を織り交ぜながら、久美の自慢が続いた。ジバ子は笑い疲れ、ウトウトしていた。久美はそれに気づくと、ニコリと笑う。
「外には子守唄っていうのがあってね」
久美は子守唄を歌った。ジバ子は楽しそうに聞く。
歌い終わった。ジバ子は他の歌をせがむ。
「あの、子守唄は聞くものじゃないんだよ」
久美はジバ子に言い聞かせるがジバ子は聞く耳を持たない。仕方なく他の子守唄を歌う。もちろんジバ子は眠らなかった。そのような事をずっと繰り返し、久美の子守唄のレパートリーは無くなり、知っている演歌やラップを歌いつくした。たくさんのライブに行った久美の音楽のレパートリーは多く、朝を迎えた。
「疲れたから、帰るね」
「また来てね」
「もちろん。じゃあね」
「ばいばい」
久美は帰り路、眠いため、ふらふらしていた。
「疲れた・・・」
久美はリバーシを家に置いてきてしまった事に気付いた。肩を沈めてきた道を引き返した。
「リバーシ忘れちゃった」
返事はなかった。先程まで久美達がいた部屋に行くとジバ子が寝息をたてていた。久美は苦笑いする。
「おやすみ」
頭を撫でてから家を出ていった。
「帰ったら寝よ」
「来たよー」
「いらっしゃい」
ジバ子が明るく迎える。前回は壁越しだったり、暗かったりしたため気付かなかったが、ジバ子にはひどいクマがあった。
「ジバ子ちゃん、クマがひどいけど寝れてる?」
「私、あまり眠れないの」
「眠くないの?」
「ううん」
「寝る?」
「ううん」
久美は少し心配になったが、リバーシをやりたかったため、気にしないことにした。
八戦して久美が全勝した。久美は飽きたため、帰ろうとする。
「次はいつ来てくれるの?」
「絶対また来るから安心して」
久美は優しく微笑んでなだめる。ジバ子は小さく手を振って見送った。
久美が帰った後、ジバ子は一人でリバーシをしていた。勝っても負けても何も感じない。
「ジバ子ちゃーん。また来たよー」
一時間後、久美がまた来た。
「おねーちゃん!」
久美の所に駆け寄る。久美は頭をなでる素振りをする。
「今日泊まって良い?」
「うん!」
ジバ子はリバーシを嬉しそうに持ってきた。久美は何も言わずリバーシ九戦目に入った。
「ジバ子ちゃんは幽霊になって何年くらい経つの?」
「3年。お姉ちゃんは?」
「覚えてない」
「お外楽しい?」
「別に楽しくないよ」
久美は外の世界に飽き飽きしている事を話す。怖い顔の人が山奥で蠢く黒いビニール袋をうめていた話や、満員電車などの話をした。久美の愚痴が続いた。口をとがらせながら話したが、ジバ子は羨ましそうに聞いていた。その事に久美は調子を良くした。
「まあ、浮遊霊だから動物園とか水族館とかは入り放題だよね。それは楽しかったよ」
自慢気に言う。
「いいな~」
笑い話を織り交ぜながら、久美の自慢が続いた。ジバ子は笑い疲れ、ウトウトしていた。久美はそれに気づくと、ニコリと笑う。
「外には子守唄っていうのがあってね」
久美は子守唄を歌った。ジバ子は楽しそうに聞く。
歌い終わった。ジバ子は他の歌をせがむ。
「あの、子守唄は聞くものじゃないんだよ」
久美はジバ子に言い聞かせるがジバ子は聞く耳を持たない。仕方なく他の子守唄を歌う。もちろんジバ子は眠らなかった。そのような事をずっと繰り返し、久美の子守唄のレパートリーは無くなり、知っている演歌やラップを歌いつくした。たくさんのライブに行った久美の音楽のレパートリーは多く、朝を迎えた。
「疲れたから、帰るね」
「また来てね」
「もちろん。じゃあね」
「ばいばい」
久美は帰り路、眠いため、ふらふらしていた。
「疲れた・・・」
久美はリバーシを家に置いてきてしまった事に気付いた。肩を沈めてきた道を引き返した。
「リバーシ忘れちゃった」
返事はなかった。先程まで久美達がいた部屋に行くとジバ子が寝息をたてていた。久美は苦笑いする。
「おやすみ」
頭を撫でてから家を出ていった。
「帰ったら寝よ」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
Giftbiene【ギフトビーネ】
隼
キャラ文芸
ドイツ、ベルリンはノイケルン区。
ケーニギンクローネ女学院に通うシシー・リーフェンシュタールは、才色兼備な全生徒の模範。
しかし、彼女にはもうひとつの裏の顔がある。
それは違法な「賭けチェス」に興じていること。
そして「リスクを負う」ことに生を感じること。
底の見えない彼女の欲望は、大金のみならず、自らの身体、そして命までも賭けの対象として、生を貪る。
その先に待ち受けるものは、喝采か、破滅か。
堕ちていく、ひとりの少女のカタストロフィ。
人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?
【完結】【R18百合】会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
レズビアンの月岡美波が起きると、会社の後輩女子の桜庭ハルナと共にベッドで寝ていた。
一体何があったのか? 桜庭ハルナはどういうつもりなのか? 月岡美波はどんな選択をするのか?
おすすめシチュエーション
・後輩に振り回される先輩
・先輩が大好きな後輩
続きは「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」にて掲載しています。
だいぶ毛色が変わるのでシーズン2として別作品で登録することにしました。
読んでやってくれると幸いです。
「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/615873195
※タイトル画像はAI生成です
つくもむすめは公務員-法律違反は見逃して♡-
halsan
キャラ文芸
超限界集落の村役場に一人務める木野虚(キノコ)玄墨(ゲンボク)は、ある夏の日に、宇宙から飛来した地球外生命体を股間に受けてしまった。
その結果、彼は地球外生命体が惑星を支配するための「胞子力エネルギー」を三つ目の「きんたま」として宿してしまう。
その能力は「無から有」
最初に現れたのは、ゲンボク愛用のお人形さんから生まれた「アリス」
さあ限界集落から発信だ!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
Aコードコンチェルト
ツヅラ
キャラ文芸
能力者教育機関“ヴェーベ”の、北東教育機関の最上級生であるA級能力者チームは、とにもかくに、A級能力者の使命である、怪人を倒すことにやる気がなかった。
おかげで、貢献度はぶっちぎりの最下位。
その日も、怪人が現れたが、いつも通り、やる気もなく出撃する予定もなかった。だが、顧問のクビがかかっているという話を聞き、慌てるように、怪人を倒しに向かった。そして、増殖する新種の怪人と退治することになった。
その日、ヴェーベを訪れていたルーチェとその父、ルシファエラは、怪人に襲われ、ガレキの下敷きとなった。
二人は、近くにいた能力者に助けられ、一命を取り留めたルシファエラは、その時、助けてもらった能力者に、ルーチェと、あるデータを帝国本土まで無事に運ぶことを依頼することにした。
初めて帝国本土にやってきた能力者たちは、そこである陰謀と出会うのだった。
※小説家になろうにアップしたものの編集版です
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる