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後日談

15.あの夜をもう一度

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「相変わらずいい筋肉! 好き!」
「存分に味わってくださいね」

 自白魔法を自分にかけた途端に飛び出る本音。
 
「なんで5日も会いに来てくれなかったの? すぐに会いたかったのに」
「おや、寂しかったですか?」
「……寂しかった。もっと早く会えると思っていたから」

 仮眠室のベッドの上で私はカイザに抱き着いて甘えていた。
 なお、お互いすでに服は着ていない。

「ずいぶんと可愛いことを言ってくれますね」

 上機嫌なカイザが私の唇を奪った。
 ぎゅっと分厚い筋肉に包まれながらもキスはあの夜と同じか、それ以上に熱い。
 やっぱり私はこのキスが好きだ。

「エニーがもっと早く意地を張るのをやめていれば良かったんですよ」
「なにそれ。カイザが会いに来てくれれば良かっただけの話じゃん」
「いえいえ、任務の為だけに抱かれるなんて悲しいじゃありませんか。あくまで俺はエニーに求められたいんです」

 そう言って、口だけでなく髪や頬など顔中にキスを落とすカイザ。
 この甘やかし攻撃、むずがゆいけれど悪い気はしない。

「ならカイザも私を求めてくれるの?」
「もちろん。俺はいつだってあなたが欲しいですよ。さ、キスの後はどこを触りましょうか。ここですか?」

 カイザの大きな手が包んだのは胸だ。

「それともこちらにしましょうか」

 その手が次に触ったのは股の辺り。キスだけですでに濡れ始めているのは彼も気づいているはずだ。

「エニー、どっちがいい?」
「……どっちも」
「ふふ……仰せの通りに」

 コイツ、分かっていて聞いてるな。
 性格の悪い陰湿筋肉バカめ。
 ならこっちだって仕返ししてやる。

「カイザも触ってほしいんじゃないの?」

 握ったのはすでに大きくなっている彼の陰茎だ。
 ん? ちょっと待て。

「大きくなっているというか、完全に勃ってる?! え? 大きすぎない?」
「そんな褒められたら照れますよ、エニー」
「褒めてない! 驚いてんの! ええ?! こ、こんな大きいのが私の中に入っているの? 入るの? ってなんでさらに大きくなってんの? ちょ、ちょっと待った!」
「待ったと言われて縮む性能はついてないんですよ」

 こっちは怖くすらなっているのにこの筋肉バカは楽しそう。
 前は魔法と初めてのことで頭がいっぱいだったから気づかなかったけど、男の人のそれってこんな太さがあるの?
 見るのと触るのとじゃ全然感覚が違う!
 どうしよう、研究者としても気になってきた。

「今日のエニーはそういう気分ですか。ならせっかくだし扱いていただきましょう。ほら、しっかり握ってください」
「うわっ! ふわぁああ……」

 カイザが私の手の上から包むから、私たちは二人で陰茎を握っている状態に。
 そうすると余計に彼の大きさを感じた。
 ゆっくりと、カイザが私の手ごと上下に動かす。

「ほーら、エニー。男はこうやってシコシコされると気持ちいいんですよ」
「わ、わわ……すごい……」
「この前はあなたの中でこの動きをしていたんですよ。あれは気持ちよかったですねぇ……」

 カイザが囁きながら私の手を動かす。
 そんなことを言われてしまうと私だってあの夜のことを、彼に抱かれた時のことを思い出して身体が熱くなってしまうじゃないか。
 どうしよう。こうやって触ると余計に意識しちゃいそう。

「エニー、身体が揺れていますけどどうかしましたか?」
「だってこんなに大きいのが私に入って……気持ちよくしてくれるんでしょ? 想像しただけで……変な気分になる……」

 こんな恥ずかしいことも言ってしまうのは魔法のせい!
 魔法をかけていて良かったー!

「じゃあエニーのここも準備しましょうね。必要ないかもしれませんが」

 私の手と重ねていない方のカイザの手がこちらへ伸びた。
 濡れ始めている膣に指が入る。

「ひゃうっ!」
「可愛い声ですね。エニー、俺のを握るだけで気持ちよくなるなんて本当に最高です。今日もいっぱい気持ちよくなりましょうね」

 器用にもカイザは私の濡れたところもいじり始めた。
 お互いに向き合い、性器を慰め合う私たち。
 傍から見たら変な光景かもしれないけど、私はこんなことをしていること自体に興奮した。

「カイザ……気持ちいい?」
「ええ、エニーはどうですか?」
「すごい気持ちいい……もっとしたい……あっ!」

 ぐちゅっと彼の指が深く刺さった。
 そしてグリグリと中の特に弱いところを触られる。
 彼の顔を見ていた私は急な刺激にうつむいてしまった。
 それでも止まらない責めに喘ぎ声が漏れ、陰茎を握る手が止まってしまった。

「あなたが求めるままに俺はいくらでも可愛がってあげますよ。いつだって俺はエニーが欲しいんですから……エニー、俺に抱かれるのは気持ちいいでしょう? もっと欲しいでしょう?」
「気持ちいいっ……」
「ちゃんと言ってください。俺に抱かれるのが気持ちいいと」
「か、カイザに抱かれるの……気持ちいいっ」

 ぐちゃぐちゃと責められながら求められた言葉を言うと、カイザは私を押し倒した。
 そのせいで陰茎からもするっと手が抜けてしまい、ベッドに当たった。

「カイザ……?」
「すみません……そろそろ辛抱ならないんで、前と同じように抱きますね」

 宣言の通り、彼は私の膣をさらに指で責め、数回イかせた。
 当然、私の身体から力は抜けてしまい、あとはただ彼に食べられるのを待つだけ。
 前は単に私をいじめて楽しんでいただけかと思っていたけれど、あんな大きいものを入れるために慣らしてくれていたんだなって今さら実感する。
 陰湿なくせに律儀なところのある奴だ。
 そして、私はそんなカイザが……

「好き」

 彼を見上げながら心の声が漏れた。
 
「アンタに会いに行けなかったのは意地を張っていたのもあるけど……負担になりたくなかったの。諜報部員は平民同士みたいに気軽な恋愛はできないでしょ?」

 私の言葉にカイザも神妙な顔つきになった。
 私は彼の名字も、ましてや「カイザ」という名が本名かも知らない。
 諜報部というのはそれだけ秘密主義の集団。
 そこで働く彼の秘密を私は何一つ知らない。
 だとしても。

「ちゃんと言っておいた方がいい気がするから言うけど、私はカイザのことが好きだよ。気持ちいいからじゃなくて、アンタのことが好きだから抱かれたいの。任務とか関係なくね」

 騎士団を尋ね、「カイザなんて騎士はいない」なんて言われるのが怖かった。
 任務にかこつけて本当はただ抱かれたいだけって見透かされるのが怖かった。

「この任務が終わったあともアンタと会えるのかは分からないけど……それでも好きだよ」

 次に会える日が来るのか分からないんだから、言える時に言っちまおう。
 そう思ってやけくそ気味に素直になれた。

「どうやら色々と気を遣ってくれたみたいですね。エニー、俺もあなたのことが好きですよ。毎日でも会いたいくらいに……」
「カイザ、湿っぽいのは無しにしよう。今はただの好き同士として楽しもう。ま、私は研究のことも忘れないようにしつつね」
「そう言われるとそんなもの忘れさせたくなりますね」
「忘れて結局こまるのは諜報部(そっち)だからね」
「そしたら思い出すまで抱いてあげますよ」
「忘れさせたり思い出させたり、身勝手な奴め」

 軽口をたたき合い、カイザはクスクスと笑った。
 ふとお互いに目が合い、私たちは自然とキスをして繋がり合った。
 魔法に翻弄されるだけだった前とは違い、互いに求め合う時間。

「エニー、前よりも締め付けが強いですね」
「そっちが前より大きくなってるだけでしょ」
「そうかもしれませんね。あなたのことが好きですから」
「そういうのっ言うのズルい!」

 鳴り響く水音と肉がぶつかり合う音。
 キスの合間に思ったことを言い合い、愛を囁き合い、私たちはこの時間を精一杯に堪能した。
 ぎゅっと抱き着いたときに感じる筋肉。
 ギシギシとベッドをきしませ、こちらを見下ろす獰猛な顔。

「エニー、愛しています。あなたが思うよりもずっとね」

 私の中に精を注ぎながらささやいた言葉。
それが彼の本心だって私も分かっていた。

「カイザ…………もっと」
「ええ。俺ももっとあなたが欲しいです」
「カイザに抱かれるの好き」
「俺もあなたとの時間が好きですよ」

 彼の足に自分の足を絡ませると、カイザは嬉しそうに微笑んだ。
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