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第1章 呪われた村
22 再会2
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善行点──その名の通り、善行を施すことで得られるポイント。
これについて考えてみた。
今までの傾向から推測すると、たぶんポイントの算出は『人数』が基準になっているんじゃないだろうか。
たとえば、食事を振る舞う──という善行。
仮に一人に振る舞って100ポイントとすれば、十人で1000ポイント、二十人で2000ポイントだ。
モンスター退治なんかは、『村を守った』ということで一定のポイントがつき、さらにモンスターの数に応じてポイントが増える。
あくまでも今まで得られたポイントからの推測だが、いい線ついてそうな気がするぞ。
モンスター退治については、向こうから攻めてくるのを待つのみだが、村の人たち相手の善行は俺の意志でできるからな。
まずはできるだけ大勢に良いことをしよう。
というわけで、俺は地道に善行を積んだ。
この村に来てから、他人に親切にするということを意識的にすることが増えた。
……ポイントを得るため、という打算や計算が混じっているが、まあ最終的に村の利益になるから、そこは大目に見てほしい。
一週間ほどすると、村の人たちへの善行やモンスター撃退を加え、100000ポイントを超えた。
さらに数日後、王都からマキナがやって来た。
「お久しぶり」
銀髪のエルフ少女は、とてとてと俺の元へ歩み寄る。
「二週間ぶりくらいだな。元気だったか?」
「元気爆発」
台詞とは裏腹に淡々とした調子で告げるマキナ。
「カイルに修業してもらって絶対無敵になる」
「そう言われても、俺は……」
「カイルは強い。私もあれくらい強い魔法を撃てるようになりたい」
と、マキナ。
ランク5創生物クラスの魔法か。
撃てたら、間違いなくSSSランク冒険者だろうな。
「そして──いつか、カイルとパーティを組む」
などと、勝手に目標設定しているマキナ。
「二人でたくさんクエストをこなして、一緒にSSSランクに行く」
「SSSランクか……」
最底辺のEランクだった俺には、考えもしなかったことだ。
と、
「カイル様は村になくてはならない人よ。勝手に決めないで」
ノエルが割って入った。
なぜか俺の腕にしがみつき、マキナを軽くにらむ。
ん、ちょっとくっつきすぎじゃないか?
柔らかな胸が二の腕に押し当てられていて、ちょっとドキッとしてしまう。
「じゃあ、ノエルもパーティに入れてあげる」
マキナは変わらず淡々とした調子だ。
「そういう話じゃないでしょ」
「特例」
「特例……?」
ノエルの眉がぴくりと動いた。
「特別扱い。VIP待遇」
「そう言われると惹かれるかも……!」
「でしょ」
「うん」
にっこり微笑みあう少女たち。
なんか和む光景だ。
「やっぱりカイルか」
俺たちの会話を中断したのは、そんな声だった。
マキナが乗ってきた馬車から、さらに数人の冒険者たちがやって来たのだ。
「お前たちは──」
俺はハッと表情をこわばらせた。
忘れるわけもない。
以前に俺を追放したパーティメンバーたちである。
ジュデッカ村での、まさかの再会だった──。
これについて考えてみた。
今までの傾向から推測すると、たぶんポイントの算出は『人数』が基準になっているんじゃないだろうか。
たとえば、食事を振る舞う──という善行。
仮に一人に振る舞って100ポイントとすれば、十人で1000ポイント、二十人で2000ポイントだ。
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あくまでも今まで得られたポイントからの推測だが、いい線ついてそうな気がするぞ。
モンスター退治については、向こうから攻めてくるのを待つのみだが、村の人たち相手の善行は俺の意志でできるからな。
まずはできるだけ大勢に良いことをしよう。
というわけで、俺は地道に善行を積んだ。
この村に来てから、他人に親切にするということを意識的にすることが増えた。
……ポイントを得るため、という打算や計算が混じっているが、まあ最終的に村の利益になるから、そこは大目に見てほしい。
一週間ほどすると、村の人たちへの善行やモンスター撃退を加え、100000ポイントを超えた。
さらに数日後、王都からマキナがやって来た。
「お久しぶり」
銀髪のエルフ少女は、とてとてと俺の元へ歩み寄る。
「二週間ぶりくらいだな。元気だったか?」
「元気爆発」
台詞とは裏腹に淡々とした調子で告げるマキナ。
「カイルに修業してもらって絶対無敵になる」
「そう言われても、俺は……」
「カイルは強い。私もあれくらい強い魔法を撃てるようになりたい」
と、マキナ。
ランク5創生物クラスの魔法か。
撃てたら、間違いなくSSSランク冒険者だろうな。
「そして──いつか、カイルとパーティを組む」
などと、勝手に目標設定しているマキナ。
「二人でたくさんクエストをこなして、一緒にSSSランクに行く」
「SSSランクか……」
最底辺のEランクだった俺には、考えもしなかったことだ。
と、
「カイル様は村になくてはならない人よ。勝手に決めないで」
ノエルが割って入った。
なぜか俺の腕にしがみつき、マキナを軽くにらむ。
ん、ちょっとくっつきすぎじゃないか?
柔らかな胸が二の腕に押し当てられていて、ちょっとドキッとしてしまう。
「じゃあ、ノエルもパーティに入れてあげる」
マキナは変わらず淡々とした調子だ。
「そういう話じゃないでしょ」
「特例」
「特例……?」
ノエルの眉がぴくりと動いた。
「特別扱い。VIP待遇」
「そう言われると惹かれるかも……!」
「でしょ」
「うん」
にっこり微笑みあう少女たち。
なんか和む光景だ。
「やっぱりカイルか」
俺たちの会話を中断したのは、そんな声だった。
マキナが乗ってきた馬車から、さらに数人の冒険者たちがやって来たのだ。
「お前たちは──」
俺はハッと表情をこわばらせた。
忘れるわけもない。
以前に俺を追放したパーティメンバーたちである。
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