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第1章 呪われた村
1 万物創生スキル1
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俺は、行き倒れる寸前だった。
ロクなものを食っていないせいか、目の前がかすむ。
さっき負ったケガの痛みで、意識が遠のく。
こんなところで、死ぬのか。
俺の人生、なんにもいいことがなかったなぁ……。
さかのぼること数日前。
俺──カイルは冒険者パーティから追放された。
理由は、俺が足手まといになったから。
戦力外通告だ。
一ヶ月ほど前、俺たちのパーティはモンスター退治のクエストに行った。
だが、Dランクだという説明だった敵モンスターが、実際にはAランク相当だった。
伝達ミスか、不十分な情報だったのか。
邪神の手先だという、とんでもなく強いモンスターだった。
追い詰められたメンバーを守るため、俺がオトリになった。
数年一緒に戦ってきた、愛着のある仲間たちだったからな。
おかげで彼らは逃げ延びることができた。
俺もモンスターの攻撃で足に傷を負いながらも、運よく逃げきれた。
底辺のEランク冒険者にしては、がんばったと思う。
──のはよかったのだが。
そのときの傷が原因で、俺は片足が上手く動かなくなってしまった。
で、俺はメンバーから戦力外として見捨てられたわけだ。
どうも、彼らは新たな冒険者をパーティに入れたい、と前々から思っていたらしい。
俺よりも有望で、末はBランクか、上手くいけばAランクになろうかという新人剣士だ。
だが人数が増えれば、当然食い扶持も増える。
「もうその足じゃ、俺たちと一緒には戦えないよな?」
「もともとウザかったのよね。あたしたちは適当に稼げればそれでいいのに」
「『弱い者を守るのが冒険者の本分だ』なんて、割に合わない仕事ばかり引き受けてよ」
「正義のヒーローはよそでやってくれ。お前に合わせて仲間ごっこをするのは疲れたよ」
別に、俺がオトリになったことを恩に着てほしいわけじゃない。
だけど、苦楽を共にしてきた仲間たちからの冷たい態度が悲しかった。
……まあ、戦力外になってしまったことは事実だ。
受け入れるしかない。
俺は途方に暮れつつ、とりあえずギルドのある町に戻ることにした。
そして馬車でそこへ向かう途中──。
山道でがけ崩れが起き、馬車は御者ごと押し潰されてしまった。
俺は運よく生き延びたが、ケガを負い、這いずるようにして山道を進んだ。
だが食料を失い、出血もひどく、体に受けたダメージは急激に悪化していく──。
──と言うのが、今の状況だ。
そんなことを考えながら、さらに意識が遠くなってきた。
子どものころの思い出がよみがえってくる。
初恋の女の子にあえなくフラれたこと。
近所のガキ大将にパシリにされたこと。
冒険者になってからの貧乏生活。
特別親しい人もいないし、恋人なんているはずもない。
何かすごいことを成し遂げたわけでもない。
そんな、俺の人生。
……いや、そういえば、一人だけ仲のよかった奴がいたな。
村の外れに住んでいた少年だ。
当時、俺と同い年くらいだったか。
孤児で、どうやって生活しているのか謎だったが、妙な気品があった。
よく言えば、天使のような。
悪く言えば、魔物のような。
そんな印象の少年。
村の人たちは気味悪がって近づかなかったけど、俺はそいつとウマがあい、よく話し相手になってたっけ。
しばらくして村からいなくなっちゃったんだけど……いまごろどうしてるだろうなぁ。
元気だろうか。
「うん、おかげさまで。元気だよ」
声が、聞こえた。
「えっ?」
驚いて顔を上げる──。
いや、上げようとしたけど、その体力もなかった。
視線だけをどうにか上にやると、そこには一人の少年の姿がある。
白銀色の髪に、澄んだ青い瞳。
柔和な顔立ちの美少年。
「お前……は……?」
村にいたころに仲良くしていた、あの少年だ。
なぜか、当時とまったく変わらない姿で立っている──。
ロクなものを食っていないせいか、目の前がかすむ。
さっき負ったケガの痛みで、意識が遠のく。
こんなところで、死ぬのか。
俺の人生、なんにもいいことがなかったなぁ……。
さかのぼること数日前。
俺──カイルは冒険者パーティから追放された。
理由は、俺が足手まといになったから。
戦力外通告だ。
一ヶ月ほど前、俺たちのパーティはモンスター退治のクエストに行った。
だが、Dランクだという説明だった敵モンスターが、実際にはAランク相当だった。
伝達ミスか、不十分な情報だったのか。
邪神の手先だという、とんでもなく強いモンスターだった。
追い詰められたメンバーを守るため、俺がオトリになった。
数年一緒に戦ってきた、愛着のある仲間たちだったからな。
おかげで彼らは逃げ延びることができた。
俺もモンスターの攻撃で足に傷を負いながらも、運よく逃げきれた。
底辺のEランク冒険者にしては、がんばったと思う。
──のはよかったのだが。
そのときの傷が原因で、俺は片足が上手く動かなくなってしまった。
で、俺はメンバーから戦力外として見捨てられたわけだ。
どうも、彼らは新たな冒険者をパーティに入れたい、と前々から思っていたらしい。
俺よりも有望で、末はBランクか、上手くいけばAランクになろうかという新人剣士だ。
だが人数が増えれば、当然食い扶持も増える。
「もうその足じゃ、俺たちと一緒には戦えないよな?」
「もともとウザかったのよね。あたしたちは適当に稼げればそれでいいのに」
「『弱い者を守るのが冒険者の本分だ』なんて、割に合わない仕事ばかり引き受けてよ」
「正義のヒーローはよそでやってくれ。お前に合わせて仲間ごっこをするのは疲れたよ」
別に、俺がオトリになったことを恩に着てほしいわけじゃない。
だけど、苦楽を共にしてきた仲間たちからの冷たい態度が悲しかった。
……まあ、戦力外になってしまったことは事実だ。
受け入れるしかない。
俺は途方に暮れつつ、とりあえずギルドのある町に戻ることにした。
そして馬車でそこへ向かう途中──。
山道でがけ崩れが起き、馬車は御者ごと押し潰されてしまった。
俺は運よく生き延びたが、ケガを負い、這いずるようにして山道を進んだ。
だが食料を失い、出血もひどく、体に受けたダメージは急激に悪化していく──。
──と言うのが、今の状況だ。
そんなことを考えながら、さらに意識が遠くなってきた。
子どものころの思い出がよみがえってくる。
初恋の女の子にあえなくフラれたこと。
近所のガキ大将にパシリにされたこと。
冒険者になってからの貧乏生活。
特別親しい人もいないし、恋人なんているはずもない。
何かすごいことを成し遂げたわけでもない。
そんな、俺の人生。
……いや、そういえば、一人だけ仲のよかった奴がいたな。
村の外れに住んでいた少年だ。
当時、俺と同い年くらいだったか。
孤児で、どうやって生活しているのか謎だったが、妙な気品があった。
よく言えば、天使のような。
悪く言えば、魔物のような。
そんな印象の少年。
村の人たちは気味悪がって近づかなかったけど、俺はそいつとウマがあい、よく話し相手になってたっけ。
しばらくして村からいなくなっちゃったんだけど……いまごろどうしてるだろうなぁ。
元気だろうか。
「うん、おかげさまで。元気だよ」
声が、聞こえた。
「えっ?」
驚いて顔を上げる──。
いや、上げようとしたけど、その体力もなかった。
視線だけをどうにか上にやると、そこには一人の少年の姿がある。
白銀色の髪に、澄んだ青い瞳。
柔和な顔立ちの美少年。
「お前……は……?」
村にいたころに仲良くしていた、あの少年だ。
なぜか、当時とまったく変わらない姿で立っている──。
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