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3-炎の精霊
21.少女、座する。
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陽も暮れかけた頃、大型旅客機ホウェールは『桜花国』へとたどり着いた。シーサイドブルーのような崖の港はないのでマリアは海に着水し接岸した。操舵手はタラップを下ろし乗客たちを手際よく降ろしていく。一番最後に地を踏んだニチカたちを見下ろしながら、ミームはグッと親指を立てて見せた。
「アンタたちならいつでもタダで乗せてあげるからまた呼んでよ」
「ありがとうミーム! 元気でね」
「『あなた方の旅が無事でありますように』じゃあまたどこかでねっ」
最後にウィンクを残しミームはひらりと操縦席に舞い戻る。すぐさまホウェールはぐんっと急上昇をかけ、始まりかけた夜の藍に溶け込んでいった。それを見送りながらニチカは素直な喜びを口に出す。
「また、かぁ。どこかで会えるといいな」
「社交辞令だろ」
「またそういうこと言う」
「シャコーって何? どこかで食べれる?」
そんな事を言い合いながら一行は桜花国の幻想的な街並みの中を歩いていく。咲き誇る桜並木を見上げながらニチカは懐かしい既視感に包まれていた。
「和風の国なんだ」
あちこち灯り始めた灯篭は優しく、街並みもどことなく優美なもので映画でみた遊郭のような雰囲気に近い。けれども和風な街並みの中をファンタジーな格好をした人たちが行きかう光景はなかなか不思議な物で、やはりここは異世界なのだとぼんやり思う。
「そういえばウルフィ、その格好で大丈夫なの?」
ふと気づいてオオカミの姿のままだった彼に問いかける。四つ足で歩いていた彼はそういえばと首を傾げた。
「ねぇご主人、僕変身しなくていーの?」
その言葉に先を歩いていたオズワルドは、チラリとこちらを見てから肩をすくめてみせる。心配するにしてもタイミングが遅すぎだと言いたいらしい。
「桜花国も含め、ここらへんは長耳族の受け入れに寛容だ。お前みたいなのが歩いていても問題はないだろう」
言われてみれば、さきほどからすれ違う人の中にはあきらかに人ではないものがまじっている。腕にウロコのある者や耳が生えた獣人などだ。
(ああいう人たちも居るんだ)
なおさらこの世界について早急に学ぼうとしたところでふと気づく。先ほどからオズワルドはどこに向かっているのか。
「ねぇ、どこに向かってるの? そっちはお城しかないけど」
「この国に来たら由良様にご挨拶することになっている」
「ゆらさま?」
「この国の姫君だ」
***
まるで時代劇にでも出てきそうな座敷に通されニチカはあっけにとられていた。い草の匂い、漆塗りの梁、金屏風が目にもまぶしい。
「お姫様と知り合いだなんて、どういうこと?」
「俺の作った魔女道具を甚(いた)く気に入ってくれてな、それから懇意な取り引きをして頂いている」
「このタタミってやつ、爪がひっかかるよー!」
めいめい喚く一行に気分を害した様子もなく、ここまで案内をしてくれた着物姿の女性が一言言い残し、しとやかな動きで退出した。
「それではこちらで少々お待ちくださいませ」
一行はそれぞれ座りながら待機する。きちんと正座したニチカは隣の男を横目で軽くにらみつけた。
「お姫様に会うっていうのに、あぐらはどうかと思うの」
「うるさいな、そのセイザってやつはどうにも苦手なんだよ」
逆にどうして出来るんだと聞かれ説明しようとした時だった。ふすまがサッと開き誰かがしとやかに入室してくる。
妖艶という言葉がこれほど似合う人も居ないだろう。艶やかな黒髪は滝のように流れ、潤んだ瞳は伏し目がちに伏せられている。幾重にも重ねられた和装が歩くたびシャラリと音をたてた。
彼女は赤みがかった眼差しをゆるりと開け、あでやかに微笑んで見せた。
「よぉ、おいでなさいました」
ぽってりと紅がひかれた口からこぼれる声まで色っぽい。どこをとっても完璧な美人を前に、ニチカはポカンと口をあけるしかできなかった。それとは逆に、慣れた様子の師匠は背筋を伸ばし感じの良い声を出す。
「お久しぶりでございます由良姫、お変わりないようで」
「西の魔女様、あなたも元気そうで何よりです、お会いしとうございましたわ」
そこでニチカの方に視線を向けた姫様は、いまだ放心状態の少女にクスクスと口元を隠した。
「今日はずいぶんと可愛らしいお方をつれてらっしゃいますのね」
「あっ、初めまして! ニチカっていいます!」
その名前に彼女はまぁ、と顔をほころばせた。
「日花さん? とってもいいお名前ねぇ、どのあたりのお名前なのかしら」
「え、えーと」
「はい?」
「…………ニッポン?」
スパーン! と、横からすばやくはたかれ口をつぐむ。妙なこと言うなという無言の圧力を感じてニチカは素直に黙ることにした。
「僕はねー、ウルフィ!」
「ウルフィさんも、ようこそいらっしゃいました」
おっとりと微笑んだ彼女に、ニチカは憧れにも近い気持ちを感じてドキドキしてしまう。同性でこれなのだから男性など一発で彼女の虜になってしまうに違いない。
「して、今回はどのような御用でおいでなすったのでしょう?」
「由良姫、しばらく私たちを匿って頂けないでしょうか」
オズワルドはいつもの気だるげな様子を微塵も感じさせないキリッとした表情で言う。魔女協会に追われている事情を聞いた後、姫はうなずいた。
「よいでしょう、元よりこの桜花国は自由の国。審議官なるものを手引きしようとは思わぬゆえご安心くださいませ」
「ありがとうございます」
深々と頭を垂れる師匠にならってニチカも頭を下げる。ひと段落ついたと判断したのだろう、由良姫は唐突に話題を切り替えて来た。オズワルドだけ秘密の相談を持ち掛けるようイタズラめいた笑みを向ける。
「さて、それでは新しい商品を見せて頂きましょうか、あなたのことですからたくさん持ってきたのでしょう?」
「もちろん、今回も新商品を大量にご用意してあります。お気に召すものがあればよいのですが」
「ふふ、では別室へどうぞ」
立ち上がり出て行こうとする二人にニチカは戸惑う。その気配を察したのだろう、振り返った師匠はそっけなく言い放つ。
「俺はこれから仕事の話をする。お前たちは先に街に戻って宿でも取っていろ」
それだけを言い残し本当に出て行ってしまった。その腕にしな垂れかかるような由良姫を見て心の内にもやっとしたものがわだかまる。
「な、なによあれ」
「秘密のお話なんだって、よくあることだよ」
「……ふーん」
「アンタたちならいつでもタダで乗せてあげるからまた呼んでよ」
「ありがとうミーム! 元気でね」
「『あなた方の旅が無事でありますように』じゃあまたどこかでねっ」
最後にウィンクを残しミームはひらりと操縦席に舞い戻る。すぐさまホウェールはぐんっと急上昇をかけ、始まりかけた夜の藍に溶け込んでいった。それを見送りながらニチカは素直な喜びを口に出す。
「また、かぁ。どこかで会えるといいな」
「社交辞令だろ」
「またそういうこと言う」
「シャコーって何? どこかで食べれる?」
そんな事を言い合いながら一行は桜花国の幻想的な街並みの中を歩いていく。咲き誇る桜並木を見上げながらニチカは懐かしい既視感に包まれていた。
「和風の国なんだ」
あちこち灯り始めた灯篭は優しく、街並みもどことなく優美なもので映画でみた遊郭のような雰囲気に近い。けれども和風な街並みの中をファンタジーな格好をした人たちが行きかう光景はなかなか不思議な物で、やはりここは異世界なのだとぼんやり思う。
「そういえばウルフィ、その格好で大丈夫なの?」
ふと気づいてオオカミの姿のままだった彼に問いかける。四つ足で歩いていた彼はそういえばと首を傾げた。
「ねぇご主人、僕変身しなくていーの?」
その言葉に先を歩いていたオズワルドは、チラリとこちらを見てから肩をすくめてみせる。心配するにしてもタイミングが遅すぎだと言いたいらしい。
「桜花国も含め、ここらへんは長耳族の受け入れに寛容だ。お前みたいなのが歩いていても問題はないだろう」
言われてみれば、さきほどからすれ違う人の中にはあきらかに人ではないものがまじっている。腕にウロコのある者や耳が生えた獣人などだ。
(ああいう人たちも居るんだ)
なおさらこの世界について早急に学ぼうとしたところでふと気づく。先ほどからオズワルドはどこに向かっているのか。
「ねぇ、どこに向かってるの? そっちはお城しかないけど」
「この国に来たら由良様にご挨拶することになっている」
「ゆらさま?」
「この国の姫君だ」
***
まるで時代劇にでも出てきそうな座敷に通されニチカはあっけにとられていた。い草の匂い、漆塗りの梁、金屏風が目にもまぶしい。
「お姫様と知り合いだなんて、どういうこと?」
「俺の作った魔女道具を甚(いた)く気に入ってくれてな、それから懇意な取り引きをして頂いている」
「このタタミってやつ、爪がひっかかるよー!」
めいめい喚く一行に気分を害した様子もなく、ここまで案内をしてくれた着物姿の女性が一言言い残し、しとやかな動きで退出した。
「それではこちらで少々お待ちくださいませ」
一行はそれぞれ座りながら待機する。きちんと正座したニチカは隣の男を横目で軽くにらみつけた。
「お姫様に会うっていうのに、あぐらはどうかと思うの」
「うるさいな、そのセイザってやつはどうにも苦手なんだよ」
逆にどうして出来るんだと聞かれ説明しようとした時だった。ふすまがサッと開き誰かがしとやかに入室してくる。
妖艶という言葉がこれほど似合う人も居ないだろう。艶やかな黒髪は滝のように流れ、潤んだ瞳は伏し目がちに伏せられている。幾重にも重ねられた和装が歩くたびシャラリと音をたてた。
彼女は赤みがかった眼差しをゆるりと開け、あでやかに微笑んで見せた。
「よぉ、おいでなさいました」
ぽってりと紅がひかれた口からこぼれる声まで色っぽい。どこをとっても完璧な美人を前に、ニチカはポカンと口をあけるしかできなかった。それとは逆に、慣れた様子の師匠は背筋を伸ばし感じの良い声を出す。
「お久しぶりでございます由良姫、お変わりないようで」
「西の魔女様、あなたも元気そうで何よりです、お会いしとうございましたわ」
そこでニチカの方に視線を向けた姫様は、いまだ放心状態の少女にクスクスと口元を隠した。
「今日はずいぶんと可愛らしいお方をつれてらっしゃいますのね」
「あっ、初めまして! ニチカっていいます!」
その名前に彼女はまぁ、と顔をほころばせた。
「日花さん? とってもいいお名前ねぇ、どのあたりのお名前なのかしら」
「え、えーと」
「はい?」
「…………ニッポン?」
スパーン! と、横からすばやくはたかれ口をつぐむ。妙なこと言うなという無言の圧力を感じてニチカは素直に黙ることにした。
「僕はねー、ウルフィ!」
「ウルフィさんも、ようこそいらっしゃいました」
おっとりと微笑んだ彼女に、ニチカは憧れにも近い気持ちを感じてドキドキしてしまう。同性でこれなのだから男性など一発で彼女の虜になってしまうに違いない。
「して、今回はどのような御用でおいでなすったのでしょう?」
「由良姫、しばらく私たちを匿って頂けないでしょうか」
オズワルドはいつもの気だるげな様子を微塵も感じさせないキリッとした表情で言う。魔女協会に追われている事情を聞いた後、姫はうなずいた。
「よいでしょう、元よりこの桜花国は自由の国。審議官なるものを手引きしようとは思わぬゆえご安心くださいませ」
「ありがとうございます」
深々と頭を垂れる師匠にならってニチカも頭を下げる。ひと段落ついたと判断したのだろう、由良姫は唐突に話題を切り替えて来た。オズワルドだけ秘密の相談を持ち掛けるようイタズラめいた笑みを向ける。
「さて、それでは新しい商品を見せて頂きましょうか、あなたのことですからたくさん持ってきたのでしょう?」
「もちろん、今回も新商品を大量にご用意してあります。お気に召すものがあればよいのですが」
「ふふ、では別室へどうぞ」
立ち上がり出て行こうとする二人にニチカは戸惑う。その気配を察したのだろう、振り返った師匠はそっけなく言い放つ。
「俺はこれから仕事の話をする。お前たちは先に街に戻って宿でも取っていろ」
それだけを言い残し本当に出て行ってしまった。その腕にしな垂れかかるような由良姫を見て心の内にもやっとしたものがわだかまる。
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