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21 彼女の名前
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ネイドの表情に、リサはどきりとした。
彼の姿は女神の力を宿しているのか、淡く発光していて、暗闇の中でもよく見える。先程呼びかけた時には、すうっとずらされたはずの視線が、今はちゃんとリサをとらえていて、真摯な光を浮かべていた。
ずっと探していたと言った。会いたかったのだと。
その意味が頭の中に行きわたった瞬間、リサは、かぁっと全身が熱くなった。
彼も二年前のことを覚えていてくれたのだ。そうして、会いたいと思ってくれていた。
それはどうして?
自惚れてしまいそうな自分を叱咤して、理由を探す。だが、ネイドの視線を感じて、考えがまとまらなかった。
物憂げといっていい微笑を口元に刷いた彼は、いつも以上に麗しかった。麗しいというか、色っぽかった。よく鍛えられた上半身を惜しげもなくさらし、兄弟や父の裸など見慣れたはずのリサでも、目のやり場に困る何かを醸しだしている。
日の光に輝く氷の欠片を思い起こさせる華やかで精悍な容貌が、熱を感じる瞳で彼女を見つめている。暗闇を背景に、松明に照らされた雪がちらちらと舞い散る中、幻想的な光景だった。
夢みたいだった。リサは暫し、ぽやんとしてネイドに見惚れた。
「でも、あなたは見つからなかった。……いったい、どこにいたのですか?」
彼の声に現実に引き戻され、はっとしてリサは答えた。
「し、神殿に、いました」
「神殿のどこに?」
「見習いだったので、裏方仕事をしていました」
「そうだったのですか」
彼女は下を向いた。とても言えなかった。彼の姿を見つけると、物陰に隠れて、じっくり観察していたとは。
どうりで、よく彼の姿を見かけると思ったはずだ。あれは、探してくれていたからだったのだ。あんな裏庭や通用通路まで、何の用があるのかと思っていた。
「では、私が何かあなたの気分を害するようなことを、したわけではなかったのですね?」
「え? ええ?」
リサは驚いて顔を上げて頷いた。
「はい。もちろんです。そんなことありませんでした。助けていただいて、シーツが泥まみれにならなくて、本当に感謝しています。それに、運んでいただいて、雪に濡らすこともなくて、とても助かりました。その節は、ありがとうございました」
「よかった」
ネイドはほっとしたように笑った。
「さけられていたのかと思っていました」
「そ、そんなことないです……」
言い当てられて、リサは歯切れ悪く答え、しまった、と思った。いかにも嘘っぽいそれに、ネイドが顔をくもらせたのだ。
「ほ、本当に、嬉しかったんですよ! 挫いていないかと足のことまで気遣ってくださって、なんでもなかったことに、よかったと微笑んでくださって。……私、親兄弟以外に、男の人に笑いかけられるのなんて、滅多になかったので。あの、こんな容姿だから。だ、だから、私、村を出て、神殿に来たんです。結婚できないと、いずれ、兄の家族に迷惑をかけると思ったから。それなのに、見も知らないこんな私にまで、分けへだてなく優しくしてくださって、そ、その、尊敬していました。いつも、騎士団のお仕事で外へ行かれると聞いた時は、ネイド様が何事もなく帰ってこられますようにと、女神に祈っていました」
「祈ってくれていたんですか?」
「はい。毎日朝晩、ご武運を……」
それは内緒だった。必死にまくしたてているうちに、いらないことまで口にして、リサは、あわわわわわ、と挙動不審気味にうつむいた。
リサみたいな醜い女性に、毎日思いをはせられていたなんて、迷惑以外のなにものでもないだろうと思い、彼女は身を小さくして謝った。
「す、すみません……」
「謝らないでください。とても嬉しいです」
喜びに満ちた声に、そろりと目をあげれば、ネイドが輝かんばかりに微笑んでいた。
「あなたが自信がないのは、故郷の男たちに問題があったんですね」
「いえ、あの、私の容姿が、」
「私は、あなたほど魅力的な女性を他に知りません」
「え、そ、そんなわけないです。だって、いつも綺麗なお嬢様たちが、差し入れを持ってみえていて、」
「ああ、妹とその友人ですね。たしかに、彼女たちも美しく可愛らしいとは思いますが、私には魅力的に思えなかった」
「で、でも、髪も目もまっくろで、こんな大きな胸をしてて、お、お尻も、」
そこまで言って、男性の前でいったい自分は何を言っているのかと我に返り、恥ずかしさに冷や汗が出てくる。
「そのすべてが魅力的です」
言い切ったネイドに、あがりきったリサは、反射的に言い返した。
「う、嘘。嘘です、だって、ネイド様は目をそらしました! 巫女姫に選ばれた日、私の顔から目をそらして。いつも、さ、さっきだって、私に視線があうと、すっと横にずらして。わ、私が、醜い、から」
「違います。それは、」
あわてたように否定したネイドが、言葉につまった。言いにくそうに斜めに顔をそむける。けれど、一つ大きく息をすると、観念したみたいに、ぼそぼそと言った。
「それは、あなたが魅力的すぎて、平静ではいられなくなるからです。……その、女神の選ぶ衣裳はどれも、……少々胸元が開いていて、目のやり場に困るのです。その、けっして見たくないわけではなく、見てはいけないかと……」
「え? あっ」
リサは自分の体を見下ろして、そうだったと気付いた。自分は下着だけのあられもない姿をしていたのだった。思い返してみれば、巫女姫選定の時も、普段の下着よりまだ露出の高い服を着ていた。それをネイドは紳士の気遣いで、見ないようにしてくれていたのだ。
「ああああの、すみません……」
とんでもない恥ずかしさに、リサは胸を隠す腕に力を込めた。
「いいえ、不審を招くような態度をとっていたことを、お詫びします」
「いいんです、すみません、私が誤解してました、ネイド様は優しくて誠実な方なのに、すみません」
「信じてもらえましたか?」
「はい! 信じます!」
「よかった」
にこりとしたネイドに、リサも、おずおずと笑う。
「……ところで、聖下、私を呼ぶときには、敬称をつけないと約束してくれたはずですが」
「そ、そうでした。でも、ネイド様、あ、えと、騎士ネイドだって、聖下とか巫女姫とか呼んでくださるのに、私ばかりそんな呼び方はできません」
ちょっと拗ねた気持ちを込めて言う。いかにも巫女姫としての自分にしか用がないように思えて、ずっと嫌だったのだ。
「では、お名前を教えてもらえますか?」
「え?」
「お名前を教えてもらっていなかったので、そのようにしか呼べなかったのですが」
「ええっ!? そ、そうでしたか?」
「はい」
ネイドが深々と頷く。まさか、そんな、と思いながらも、巫女姫に選ばれた時に、彼に丁寧な挨拶をしてもらった覚えはあったが、その後は混乱して、何を言ったか、何をしたか、ほとんど記憶にない。
「申し訳ありません!! リサ・エイメです。どうぞリサとお呼びください!」
彼女はほとんど叫ぶようにして名乗った。
「はい。……リサ」
優しく甘やかに呼ばれて、彼女の鼓動が不規則に打った。いっぺんに二、三度体温が上がる。
「はい」
震える声で返事する。最早名前を教えたことを後悔しながら。さすがに、貴族のお嬢様たちが夢中になるはずだと思った。ただ名前を呼ぶだけなのに、どうしてこの人は、こんなに心臓に悪い言い方ができるんだろう?
「もう一つだけ、あなたの誤解を解いておきたいのですが」
「はい、なんでしょうか……」
リサはこれ以上心臓がおかしくなるようなことを言われたらどうしようと、怖々と聞き返した。
「私は、あなたが言うほど立派な人格者ではありません。誰にでも優しい態度をとるわけではないんですよ」
「そうなんですか?」
彼が何を言いたいのかすぐにわからなかったリサは、意味深な言い方だと思いながらも、小首を傾げた。
「ええ、そうなんです」
ネイドはただ肯定だけして、それ以上の説明をせず、楽しそうに目を細めた。
彼の姿は女神の力を宿しているのか、淡く発光していて、暗闇の中でもよく見える。先程呼びかけた時には、すうっとずらされたはずの視線が、今はちゃんとリサをとらえていて、真摯な光を浮かべていた。
ずっと探していたと言った。会いたかったのだと。
その意味が頭の中に行きわたった瞬間、リサは、かぁっと全身が熱くなった。
彼も二年前のことを覚えていてくれたのだ。そうして、会いたいと思ってくれていた。
それはどうして?
自惚れてしまいそうな自分を叱咤して、理由を探す。だが、ネイドの視線を感じて、考えがまとまらなかった。
物憂げといっていい微笑を口元に刷いた彼は、いつも以上に麗しかった。麗しいというか、色っぽかった。よく鍛えられた上半身を惜しげもなくさらし、兄弟や父の裸など見慣れたはずのリサでも、目のやり場に困る何かを醸しだしている。
日の光に輝く氷の欠片を思い起こさせる華やかで精悍な容貌が、熱を感じる瞳で彼女を見つめている。暗闇を背景に、松明に照らされた雪がちらちらと舞い散る中、幻想的な光景だった。
夢みたいだった。リサは暫し、ぽやんとしてネイドに見惚れた。
「でも、あなたは見つからなかった。……いったい、どこにいたのですか?」
彼の声に現実に引き戻され、はっとしてリサは答えた。
「し、神殿に、いました」
「神殿のどこに?」
「見習いだったので、裏方仕事をしていました」
「そうだったのですか」
彼女は下を向いた。とても言えなかった。彼の姿を見つけると、物陰に隠れて、じっくり観察していたとは。
どうりで、よく彼の姿を見かけると思ったはずだ。あれは、探してくれていたからだったのだ。あんな裏庭や通用通路まで、何の用があるのかと思っていた。
「では、私が何かあなたの気分を害するようなことを、したわけではなかったのですね?」
「え? ええ?」
リサは驚いて顔を上げて頷いた。
「はい。もちろんです。そんなことありませんでした。助けていただいて、シーツが泥まみれにならなくて、本当に感謝しています。それに、運んでいただいて、雪に濡らすこともなくて、とても助かりました。その節は、ありがとうございました」
「よかった」
ネイドはほっとしたように笑った。
「さけられていたのかと思っていました」
「そ、そんなことないです……」
言い当てられて、リサは歯切れ悪く答え、しまった、と思った。いかにも嘘っぽいそれに、ネイドが顔をくもらせたのだ。
「ほ、本当に、嬉しかったんですよ! 挫いていないかと足のことまで気遣ってくださって、なんでもなかったことに、よかったと微笑んでくださって。……私、親兄弟以外に、男の人に笑いかけられるのなんて、滅多になかったので。あの、こんな容姿だから。だ、だから、私、村を出て、神殿に来たんです。結婚できないと、いずれ、兄の家族に迷惑をかけると思ったから。それなのに、見も知らないこんな私にまで、分けへだてなく優しくしてくださって、そ、その、尊敬していました。いつも、騎士団のお仕事で外へ行かれると聞いた時は、ネイド様が何事もなく帰ってこられますようにと、女神に祈っていました」
「祈ってくれていたんですか?」
「はい。毎日朝晩、ご武運を……」
それは内緒だった。必死にまくしたてているうちに、いらないことまで口にして、リサは、あわわわわわ、と挙動不審気味にうつむいた。
リサみたいな醜い女性に、毎日思いをはせられていたなんて、迷惑以外のなにものでもないだろうと思い、彼女は身を小さくして謝った。
「す、すみません……」
「謝らないでください。とても嬉しいです」
喜びに満ちた声に、そろりと目をあげれば、ネイドが輝かんばかりに微笑んでいた。
「あなたが自信がないのは、故郷の男たちに問題があったんですね」
「いえ、あの、私の容姿が、」
「私は、あなたほど魅力的な女性を他に知りません」
「え、そ、そんなわけないです。だって、いつも綺麗なお嬢様たちが、差し入れを持ってみえていて、」
「ああ、妹とその友人ですね。たしかに、彼女たちも美しく可愛らしいとは思いますが、私には魅力的に思えなかった」
「で、でも、髪も目もまっくろで、こんな大きな胸をしてて、お、お尻も、」
そこまで言って、男性の前でいったい自分は何を言っているのかと我に返り、恥ずかしさに冷や汗が出てくる。
「そのすべてが魅力的です」
言い切ったネイドに、あがりきったリサは、反射的に言い返した。
「う、嘘。嘘です、だって、ネイド様は目をそらしました! 巫女姫に選ばれた日、私の顔から目をそらして。いつも、さ、さっきだって、私に視線があうと、すっと横にずらして。わ、私が、醜い、から」
「違います。それは、」
あわてたように否定したネイドが、言葉につまった。言いにくそうに斜めに顔をそむける。けれど、一つ大きく息をすると、観念したみたいに、ぼそぼそと言った。
「それは、あなたが魅力的すぎて、平静ではいられなくなるからです。……その、女神の選ぶ衣裳はどれも、……少々胸元が開いていて、目のやり場に困るのです。その、けっして見たくないわけではなく、見てはいけないかと……」
「え? あっ」
リサは自分の体を見下ろして、そうだったと気付いた。自分は下着だけのあられもない姿をしていたのだった。思い返してみれば、巫女姫選定の時も、普段の下着よりまだ露出の高い服を着ていた。それをネイドは紳士の気遣いで、見ないようにしてくれていたのだ。
「ああああの、すみません……」
とんでもない恥ずかしさに、リサは胸を隠す腕に力を込めた。
「いいえ、不審を招くような態度をとっていたことを、お詫びします」
「いいんです、すみません、私が誤解してました、ネイド様は優しくて誠実な方なのに、すみません」
「信じてもらえましたか?」
「はい! 信じます!」
「よかった」
にこりとしたネイドに、リサも、おずおずと笑う。
「……ところで、聖下、私を呼ぶときには、敬称をつけないと約束してくれたはずですが」
「そ、そうでした。でも、ネイド様、あ、えと、騎士ネイドだって、聖下とか巫女姫とか呼んでくださるのに、私ばかりそんな呼び方はできません」
ちょっと拗ねた気持ちを込めて言う。いかにも巫女姫としての自分にしか用がないように思えて、ずっと嫌だったのだ。
「では、お名前を教えてもらえますか?」
「え?」
「お名前を教えてもらっていなかったので、そのようにしか呼べなかったのですが」
「ええっ!? そ、そうでしたか?」
「はい」
ネイドが深々と頷く。まさか、そんな、と思いながらも、巫女姫に選ばれた時に、彼に丁寧な挨拶をしてもらった覚えはあったが、その後は混乱して、何を言ったか、何をしたか、ほとんど記憶にない。
「申し訳ありません!! リサ・エイメです。どうぞリサとお呼びください!」
彼女はほとんど叫ぶようにして名乗った。
「はい。……リサ」
優しく甘やかに呼ばれて、彼女の鼓動が不規則に打った。いっぺんに二、三度体温が上がる。
「はい」
震える声で返事する。最早名前を教えたことを後悔しながら。さすがに、貴族のお嬢様たちが夢中になるはずだと思った。ただ名前を呼ぶだけなのに、どうしてこの人は、こんなに心臓に悪い言い方ができるんだろう?
「もう一つだけ、あなたの誤解を解いておきたいのですが」
「はい、なんでしょうか……」
リサはこれ以上心臓がおかしくなるようなことを言われたらどうしようと、怖々と聞き返した。
「私は、あなたが言うほど立派な人格者ではありません。誰にでも優しい態度をとるわけではないんですよ」
「そうなんですか?」
彼が何を言いたいのかすぐにわからなかったリサは、意味深な言い方だと思いながらも、小首を傾げた。
「ええ、そうなんです」
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