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158:エルフの国・4
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「私がエルフの国の王、アークトゥルス。エルフの国へようこそ」
イケメンボイスが部屋の中に静かに響き渡り、私は思わずじっと王様を見つめてしまう。だって噂に違わず美形なんだよ!?え、エルフって本当に皆こんなに美形なの?美形集団なの?
傾国出来そうじゃない?
「.....何考えてるのか微妙に嫌な予感しかしないが.....リン、此方が今のエルフの王様だ」
「ハッ!」
穴が空くくらいジーッと王様を見ていた私に師匠がたまらず声を掛けてきたようだ。
「アークトゥルス様、此方が私の弟子のリンです。今回の事ではご迷惑をお掛けしますが宜しくお願いします」
師匠が珍しく頭まで下げて私の事を王様に頼むから、私も同じように真似をして頭を下げる。正直王族に対してどんな作法が正解なのかはわからないけどまぁ真似をしていたら大丈夫じゃないだろうか?
「まぁ確かに急な事に....しかもお主からだったから驚きはしたが....事情が事情だから仕方がないだろう。そのまま人の王族に会っていたら囲われるのは目に見えているからな」
「はい」
え.....?マジで?
正直面倒臭いとだけ思ってたけど事はそこまで大事になりそうな事だったのかな?
「人の国の王公貴族程、欲深い者は居ない。私達エルフは人よりも遥かに長い年月を生きているがその中でも賢王と呼ばれる人の王は両の手の指で足りる程しか居なかったからな」
エルフの王様はその綺麗な顔に苦笑を滲ませながらそう語る。その中には王様が親しくしていた人の王様も居たのだろうか?
「取り敢えず騒ぎが静まるまでこの国で生活すれば良いだろう。シリアスに師事しているとも聞いているし、この国には人の国では暮らしにくい人も住んでいるし他の種族も多種多様に居る。この国にはエルフに許可を貰わなければ他者は入れないようになっているからその身を心配する必要がなく生活出来るだろう。シリウス」
「はい」
「お前の屋敷で保護するのだろう?」
「そうですね。一応そのつもりですが....ここでの生活に慣れてリンが独立したいなら援助はするつもりです」
「そうか。なら好きにして良いぞ。一応お前から連絡があった時に既に周囲には周知してあるから問題は起きない筈だ」
「わかりました」
王様と師匠が何やらこれからこの国での生活について話し合っているみたいだけど何も聞かされて居ない私にはさっぱり理解出来ない。けど話の内容から師匠の家で世話になるのだけはわかったから取り敢えず暫くの間はエルフの国での生活に困ることはなさそうで内心ホッとする。
....まぁね、連れてくるだけ連れてきて放ったらかしにするような人じゃ無い事は今までの付き合いからもわかるんだけどね....
「リン、我らは君を私達の隣人として認めよう。エルフの国を楽しんでくれると嬉しい」
「はい。ありがとうございます」
そうして謁見の間を出て、私達は城を後にした。最初はどうなる事かと思ったけど本当に軽く挨拶しただけで済んだので良かった。日本での礼儀作法が通用するか微妙だったけど特に何も指摘されなかったし無事に帰れたんだから大丈夫だったと思おう。
「師匠、これからどうするんですか?」
城への行きは馬車だったが帰りはどうやらこのまま歩いて行くらしい。
「俺の家へと向かう」
「師匠の家?」
そう言えばさっき王様と話してたっけ?師匠の家でお世話になるって。
「この国にリンが慣れるまでは俺の家で生活して貰う。人の国とそこまで変わる生活じゃないが追手がどうなってるか連絡がしやすい方が良いからな」
「....それは私も有難いですけど良いんですか?」
「俺は別に構わないが....実は家には両親達が住んでいるからお前が逆に気を使わないかの方が心配だな」
「え!?」
まさかの実家!?え?私がお邪魔して本当に大丈夫なの!?
「師匠の実家!?え?私なんかがお世話になって大丈夫なんですか!?」
「....それは問題ない。既に連絡済みだし逆に両親達はリンが来るのを楽しみに待ってるみたいだからな」
師匠が溜め息を付きながら苦笑している。何とも言えない反応に私の方が対応に困ってしまう。
「まぁ取り敢えず行って見ればわかる」
そう言って連れて行かれた師匠の実家で、その師匠の何とも言えない反応の答えが直ぐ様理解出来たのだった。
イケメンボイスが部屋の中に静かに響き渡り、私は思わずじっと王様を見つめてしまう。だって噂に違わず美形なんだよ!?え、エルフって本当に皆こんなに美形なの?美形集団なの?
傾国出来そうじゃない?
「.....何考えてるのか微妙に嫌な予感しかしないが.....リン、此方が今のエルフの王様だ」
「ハッ!」
穴が空くくらいジーッと王様を見ていた私に師匠がたまらず声を掛けてきたようだ。
「アークトゥルス様、此方が私の弟子のリンです。今回の事ではご迷惑をお掛けしますが宜しくお願いします」
師匠が珍しく頭まで下げて私の事を王様に頼むから、私も同じように真似をして頭を下げる。正直王族に対してどんな作法が正解なのかはわからないけどまぁ真似をしていたら大丈夫じゃないだろうか?
「まぁ確かに急な事に....しかもお主からだったから驚きはしたが....事情が事情だから仕方がないだろう。そのまま人の王族に会っていたら囲われるのは目に見えているからな」
「はい」
え.....?マジで?
正直面倒臭いとだけ思ってたけど事はそこまで大事になりそうな事だったのかな?
「人の国の王公貴族程、欲深い者は居ない。私達エルフは人よりも遥かに長い年月を生きているがその中でも賢王と呼ばれる人の王は両の手の指で足りる程しか居なかったからな」
エルフの王様はその綺麗な顔に苦笑を滲ませながらそう語る。その中には王様が親しくしていた人の王様も居たのだろうか?
「取り敢えず騒ぎが静まるまでこの国で生活すれば良いだろう。シリアスに師事しているとも聞いているし、この国には人の国では暮らしにくい人も住んでいるし他の種族も多種多様に居る。この国にはエルフに許可を貰わなければ他者は入れないようになっているからその身を心配する必要がなく生活出来るだろう。シリウス」
「はい」
「お前の屋敷で保護するのだろう?」
「そうですね。一応そのつもりですが....ここでの生活に慣れてリンが独立したいなら援助はするつもりです」
「そうか。なら好きにして良いぞ。一応お前から連絡があった時に既に周囲には周知してあるから問題は起きない筈だ」
「わかりました」
王様と師匠が何やらこれからこの国での生活について話し合っているみたいだけど何も聞かされて居ない私にはさっぱり理解出来ない。けど話の内容から師匠の家で世話になるのだけはわかったから取り敢えず暫くの間はエルフの国での生活に困ることはなさそうで内心ホッとする。
....まぁね、連れてくるだけ連れてきて放ったらかしにするような人じゃ無い事は今までの付き合いからもわかるんだけどね....
「リン、我らは君を私達の隣人として認めよう。エルフの国を楽しんでくれると嬉しい」
「はい。ありがとうございます」
そうして謁見の間を出て、私達は城を後にした。最初はどうなる事かと思ったけど本当に軽く挨拶しただけで済んだので良かった。日本での礼儀作法が通用するか微妙だったけど特に何も指摘されなかったし無事に帰れたんだから大丈夫だったと思おう。
「師匠、これからどうするんですか?」
城への行きは馬車だったが帰りはどうやらこのまま歩いて行くらしい。
「俺の家へと向かう」
「師匠の家?」
そう言えばさっき王様と話してたっけ?師匠の家でお世話になるって。
「この国にリンが慣れるまでは俺の家で生活して貰う。人の国とそこまで変わる生活じゃないが追手がどうなってるか連絡がしやすい方が良いからな」
「....それは私も有難いですけど良いんですか?」
「俺は別に構わないが....実は家には両親達が住んでいるからお前が逆に気を使わないかの方が心配だな」
「え!?」
まさかの実家!?え?私がお邪魔して本当に大丈夫なの!?
「師匠の実家!?え?私なんかがお世話になって大丈夫なんですか!?」
「....それは問題ない。既に連絡済みだし逆に両親達はリンが来るのを楽しみに待ってるみたいだからな」
師匠が溜め息を付きながら苦笑している。何とも言えない反応に私の方が対応に困ってしまう。
「まぁ取り敢えず行って見ればわかる」
そう言って連れて行かれた師匠の実家で、その師匠の何とも言えない反応の答えが直ぐ様理解出来たのだった。
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