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第二章
27:ヒロイン登場?
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それからしばらくは特に第二王子殿下から呼び出される事もなく平穏無事に過ごせていた。クラスメイト達は僕を気遣ってくれて誰かはいつも一緒に居てくれるから本当に有難い。けどちょっと自意識過剰だったかも?あれから特には何の接触もないし、あの時の子爵家の少年と学園内で遭遇する事もないし。
そしてそれから更に1週間後には第二王子殿下の噂がまことしやかに学園内を駆け巡っていた。それは第二王子殿下が1学年のDクラスに在籍するピンク色の髪をした子爵家の少年と仲睦まじく学園で寄り添っていると言う物だった。
え!?ヒロインの子ってDクラスだったの!?
最初にその噂を耳にした僕が思った感想はそれだった。元々平民だったヒロインの少年が子爵家に引き取られたのは学園に入る1年前だ。それなのにDクラス。
「え?普通に有り得ないんだけど?」
ネモローサ君が苦虫を潰したような顔をする。
「例え平民として育ったとは言え、1年前に子爵家に引き取られて貴族教育を受けててそれなんて有り得ないんだけど?どんだけ馬鹿なんだよ」
.....うん。僕もそう思うけど口に出して言うならもう少しオブラートに包んだ方が良いと思う....素直な所がネモローサ君の良いところなんだけど。
「真面目に勉強すればせめてB、百歩譲ってCクラスには入れるでしょ?」
「まぁねぇ。でも顔は凄く可愛いらしいみたいだよ?ピンクのふわふわの髪でドール顔みたいなんだってさ」
「アルト君見てきたの?」
「違うよ。友人から聞いたんだけど、コルチカム子爵がメイドに産ませた子供だったそうなんだけど正妻に産まれた時に母親と子爵家を追い出されたみたいなんだ。今回母親が亡くなって孤児院に入らなきゃならなくなって養子として引き取ったみたいだね」
「ふぅ~ん?で、ソイツの名前は何て言うの?」
「ナーレ・コルチカム子爵令息だって。特徴はやっぱり目立つピンク色の髪で遠くからでもわかるらしいよ。気になる?」
アルト君が苦笑しながらネモローサ君を見る。確かに第二王子殿下の婚約者の座を狙ってるなら気になるよね。
「そりゃあ多少はね。でもあの子爵家の奴を側に置いてる殿下を見てると少し考えたくなるかな?まぁどっちかって言うと両親が僕を王子殿下の婚約者にって期待されてるのが半分なんだけど」
大きく溜め息をつくネモローサ君を見て、もしかして口に出して他人を牽制する程には本人は第二王子殿下の事を好きと言うわけではないのかもしれないと感じた。きっと両親から政略的な物を求められているのだろう。その点ルピナス伯爵家は恋愛結婚推奨派なので子供達にも政略的な結婚は求めていないのでお兄様やお姉様にもまだ婚約者はいない。どちらが良いとは言えないので個々の家々で色んな考え方があるのだろう。
「そう言うアルトはどうなのさ?君の家だって王族と関係を結びたがってただろう?」
「まぁね。でも取り敢えず第二王子殿下の学園での様子はちゃんと両親には正確に伝えてあるから今後の状況次第になる可能性が高いかな」
「はぁ.....取り敢えず僕も両親には正確に報告しておくか.....」
2人の会話を聞いて、他の伯爵家のクラスメイト達も何だか小声で相談してるみたいで、もしかしたら第二王子殿下の婚約者や側近候補を辞退する家が増えるかもしれないな、と感じた。
その日の夕方、僕は久し振りにカーディナル様のお屋敷に来ていた。学園の入学祝いは伯爵家の方に届けて下さって既に受け取ったんだけど、僕からお話も聞きたいからって誘って下さったんだ!
「カーディナル様!」
馬車を降りれば屋敷の門まで迎えに来て下さってて、嬉しくて思わず抱きついてしまった。
「ルテウス、久し振りだな」
「はい!逢えて嬉しいです。あの、入学祝いありがとうございました。万年筆、僕、毎日学園で使ってるんです」
そう言って頂いた万年筆を胸元のポケットから取り出して見せるとカーディナル様も嬉しそうな表情を見せてくれる。
「そうか。それは私が愛用している物の色違いになるんだ。使いやすいのでルテウスにも良いかと思ってな」
「お揃い!!わあっ!」
カーディナル様とお揃い!嬉しいな、ふふふ。
「さぁ、屋敷の中へ入ろう。今日は学園での話を聞かせてくれるんだろう?」
「勿論です!僕、お友達も出来たんですよ」
さりげなく腕を出してエスコートしてくれるカーディナル様にくっついて屋敷へと歩いていく。
そんな僕達を執事さんが微笑ましそうに見ていた事に僕は全く気がつかなかった。
そしてそれから更に1週間後には第二王子殿下の噂がまことしやかに学園内を駆け巡っていた。それは第二王子殿下が1学年のDクラスに在籍するピンク色の髪をした子爵家の少年と仲睦まじく学園で寄り添っていると言う物だった。
え!?ヒロインの子ってDクラスだったの!?
最初にその噂を耳にした僕が思った感想はそれだった。元々平民だったヒロインの少年が子爵家に引き取られたのは学園に入る1年前だ。それなのにDクラス。
「え?普通に有り得ないんだけど?」
ネモローサ君が苦虫を潰したような顔をする。
「例え平民として育ったとは言え、1年前に子爵家に引き取られて貴族教育を受けててそれなんて有り得ないんだけど?どんだけ馬鹿なんだよ」
.....うん。僕もそう思うけど口に出して言うならもう少しオブラートに包んだ方が良いと思う....素直な所がネモローサ君の良いところなんだけど。
「真面目に勉強すればせめてB、百歩譲ってCクラスには入れるでしょ?」
「まぁねぇ。でも顔は凄く可愛いらしいみたいだよ?ピンクのふわふわの髪でドール顔みたいなんだってさ」
「アルト君見てきたの?」
「違うよ。友人から聞いたんだけど、コルチカム子爵がメイドに産ませた子供だったそうなんだけど正妻に産まれた時に母親と子爵家を追い出されたみたいなんだ。今回母親が亡くなって孤児院に入らなきゃならなくなって養子として引き取ったみたいだね」
「ふぅ~ん?で、ソイツの名前は何て言うの?」
「ナーレ・コルチカム子爵令息だって。特徴はやっぱり目立つピンク色の髪で遠くからでもわかるらしいよ。気になる?」
アルト君が苦笑しながらネモローサ君を見る。確かに第二王子殿下の婚約者の座を狙ってるなら気になるよね。
「そりゃあ多少はね。でもあの子爵家の奴を側に置いてる殿下を見てると少し考えたくなるかな?まぁどっちかって言うと両親が僕を王子殿下の婚約者にって期待されてるのが半分なんだけど」
大きく溜め息をつくネモローサ君を見て、もしかして口に出して他人を牽制する程には本人は第二王子殿下の事を好きと言うわけではないのかもしれないと感じた。きっと両親から政略的な物を求められているのだろう。その点ルピナス伯爵家は恋愛結婚推奨派なので子供達にも政略的な結婚は求めていないのでお兄様やお姉様にもまだ婚約者はいない。どちらが良いとは言えないので個々の家々で色んな考え方があるのだろう。
「そう言うアルトはどうなのさ?君の家だって王族と関係を結びたがってただろう?」
「まぁね。でも取り敢えず第二王子殿下の学園での様子はちゃんと両親には正確に伝えてあるから今後の状況次第になる可能性が高いかな」
「はぁ.....取り敢えず僕も両親には正確に報告しておくか.....」
2人の会話を聞いて、他の伯爵家のクラスメイト達も何だか小声で相談してるみたいで、もしかしたら第二王子殿下の婚約者や側近候補を辞退する家が増えるかもしれないな、と感じた。
その日の夕方、僕は久し振りにカーディナル様のお屋敷に来ていた。学園の入学祝いは伯爵家の方に届けて下さって既に受け取ったんだけど、僕からお話も聞きたいからって誘って下さったんだ!
「カーディナル様!」
馬車を降りれば屋敷の門まで迎えに来て下さってて、嬉しくて思わず抱きついてしまった。
「ルテウス、久し振りだな」
「はい!逢えて嬉しいです。あの、入学祝いありがとうございました。万年筆、僕、毎日学園で使ってるんです」
そう言って頂いた万年筆を胸元のポケットから取り出して見せるとカーディナル様も嬉しそうな表情を見せてくれる。
「そうか。それは私が愛用している物の色違いになるんだ。使いやすいのでルテウスにも良いかと思ってな」
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「さぁ、屋敷の中へ入ろう。今日は学園での話を聞かせてくれるんだろう?」
「勿論です!僕、お友達も出来たんですよ」
さりげなく腕を出してエスコートしてくれるカーディナル様にくっついて屋敷へと歩いていく。
そんな僕達を執事さんが微笑ましそうに見ていた事に僕は全く気がつかなかった。
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