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第一章
16:逢いたいなぁ
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リコリス公爵家へとお呼ばれした日から3ヶ月経った。季節は既に夏へと移り変わり始めていて、最近は少しだけ暑く感じる。
そう言えばこの世界には日本のように四季がある。日本の会社が製作したBLゲームに似た世界だからなのかは良くわからないけどそう言う物なんだと思うことにした。
あれからリコリス公爵家には一度もお邪魔はしていないけど、お手紙は何度か遣り取りしている。オーレア様とトラウビー様の連名で一緒に届くから、毎回封筒が厚いんだ。ふふふ。一生懸命お手紙を書いているのを想像すると楽しいよね。
カーディナル王弟殿下とは王妃様のお茶会で逢った時から一度も逢えていない。またね、って言ってくれたけどやっぱり社交辞令と言うものだったのかもしれない。
.....逢いたいなぁ.....
どうしてこんなにも逢いたいなぁと思うのかはわからないけど、王弟殿下のお顔を見ていると胸のあたりがぽわぽわして、温かく感じるんだ.....
でも王族のカーディナル王弟殿下に伯爵家の、しかもその次男が逢いたいと言って簡単に逢えるものではなかった。お父様やお母様みたいに社交界に出てたらまだ逢う機会はあったかもしれないけど、まだ5歳の僕では逢う機会など無いに等しかったのだ。
「逢いたいなぁ……」
ポツリと呟いた僕の言葉は空にそっと静かに消えていった。
そんな事を考えていたその日の夕食時の後に家族皆でサロンで食後のお茶を楽しんでいたら、お父様から信じられないお話があった。
「今日王城に行った際に王弟殿下にお会いしてね。騎士団の執務室の方へ訪ねて来られて驚いたよ」
お父様がカーディナル王弟殿下に逢った!?
「まぁ....では先触れもなしに突然でしたの?」
「ああ。恐らく私が今日1日執務室に居るのを知ってらしたからだと思う。国王陛下に聞いたのかも知れないな。陛下は歳の離れた王弟殿下を可愛がっていらっしゃるから」
そうなんだ.....。僕、よく考えたらカーディナル王弟殿下の事を何もしらないんだ。
「それでね、ルテウスに王弟殿下からこれを預かったんだよ」
「え?」
お父様がそう言って一通の手紙を僕に渡してきた。白い薔薇の紋様の箔が印字された封筒には封蝋が押してあり、薔薇が描かれている。これがカーディナル王弟殿下の紋章なのだろうか?
「王弟殿下の屋敷への招待状だそうだよ」
「.....招待状....僕に?」
「うん。前に約束していたんだってね?遅くなってしまい申し訳ないと王弟殿下がおっしゃってらしたよ」
僕は慌てて、でも封筒を破ってしまわないように丁寧に開けると中にはメッセージカードが入っていた。そこには遅くなったお詫びと是非屋敷に来て下さいと綴られていた。
僕はそのカードを見てすぐさまお父様へ行きたいと伝える。
「お父様!僕、行きたいです!!」
「うん。そう言うと思ったから既にお伺いしますと返事しておいたよ。明日王弟殿下の馬車が迎えに来てくれるそうだから寝坊しないようにね」
「はい!!ありがとうお父様!」
僕は嬉しくて嬉しくてお父様に抱きつくと、凄く嬉しそうに僕を抱き締め返してギューッとしてくれた。
「良かったわねルーちゃん。ずっと王弟殿下に逢いたい逢いたいって言ってたものね!ふふふ」
「王弟殿下って子供との約束を守ってくれる律儀な人なのね~」
「王弟殿下は悪い噂は聞かないから真面目なんだろうね」
お兄様やお姉様もカーディナル王弟殿下に対しての印象は悪くないみたいだから、僕がもっと良いところを見つけてお話してあげるんだ!
早く明日にならないかなぁ......。
そう言えばこの世界には日本のように四季がある。日本の会社が製作したBLゲームに似た世界だからなのかは良くわからないけどそう言う物なんだと思うことにした。
あれからリコリス公爵家には一度もお邪魔はしていないけど、お手紙は何度か遣り取りしている。オーレア様とトラウビー様の連名で一緒に届くから、毎回封筒が厚いんだ。ふふふ。一生懸命お手紙を書いているのを想像すると楽しいよね。
カーディナル王弟殿下とは王妃様のお茶会で逢った時から一度も逢えていない。またね、って言ってくれたけどやっぱり社交辞令と言うものだったのかもしれない。
.....逢いたいなぁ.....
どうしてこんなにも逢いたいなぁと思うのかはわからないけど、王弟殿下のお顔を見ていると胸のあたりがぽわぽわして、温かく感じるんだ.....
でも王族のカーディナル王弟殿下に伯爵家の、しかもその次男が逢いたいと言って簡単に逢えるものではなかった。お父様やお母様みたいに社交界に出てたらまだ逢う機会はあったかもしれないけど、まだ5歳の僕では逢う機会など無いに等しかったのだ。
「逢いたいなぁ……」
ポツリと呟いた僕の言葉は空にそっと静かに消えていった。
そんな事を考えていたその日の夕食時の後に家族皆でサロンで食後のお茶を楽しんでいたら、お父様から信じられないお話があった。
「今日王城に行った際に王弟殿下にお会いしてね。騎士団の執務室の方へ訪ねて来られて驚いたよ」
お父様がカーディナル王弟殿下に逢った!?
「まぁ....では先触れもなしに突然でしたの?」
「ああ。恐らく私が今日1日執務室に居るのを知ってらしたからだと思う。国王陛下に聞いたのかも知れないな。陛下は歳の離れた王弟殿下を可愛がっていらっしゃるから」
そうなんだ.....。僕、よく考えたらカーディナル王弟殿下の事を何もしらないんだ。
「それでね、ルテウスに王弟殿下からこれを預かったんだよ」
「え?」
お父様がそう言って一通の手紙を僕に渡してきた。白い薔薇の紋様の箔が印字された封筒には封蝋が押してあり、薔薇が描かれている。これがカーディナル王弟殿下の紋章なのだろうか?
「王弟殿下の屋敷への招待状だそうだよ」
「.....招待状....僕に?」
「うん。前に約束していたんだってね?遅くなってしまい申し訳ないと王弟殿下がおっしゃってらしたよ」
僕は慌てて、でも封筒を破ってしまわないように丁寧に開けると中にはメッセージカードが入っていた。そこには遅くなったお詫びと是非屋敷に来て下さいと綴られていた。
僕はそのカードを見てすぐさまお父様へ行きたいと伝える。
「お父様!僕、行きたいです!!」
「うん。そう言うと思ったから既にお伺いしますと返事しておいたよ。明日王弟殿下の馬車が迎えに来てくれるそうだから寝坊しないようにね」
「はい!!ありがとうお父様!」
僕は嬉しくて嬉しくてお父様に抱きつくと、凄く嬉しそうに僕を抱き締め返してギューッとしてくれた。
「良かったわねルーちゃん。ずっと王弟殿下に逢いたい逢いたいって言ってたものね!ふふふ」
「王弟殿下って子供との約束を守ってくれる律儀な人なのね~」
「王弟殿下は悪い噂は聞かないから真面目なんだろうね」
お兄様やお姉様もカーディナル王弟殿下に対しての印象は悪くないみたいだから、僕がもっと良いところを見つけてお話してあげるんだ!
早く明日にならないかなぁ......。
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