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第一章
9:BLゲーム
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実はこの世界に生まれてからずっと違和感を感じていた事がある。それは、僕は" この世界を知っている "と言う事。でもそれが何か今までハッキリしなかったんだけど今日の王宮での王妃様主催のお茶会で第2王子殿下に会ってようやくその正体がわかった。
ここは前世の僕が知っている" BLゲーム" の世界に酷似していると言うこと。
BLゲーム「ローズガーデンで君と」
それは魔法と冒険の世界....でも何でもなくて、単純に普通の恋愛小説のような物だった。でも凄く綺麗な絵と魅力的なキャラクターで大人気の作品だったのだ。イベント毎に新たなスチルが投入される程だった。
ストーリーは極めて単調で、庶子だった主人公の美少年が父親である子爵家に引き取られ貴族社会で懸命に生きる話で、学園で出会う攻略対象者との間の好感度を上げていき、最後にひとりを選ぶと言う話。勿論ハーレムエンドもある。
その攻略対象者の1人である第2王子殿下を見てハッキリと思い出せたのである。
「ミナレット、今日は良く来てくれたわね!楽しみにしていたのよ」
「ふふふ、私もよ。こうやって学園時代のように話せるのもお茶会ぐらいしかないものね」
王妃様とお母様は凄く気安い親友のように話していて僕は吃驚した。まさかそこまで仲が良いとは思ってなかったからだ。そして初めて見る王妃様はお母様と同じぐらい綺麗な人で思わず見惚れてしまいそうになる。
「その子が末の子なのね」
「ええ、ルテウスと言うの。ルテウス、王妃様にご挨拶なさい」
「ルピナス伯爵家次男ルテウスと申します。宜しくお願いします」
ペコリと名乗りながらお辞儀をすると王妃様は嬉しそうに頷いた。
「宜しくね、ルテウス君。ふふふ可愛いわぁ~!しかもまだ5歳なのにしっかりと挨拶出来るなんて凄いわね!ルテウス君、此方が私の息子で第2王子のロティスと言うの。仲良くしてくれると嬉しいわ」
「ロティス・ラナンキュラスだ。どうしてもと言うなら仲良くしても良い」
「.....はい.....」
「こらっ!ロティス!!なんて言い方するの!?」
ないな。これはない。どう考えても普通仲良くしたいとは思わないだろう。
挨拶が終わったと同時にお母様にトイレに行くと告げてこっそりとその場を後にする。
何故今まで気がつかなかったのか。それは簡単な話で、僕を含め僕の伯爵家がストーリーに全く関係のない" モブ " だからだ。
実はこのゲーム自体、僕が自分でやってた訳ではないから詳しい事までは知らない。大学の時の友人の女の子が好きでよく話を聞かされていたから知っているだけなので最後にどうなったのかまでは聞かされていないのだ。聞く前に僕が死んだから.....。
まぁそれは良いとして、彼女の話ではルピナス伯爵家は王立騎士団団長を父に持つ割には攻略対象に入っていなかった。入っていたのは近衛騎士団団長子息と魔術師団団長子息に宰相の子息、それに第2王子だった筈。
主人公の少年は確か僕と同じ年齢だった筈だから学園に行くタイミングは一緒だからゲームに巻き込まれる可能性はあるだろう。まぁそれでもモブだとわかっていればそこまで心配する必要もないかな?とは思う。
第2王子の顔を見て急激に思い出した記憶を整理したくてトイレに行く振りをしてお茶会を抜け出したけど....そろそろ戻らないと駄目だよね?フッと今の現状を思い出した。
ここは前世の僕が知っている" BLゲーム" の世界に酷似していると言うこと。
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それは魔法と冒険の世界....でも何でもなくて、単純に普通の恋愛小説のような物だった。でも凄く綺麗な絵と魅力的なキャラクターで大人気の作品だったのだ。イベント毎に新たなスチルが投入される程だった。
ストーリーは極めて単調で、庶子だった主人公の美少年が父親である子爵家に引き取られ貴族社会で懸命に生きる話で、学園で出会う攻略対象者との間の好感度を上げていき、最後にひとりを選ぶと言う話。勿論ハーレムエンドもある。
その攻略対象者の1人である第2王子殿下を見てハッキリと思い出せたのである。
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王妃様とお母様は凄く気安い親友のように話していて僕は吃驚した。まさかそこまで仲が良いとは思ってなかったからだ。そして初めて見る王妃様はお母様と同じぐらい綺麗な人で思わず見惚れてしまいそうになる。
「その子が末の子なのね」
「ええ、ルテウスと言うの。ルテウス、王妃様にご挨拶なさい」
「ルピナス伯爵家次男ルテウスと申します。宜しくお願いします」
ペコリと名乗りながらお辞儀をすると王妃様は嬉しそうに頷いた。
「宜しくね、ルテウス君。ふふふ可愛いわぁ~!しかもまだ5歳なのにしっかりと挨拶出来るなんて凄いわね!ルテウス君、此方が私の息子で第2王子のロティスと言うの。仲良くしてくれると嬉しいわ」
「ロティス・ラナンキュラスだ。どうしてもと言うなら仲良くしても良い」
「.....はい.....」
「こらっ!ロティス!!なんて言い方するの!?」
ないな。これはない。どう考えても普通仲良くしたいとは思わないだろう。
挨拶が終わったと同時にお母様にトイレに行くと告げてこっそりとその場を後にする。
何故今まで気がつかなかったのか。それは簡単な話で、僕を含め僕の伯爵家がストーリーに全く関係のない" モブ " だからだ。
実はこのゲーム自体、僕が自分でやってた訳ではないから詳しい事までは知らない。大学の時の友人の女の子が好きでよく話を聞かされていたから知っているだけなので最後にどうなったのかまでは聞かされていないのだ。聞く前に僕が死んだから.....。
まぁそれは良いとして、彼女の話ではルピナス伯爵家は王立騎士団団長を父に持つ割には攻略対象に入っていなかった。入っていたのは近衛騎士団団長子息と魔術師団団長子息に宰相の子息、それに第2王子だった筈。
主人公の少年は確か僕と同じ年齢だった筈だから学園に行くタイミングは一緒だからゲームに巻き込まれる可能性はあるだろう。まぁそれでもモブだとわかっていればそこまで心配する必要もないかな?とは思う。
第2王子の顔を見て急激に思い出した記憶を整理したくてトイレに行く振りをしてお茶会を抜け出したけど....そろそろ戻らないと駄目だよね?フッと今の現状を思い出した。
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