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第一章

6:王都へ

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領地の屋敷から王都の屋敷へと向かったのはそれからひと月後だった。

馬車で揺られてゆっくりと王都の屋敷の敷地内に入った僕達を迎えてくれたのはお父様とお兄様お姉様と使用人一堂で、余りにも大人数でのお出迎えに僕はお母様に抱っこされて状態で思わず固まってしまったのは仕方ないだろう。

「お母様!ルーちゃん!お帰りなさい!!」
「お母様!ルー!!」

お兄様とお姉様が待ちきれなかったのか駆け出して僕達に抱き着いたのでお母様に抱っこされている僕はお母様の腕の中でグラグラと揺れ、落ちそうになるかもと慌ててお母様にしがみつく。

「あらあら、ペレもリリーもそんなにぶつかってきたらルーちゃんが落ちてしまうわよ?」
「「 あ!ごめんなさいっ!! 」」

お兄様とお姉様は慌ててお母様の腕に抱かれた僕を仰ぎ見ると直ぐ様お母様から手を離して謝ってくる。

「大丈夫だった?ルー」
「ごめんなさい!怖かったわよね?」

お姉様なんかは今にも泣きそうな表情で僕を見てくるからどうしようかとお母様を見るが、お母様は何時もと変わらない笑みを浮かべるだけで何も言わない。

.....これは僕が何かしら言わないと終わらないパターンかもしれない.....

「あ、あにょ....だいじょぶでしゅ....」

まだ上手く発音出来ないから片言みたいになってしまって少し恥ずかしいんだよね。でもそんな話し方でも僕が話すとお母様や使用人達が凄く喜んでくれるから領地の屋敷ではそれなりに話してたけど。小さい子の言葉って、話せば話す程練習になるから言葉を覚えるには出来るだけ話した方が良いんだよね。でも僕は頭の中ではちゃんと言葉も覚えてるから話せる筈なんだけど、どうしても年齢に引きずられているのか赤ちゃん言葉なんだよ....。

まぁ1歳でスラスラと話す幼児が居たら可笑しいから逆に良かったのかもしれないけれど....。

「まぁ!ルーちゃんはもうそんなに話せるのね!凄いわ!!ね、お兄様」
「うん。ルーは賢いんだね!」

お兄様もお姉様も嬉しそうに僕を褒めてくれるが僕はもしかしてやらかしてしまったのだろうかと、そっちの方が内心心配になってしまう。1歳の幼児って、そんなに話せなかったっけ?お母様達が何も言わないから片言だけど話してたけど...。

「....確かにルーは話すのが早いかも知れないがお前達もルーと同じ頃はそれなりに話してたよ?うちの子は言語能力が他の子よりも発達しているんだろうな。でもそれは悪い事じゃないし、寧ろうちの子は天才なんじゃないかな?」
「貴方」
「「 お父様!! 」」

いつまでも来ないから待ちきれず、お父様もとうとう僕達の方へとやってきた。

「僕達も話してたの?」
「勿論。2人ともルーと同じように私達に話しかけてくれていたよ。それよりも、そろそろお母様とルーを屋敷の中へ案内してあげないかい?領地からの長旅で疲れているだろう?」



お父様がそう言うとお兄様達は慌てて僕とお母様を屋敷へと案内してくれた。



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