頑強な体のオタクパイロットが召喚されたのは不死鳥と竜が支配する浮遊大陸でした～相棒は命が宿った戦闘機

第11章 - 偉大なる終焉

1

ヘリコプターのローターが回り始めると、冷たい風が雪を巻き上げて吹きつけてくる。吹雪が山を覆い、視界はほとんどゼロに近い。

無線からは管制塔が「湯島、これ以上は危険だ」と警告してくる。でも、僕は止めることはできない。救助は僕の責任だ。無理を承知で「進入する」と短く返事をして、山の谷へと降下していく。

高度は2000メートル以下、できるだけ低く飛ぶ。吹雪の中では乱気流が予想されるから、慎重に進む必要があった。ヘリコプターは通常、こうした厳しい気象条件下では飛ぶことは推奨されない。でも、救助隊としての使命感が、無理を押してでも僕に現場に向かわせた。

飛行は困難を極めた。吹雪によって機体は何度も激しく揺さぶられ、山間の風の流れが乱気流を作り出していた。視界はかなりぼやけていて、僕はかすかな光景と計器だけを頼りに慎重に操縦している。

あと少しで遭難者の位置に到達する。

厳しい風雪の中、目標地点に近づくにつれて地形が複雑になり、着陸する場所を見つけるのは至難の業だった。地表付近でのヘリコプターのホバリングも危険を伴う。吹雪で乱れる空気が機体に圧力をかけ、降下が非常に難しい。

「ここだ！」

ようやく、僕は雪の斜面に一時的に機体を留めることができる地点を見つけた。同僚の隊員は急いでドアを開け、ロープを使って救助キットを持ち、遭難者の元に急いだ。視界は悪いが、遭難者は発信器を使って位置を知らせてくれていた。

彼は体力が限界に達しており、低体温症の初期症状が現れていたが、幸いにもまだ意識はあった。

「助かった…！」

彼がかすれた声でつぶやく。僕は彼に救助用の保温シートを巻き、早急にヘリに戻る準備をした。
僕はすぐに再びホバリング状態に入った。吹雪の中、慎重に機体を持ち上げ、山間を抜けて再び安定した飛行に移った。

雲の上には出られないけど、なんとかこの悪天候を切り抜けるしかない。

天候の回復が見込めない中、僕は計器を頼りに進路を定め、徐々に風が弱まり始める。ようやく吹雪の合間から山麓の救助基地が見えてきた。無事に遭難者を救い出し、彼の命を繋げることができたのは、極限の条件下での技術と判断力、そして――あの世界での僕の経験おかげなのだろう。ヘリが着陸する瞬間、僕たちは全員、安堵の息をついた。

遭難者が救急車に担架で載せられようとする時、声を絞り出すように、彼は言った。

「ありがとう…あなたは命の恩人です…一生忘れません。」

僕は感謝されたくてこの仕事を始めたわけではなかった。純粋に、もっと多くの人たちの命を直接助けたい、その一心でこの職を選んだ。だから、お礼なんて言わない人もいるし、中には救助が遅いと文句を言う人もいるけど、それが特に気に障るということはなった。でも――そうは言ってもこうした言葉をかけられる瞬間、それは僕にとってかけがえのない瞬間だった。

僕は彼の言葉に、ただ笑顔を返した。