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第7章 - 神の眠る地
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僕は、ファルコンに助けを求めることを避けてきた。ミレイアの言葉がまだ頭にこびりついていたからだ。
「あなたの弱点は力じゃない。精神なのよ。」
だから、僕は自分自身を強くしようと決心していた。舞踏会での正体不明の暗殺者との戦いでは、結局とどめを刺したのはミレイアだったものの、少なくとも一人の暗殺者については自分の力だけで対処できた。そこで助けてくれたミレイアは僕をはるかに凌駕していたとは言え、自分だけで暗殺者に打ち勝てた事実は、自分の力を頼りに少しずつでも成長できているという希望に変わっていった。だから安易にファルコンには頼りたくなかったのだ。
しかし今は違う。多くのルクスエリオス兵士たちの命が、危険の淵に立たされていた。自らの内なる精神力を育む余裕も、決意を試している時間もない。戦場は個人の成長を待ってはくれない。少なくとも今は、即座の行動が求められる場所だ。僕にはもう迷っている時間は残されていなかった。
「バルカンで突っ込むべきか?墜落や撃墜のリスクを冒してでも?」
僕はファルコンに問いかけた。その声には僕なりの決意をこめていたけど、その選択をしたことが正しいのかは今もわからないかった。
ファルコンは、いつも通り冷静に応えた。
「もし他に選択肢がないなら、その戦略も使えるだろう」
彼は少し間を置いて続けた。
「だが湯島、もう少し待て。その間、強風や上昇気流が突然吹き付けてくるかもしれないから、警戒を怠るな。」
彼が話し終えるや否や、風が突然吹き始めた。激しく、容赦なく。この場所が予測不能な突風で有名であるのはさっき言った通りだ。この風の中、ファルコンを扱うのは容易ではなかった。僕は操縦桿を握りしめ、機体を安定させるために全身の筋肉を緊張させた。一つのミスが命取りになるのだ。
そして、思いもよらぬことが起こった。
濃く、圧迫感のある霧が少しずつ薄くなり始めた。最初はわずかだったが、次第に視界が明らかに開けていった。戦場を迷宮に変えた霧が、風の力で退いていくようだった。次第に形が見え始め、僕の心臓は一瞬止まりそうになった。帝国軍の重歩兵が、濃霧が晴れた空の下にその姿を現したのだ。
戦場は、かつて不透明な霧のベールに覆われていたが、徐々にその姿を明かしていた。そして突然、ファルコンが別の方向に激しく揺れた。上昇気流に煽られたのだ。
その時、僕は気づいた。乾いた空気を含む強風が湿った霧の空気と混ざることで強い上昇気流が発生し、霧を上へと押し上げているのだ。まるで空そのものが戦いに介入し、混沌をかき消していくかのようだった。
ルクスエリオスの軽歩兵たちは再び息を吹き返した。視界を取り戻した彼らは、単にそれを回復しただけでなく、強風を味方につけたのだった。重歩兵たちはその重い鎧に苦しみながら強風に耐えようとしていたが、ルクスエリオスの軽快な兵士たちは風の力を利用し、素早く動いた。風が彼らを前進させ、敵陣の隙間への突撃を可能にした。
僕は汗で湿った手で操縦桿を握りしめ、この一瞬の好機を逃さぬように動いた。精密な一撃を決めなければならなかったが、胸の中には再び勝利への期待が高まっていた。僕はAIM-120を発射し、それが帝国軍の部隊へと突き進むのを見守った。さらに低空飛行を続け、AIM-9サイドワインダーを放ち、バルカン砲で掃射を浴びせた。帝国の重歩兵の陣形は崩れ始め、戦況は完全に僕たちに有利になった。
ついに、ミレイアは皇帝グスタフに接近した。帝国の総大将である彼を打ち取ればこの戦いは終わりだ。僕が少し安堵を感じていると、すんなり皇帝への攻撃をさせないために、その前に立ちはだかった存在がいた。それはやはり、先日の舞踏会に乗り込んできた、帝国の宰相にして皇帝の副官、アクセル・オクセンシェルナだった。彼も「元首の盾」としてミレイアと同じく、双剣でミレイアに立ち向かったのだった。
「舐めるな!私が敵うのは皇帝だけだ。お前など相手になるか!」
ミレイアは激高して叫びながら、目にもとまらぬ速さで斬撃をアクセルに浴びせた。初めの数回はアクセルも彼女の猛攻に対応できていたが、すぐに彼の防御は破られ、彼の両肩にミレイアの剣が深く食い込んだ。血がにじみ出し、アクセルは苦痛に顔を歪める。重い甲冑をアクセルが着なかったのは救いだっただろう――その重さが邪魔をしてミレイアの速さについていけず、すぐに鎧の隙間を突かれて命を落としていただろうから。ただ、代わりにその軽装のおかげで彼はミレイアの斬撃に肩を防御できなかったのだ。
「つ…強い。これでも、帝国では『元首の盾』として、グスタフ以外に剣では負けなしのつもりだったんですがね…。」
両肩を斬られ、剣を落としたアクセルに対してとどめの一撃を繰り出そうとするミレイアを、巨大な剣が防いだ。その剣を持っていたのは、皇帝グスタフだった。
「下がれ、アクセル。お前にはやらなくてはならない仕事が他にある。」
皇帝グスタフは冷静に命じた。
「わかってるよグスタフ。すまない、ここは撤退する。」
そういうとアクセルは後ろに控えていた小型の飛行船に走った。
アクセルが撤退した今、残るは皇帝しかいない。勝利はもう手に届くほど近い。ミレイアは今まで無敵の存在として戦場を駆け巡っていたから、僕は彼女が誰かに敗れるなど、想像すらできなかった。僕は彼女がすぐに皇帝グスタフを倒し、僕たちの勝利が確定するものだと確信していた。
でも、目の前の光景は信じがたいものだった。ミレイアは二本の剣を握り、目にもとまらぬ速さで斬撃を繰り出していたのだが、グスタフはその巨大な両手剣で、すべての攻撃を防いでいたのだ。その剣の大きさと重さにもかかわらず、彼は驚くべき速さと精度で反撃していた。ミレイアは皇帝の最初の数撃をかわしたが、次第に彼の猛攻に押され、ついに防御に回らざるを得なかった。そして、彼の一撃が彼女を吹き飛ばした。
ミレイアはすぐに体勢を整え、再び攻撃を仕掛けたが、結果は同じだった。彼女の斬撃はことごとく弾かれ、グスタフの人知を超える力と速さに歯が立たない。要するに――ミレイアは皇帝グスタフに圧倒されていた。
彼女がもう一度遠くに飛ばされた瞬間、僕は即座に決断し、グスタフに向けてAIM-120を発射した。ミサイルは空を切り裂き、彼に向かって一直線に突き進んだ。だが、驚いたことに、彼は巨大な剣を構え、それでミサイルを防ぐつもりのようだった。
「馬鹿な奴だ」
僕は思った。これで爆発が奴を引き裂くはずだ。ミサイルが命中し、火と煙が巻き上がった。その瞬間、僕は戦いが終わったと信じ、勝利を確信した。
しかし――煙が晴れると、目の前に映る光景に僕は目を疑った。そこには、全く無傷のグスタフが立っていたのだ。
こんなのが現実なはずがない。バルカン砲の弾一発でさえ、人間にとって致命的なはず。それが、ミサイルの直撃だったらならなおさらだ。それなのに、奴は無傷で立っている。この常識を超えた存在について、僕は全く理解することができないでいた。ここでやっと、この事実に対する恐ろしさを身に染みて僕は感じることができた――奴はただの人間ではなく、竜の力と融合した存在、神の力を持つ者だということを。奴の存在そのものが、僕が持っている戦争や死生観の常識を愚弄しているようだった。
絶望感が僕を襲ったけど、それでも僕は一筋の希望にしがみついた。僕のミサイル攻撃と、ミレイアの絶え間のない猛攻、そして軽歩兵の援護があれば、まだ皇帝の防御を突破できるかもしれない。僕は操縦桿を握りしめ、再び攻撃を仕掛ける覚悟を決めた。
しかし、その時だった。再び視界がぼやけたのだ。そう、霧が再び現れ、戦場を呪うかのように静かに覆い始めたのだった。これでは、上空からの精密攻撃は不可能だし、ルクスエリオスの歩兵たちとの連携も望めない。ミレイアは孤立していた――バックアップなしで、皇帝との一騎打ちを強いられていたのだ。
僕がかろうじて見えたのは、戦いに挑む彼女のシルエットだけだった。霧が濃くなる中で、戦士たちの姿は歪み、戦場は影と不確かな幻に支配されていた。
僕は一瞬ためらい、再びファルコンに助言を求めるべきかどうかを迷った。しかし、それを決心しかけたその時、突然、背筋に冷たいものが走った。コックピットに響く不慣れな声が、緊張の沈黙を破ったのだった。心臓が激しく鼓動し、霧の向こうにぼんやりと現れた人影が、キャノピーの曇り越しに見えた。
僕はその人物の声はそれほど聴きなれてはいなかったけど――すぐにわかった。さっきのアクセル・オクセンシェルナとの会話で一度だけ聞いたその声の主、皇帝グスタフ2世アドルフだった。
「女王エリシアを通して、大いなる炎を召喚しろ」
冷静だが威圧的な声で彼は言った。
彼は説明を続けた。
「霧は西風が山間の冷たく湿った空気とぶつかることで発生する。この衝突が湿気を凝結させ、空気を厚くし、視界を曇らせる。これを晴らすために、炎を呼び出せ。ただし、炎が地表に近すぎると、霧と共に兵士たちも巻き込み、焼き尽くしてしまうだろう。代わりに、戦場の上空に炎を召喚しろ。強力な上昇気流が発生し、霧を上に持ち上げ、湿気が空に流れて視界が開ける。その時こそ、お前たちの攻撃の道が開かれる時だ。」
「あなたの弱点は力じゃない。精神なのよ。」
だから、僕は自分自身を強くしようと決心していた。舞踏会での正体不明の暗殺者との戦いでは、結局とどめを刺したのはミレイアだったものの、少なくとも一人の暗殺者については自分の力だけで対処できた。そこで助けてくれたミレイアは僕をはるかに凌駕していたとは言え、自分だけで暗殺者に打ち勝てた事実は、自分の力を頼りに少しずつでも成長できているという希望に変わっていった。だから安易にファルコンには頼りたくなかったのだ。
しかし今は違う。多くのルクスエリオス兵士たちの命が、危険の淵に立たされていた。自らの内なる精神力を育む余裕も、決意を試している時間もない。戦場は個人の成長を待ってはくれない。少なくとも今は、即座の行動が求められる場所だ。僕にはもう迷っている時間は残されていなかった。
「バルカンで突っ込むべきか?墜落や撃墜のリスクを冒してでも?」
僕はファルコンに問いかけた。その声には僕なりの決意をこめていたけど、その選択をしたことが正しいのかは今もわからないかった。
ファルコンは、いつも通り冷静に応えた。
「もし他に選択肢がないなら、その戦略も使えるだろう」
彼は少し間を置いて続けた。
「だが湯島、もう少し待て。その間、強風や上昇気流が突然吹き付けてくるかもしれないから、警戒を怠るな。」
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そして、思いもよらぬことが起こった。
濃く、圧迫感のある霧が少しずつ薄くなり始めた。最初はわずかだったが、次第に視界が明らかに開けていった。戦場を迷宮に変えた霧が、風の力で退いていくようだった。次第に形が見え始め、僕の心臓は一瞬止まりそうになった。帝国軍の重歩兵が、濃霧が晴れた空の下にその姿を現したのだ。
戦場は、かつて不透明な霧のベールに覆われていたが、徐々にその姿を明かしていた。そして突然、ファルコンが別の方向に激しく揺れた。上昇気流に煽られたのだ。
その時、僕は気づいた。乾いた空気を含む強風が湿った霧の空気と混ざることで強い上昇気流が発生し、霧を上へと押し上げているのだ。まるで空そのものが戦いに介入し、混沌をかき消していくかのようだった。
ルクスエリオスの軽歩兵たちは再び息を吹き返した。視界を取り戻した彼らは、単にそれを回復しただけでなく、強風を味方につけたのだった。重歩兵たちはその重い鎧に苦しみながら強風に耐えようとしていたが、ルクスエリオスの軽快な兵士たちは風の力を利用し、素早く動いた。風が彼らを前進させ、敵陣の隙間への突撃を可能にした。
僕は汗で湿った手で操縦桿を握りしめ、この一瞬の好機を逃さぬように動いた。精密な一撃を決めなければならなかったが、胸の中には再び勝利への期待が高まっていた。僕はAIM-120を発射し、それが帝国軍の部隊へと突き進むのを見守った。さらに低空飛行を続け、AIM-9サイドワインダーを放ち、バルカン砲で掃射を浴びせた。帝国の重歩兵の陣形は崩れ始め、戦況は完全に僕たちに有利になった。
ついに、ミレイアは皇帝グスタフに接近した。帝国の総大将である彼を打ち取ればこの戦いは終わりだ。僕が少し安堵を感じていると、すんなり皇帝への攻撃をさせないために、その前に立ちはだかった存在がいた。それはやはり、先日の舞踏会に乗り込んできた、帝国の宰相にして皇帝の副官、アクセル・オクセンシェルナだった。彼も「元首の盾」としてミレイアと同じく、双剣でミレイアに立ち向かったのだった。
「舐めるな!私が敵うのは皇帝だけだ。お前など相手になるか!」
ミレイアは激高して叫びながら、目にもとまらぬ速さで斬撃をアクセルに浴びせた。初めの数回はアクセルも彼女の猛攻に対応できていたが、すぐに彼の防御は破られ、彼の両肩にミレイアの剣が深く食い込んだ。血がにじみ出し、アクセルは苦痛に顔を歪める。重い甲冑をアクセルが着なかったのは救いだっただろう――その重さが邪魔をしてミレイアの速さについていけず、すぐに鎧の隙間を突かれて命を落としていただろうから。ただ、代わりにその軽装のおかげで彼はミレイアの斬撃に肩を防御できなかったのだ。
「つ…強い。これでも、帝国では『元首の盾』として、グスタフ以外に剣では負けなしのつもりだったんですがね…。」
両肩を斬られ、剣を落としたアクセルに対してとどめの一撃を繰り出そうとするミレイアを、巨大な剣が防いだ。その剣を持っていたのは、皇帝グスタフだった。
「下がれ、アクセル。お前にはやらなくてはならない仕事が他にある。」
皇帝グスタフは冷静に命じた。
「わかってるよグスタフ。すまない、ここは撤退する。」
そういうとアクセルは後ろに控えていた小型の飛行船に走った。
アクセルが撤退した今、残るは皇帝しかいない。勝利はもう手に届くほど近い。ミレイアは今まで無敵の存在として戦場を駆け巡っていたから、僕は彼女が誰かに敗れるなど、想像すらできなかった。僕は彼女がすぐに皇帝グスタフを倒し、僕たちの勝利が確定するものだと確信していた。
でも、目の前の光景は信じがたいものだった。ミレイアは二本の剣を握り、目にもとまらぬ速さで斬撃を繰り出していたのだが、グスタフはその巨大な両手剣で、すべての攻撃を防いでいたのだ。その剣の大きさと重さにもかかわらず、彼は驚くべき速さと精度で反撃していた。ミレイアは皇帝の最初の数撃をかわしたが、次第に彼の猛攻に押され、ついに防御に回らざるを得なかった。そして、彼の一撃が彼女を吹き飛ばした。
ミレイアはすぐに体勢を整え、再び攻撃を仕掛けたが、結果は同じだった。彼女の斬撃はことごとく弾かれ、グスタフの人知を超える力と速さに歯が立たない。要するに――ミレイアは皇帝グスタフに圧倒されていた。
彼女がもう一度遠くに飛ばされた瞬間、僕は即座に決断し、グスタフに向けてAIM-120を発射した。ミサイルは空を切り裂き、彼に向かって一直線に突き進んだ。だが、驚いたことに、彼は巨大な剣を構え、それでミサイルを防ぐつもりのようだった。
「馬鹿な奴だ」
僕は思った。これで爆発が奴を引き裂くはずだ。ミサイルが命中し、火と煙が巻き上がった。その瞬間、僕は戦いが終わったと信じ、勝利を確信した。
しかし――煙が晴れると、目の前に映る光景に僕は目を疑った。そこには、全く無傷のグスタフが立っていたのだ。
こんなのが現実なはずがない。バルカン砲の弾一発でさえ、人間にとって致命的なはず。それが、ミサイルの直撃だったらならなおさらだ。それなのに、奴は無傷で立っている。この常識を超えた存在について、僕は全く理解することができないでいた。ここでやっと、この事実に対する恐ろしさを身に染みて僕は感じることができた――奴はただの人間ではなく、竜の力と融合した存在、神の力を持つ者だということを。奴の存在そのものが、僕が持っている戦争や死生観の常識を愚弄しているようだった。
絶望感が僕を襲ったけど、それでも僕は一筋の希望にしがみついた。僕のミサイル攻撃と、ミレイアの絶え間のない猛攻、そして軽歩兵の援護があれば、まだ皇帝の防御を突破できるかもしれない。僕は操縦桿を握りしめ、再び攻撃を仕掛ける覚悟を決めた。
しかし、その時だった。再び視界がぼやけたのだ。そう、霧が再び現れ、戦場を呪うかのように静かに覆い始めたのだった。これでは、上空からの精密攻撃は不可能だし、ルクスエリオスの歩兵たちとの連携も望めない。ミレイアは孤立していた――バックアップなしで、皇帝との一騎打ちを強いられていたのだ。
僕がかろうじて見えたのは、戦いに挑む彼女のシルエットだけだった。霧が濃くなる中で、戦士たちの姿は歪み、戦場は影と不確かな幻に支配されていた。
僕は一瞬ためらい、再びファルコンに助言を求めるべきかどうかを迷った。しかし、それを決心しかけたその時、突然、背筋に冷たいものが走った。コックピットに響く不慣れな声が、緊張の沈黙を破ったのだった。心臓が激しく鼓動し、霧の向こうにぼんやりと現れた人影が、キャノピーの曇り越しに見えた。
僕はその人物の声はそれほど聴きなれてはいなかったけど――すぐにわかった。さっきのアクセル・オクセンシェルナとの会話で一度だけ聞いたその声の主、皇帝グスタフ2世アドルフだった。
「女王エリシアを通して、大いなる炎を召喚しろ」
冷静だが威圧的な声で彼は言った。
彼は説明を続けた。
「霧は西風が山間の冷たく湿った空気とぶつかることで発生する。この衝突が湿気を凝結させ、空気を厚くし、視界を曇らせる。これを晴らすために、炎を呼び出せ。ただし、炎が地表に近すぎると、霧と共に兵士たちも巻き込み、焼き尽くしてしまうだろう。代わりに、戦場の上空に炎を召喚しろ。強力な上昇気流が発生し、霧を上に持ち上げ、湿気が空に流れて視界が開ける。その時こそ、お前たちの攻撃の道が開かれる時だ。」
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