伝えし言葉

pulun

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 ゆらと僕、そして樫夜木の話をしよう

僕たちは会社の同期、僕と樫夜木は営業だった。ゆらは経理として働いていた

同期全員での集まりを”力技”というなんともおかしな名前をつけ、みんなでよく飲みに行き、会社の愚痴を言い合って、辛いことはあれど楽しく仕事をこなしていた

樫夜木は同期の中ではエースで、たくさんの案件をとってきた。毎月の様々な表彰はほぼ樫夜木が総なめだった

 僕はそれを妬んでいたのではない。僕は仕事はまあまあの出来と言ったところで、特に目立った存在ではなかった

「お前は本当にすごいな!」心からそう言える間柄だった

ある日、好意にしてくれている取引先とのランチの約束があり会社を出た。話題のカフェだ。まるで女子会のような華やかな雰囲気の店で堅苦しいスーツ姿の男が5人、顔を突き合わせて座っていた

 さて、食事を済ませ談笑が始まる。しばらくしてその日の話題は、軽そうな話ではないようだと感じた

真剣にこちらを向く中派宮さんが僕に話し出した

「今日滝水庵さんに来てもらったのには、実は訳があって、、」

なんとも重々しい

「何かありましたか?」

真剣な眼差しを気にしない口ぶりで聞いてみる

「来月から始まる、滝水庵さんと進めてきたプロジェクトですが、、会社の方針が変わり担当替えをしなければならなくなってしまいました」

「え?!」

これはもう2年も前から何度も密に話し合って、進めてきたビックプロジェクト、僕にとって入社後1番大きな仕事だった

昼夜その案件に力を注ぎ寝る間も惜しんで進めてきた。あと1ヶ月で始まろうとしているその仕事を僕が外される事になるのか

「どうして、、」

僕はそんな話全く信じられない、疑いもせず全力でやってきた、なのにどうして、声を荒げたかったが、ショックが大きすぎて力が出てこない

「実は、、、、後任は樫夜木さんに決まっているらしいです、、噂によると、樫夜木さんがうちの役員と秘密裏に連絡をずっととっていたようで、その、、滝水庵さんの悪い話を聞いたというのです、、」

「…」

信じていた同期の裏切りを知り、頭がおかしくなりそうだ

「それで、、」

僕の顔を見て相手は次の言葉が出ないようすだった
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