クラス転移したからクラスの奴に復讐します

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七章 決戦

37話 死線を越えた先に 6

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俺が一歩奴に近づく。
その瞬間、奴の腕が弾け飛んだ。

「……っ!?」

奴は弾け飛んだ腕に見向きもせずに俺からすぐに距離をとった。
その時にはすでに腕は再生されている。

「腕が爆発したみたいだったけど、何かしたのかい?」
「なんだと思う」

もう一歩奴に向かって一歩踏み出すと、次は両足が蒸発して溶けた。

「くっ…ちょっとまずいね」

奴は足の再生より先に、俺めがけて糸のようなものを放ってきた。だが、俺の1メートル手前まで来たところで煙と化して消滅してしまった。

「熱系の魔法かスキルだろうけど……これだと僕のこの能力は意味をなさないかもね」
「なんだ?もう諦めるのか」
「ああ、諦めるよ。まともに殺りあうのはね!」

奴がそういった瞬間、俺の体内に異変が起こった。
指先から黒く、壊死し始めたのだ。
さらに。

「血が通わない?」
「そう。僕の固有能力『原子の崩壊線アトミック・ディケイ・ライン』の力だよ。僕が生み出した無限にも近い粉末が集結して糸状の固形を形成している。君がここに入った時点でこの能力は発動していて君が呼吸や怪我するのと同時に原子の崩壊線アトミック・ディケイ・ライン』で作られた粉末が侵入していたんだ。
その粉末を遠隔操作して血管を埋めるぐらいに大きさに膨張させて今君に起きている壊死状態に陥る」
「だが即効性ではないんだな」
「君も一応は上級位の神だ。そんな存在なんだから即死無効のスキルぐらいはあるだろう」
「まあな。だが、血流を止めた程度でなんだ?」

そう言い放った瞬間、奴の身体中に黒色の斑点が出現し指先の方はすでに真っ黒と壊死しているように見えた。

「な、なんなんだこれは!?」
「今さっきお前が言ったじゃねぇか。アトミックなんちゃらを膨張させて血管を止めたってさ。だから、実際に止めたらどうなるかを自分自身の体で体験してもらおうと思ってな」

殺した勇者(笑)から奪ったスキル『体内状態変換』の能力で、これは命に関わる悪質な体内の変化をその状態にさせた相手になすりつける力を持っている。
この能力の弱点は、自分が本当に命に危険が及ぶ時じゃないと発動しないことと、その状態にさせた人物が自分だった場合だと発動しないことだ。

「くっ…だが、まだ終わってない!」
「ああ、だがすぐに終わる」

奴が力を振り絞って近づいてこようとするのを俺は結界魔法で奴を封じ込め何もできないように手足も魔法で拘束した。
力を十分に発揮することができず、手足を拘束されたルーシーは負けたことを理解したのか抵抗することをやめた。

「最後に答え合わせをして良いか?」
「なんだい?」
「お前の能力は糸じゃなくて、もしかしたら髪の毛が発動条件だったのか?」
「……よく分かったね」

ルーシーは笑いながら肯定した。

「僕は生まれつき髪が伸びるのが早くてね、この能力を手にしたときは有効活用できるって思ったんだよ。この服だって、材質のほとんどは僕の髪の毛だよ」
「髪の毛を変幻自在に操れる能力ってところか」
「変幻自在だけど万能ではないよ。風があったら髪の毛なんて飛んでいっちゃうし、無風の室内ぐらいでしか力が発揮できないんだよね」

そうやって笑っているうちにルーシーの体は下半身はすでに真っ黒となっており腕も肩の辺りまで黒くなっていた。

「アトミックなんとかは一度発動したら解除できないのか?」
「うん。ここらへんも含めて結構不便なんだよね。この髪は胃に傷をつけてそこの血流から侵入して体内を巡る。そして僕の合図で粉々だった髪は膨張して血管を止めることができるようになるんだけど、この技を見切ったのは君で二人目だよ。ちなみに一人目は至高邪神王様だよ。僕たちの親玉だ。君に勝てるかわからないけど…僕にはどうでも良いけど…より良い世界に……なったら……いい…ね…………」

だんだんと呂律が回らなくなり痙攣を起こしていたが、最後の言葉を放った時にはもう気力だけの状態だったらしく儚く笑いながら死んでいった。

「…………おい、出て来いよ」

俺が虚空にそう叫ぶと、ルーシーが死んだところの真上に真っ黒な渦が出現し、その中から黒いドレスを纏った女の子が出てきた。

「…………気づいてた?」
「いや、気づいたのは今さっきだ」
「そう……じゃあ死んで」

彼女がそう言った瞬間、俺の目の前に黒い物体が迫っていた。だが、俺はその黒いのより先に魔法を放った。

すると、いつのまにかそこにいた彼女は少し驚いたような顔をして俺の放った魔法を避けた。その隙に俺は目の前に迫る黒い物体を結界魔法で防いだ。
だが、その黒いのは結界をなぜかすり抜けてそのまま俺の元に迫った。
不思議に思いながら俺は高速移動してその黒いのをかわした。

「この魔法に魔法で相殺しようとは思わない方がいいよ」
「そのようだな。パッとみ、魔力に干渉されないってところかな」
「うん。だから魔力の塊の魔法だったら消すことはできない。お兄ちゃんの仇…撃たせてもらうから」

そう言う少女は、空中に先ほどと同じような黒い物体を無数に発現させた。

「死ね!」

無数に飛来する黒い物体に対して俺は高速移動や転移を使ってかわしていくが、どうやら今回のは追尾式らしくかわしても埒が明かなかった。

それならと、俺は少女に向かって走り出した。

「私に被弾させようって?」
「よくおわかりで」

彼女はナイフを両手で一本ずつ構えて俺を待ち受けた。
後ろからは相殺不可能な魔法、前には刃物を持った少女、立ち向かうなら少女の方だが別に馬鹿正直に立ち向かう気はない。

俺は少女と剣が交わる寸前で転移魔法を使った。

「だと思った」

しかし、彼女はこれも予想していたのか俺の真上には黒い塊の魔法が無数に浮遊していた。

「喰らえ!」

彼女が叫んだ瞬間、無数の黒い塊は俺目掛けて落下してきた。
それを必死に避けるが何発か被弾してしまい、当たった部分が一瞬で蒸発した。

「この魔法強すぎねえか」
「そう。だからお前が私に勝つことなんて万に一つもない。大人しく死んで」

ちっとも嬉しそうじゃない顔をしながら彼女はまた黒い塊を俺目掛けて放ってきた。
だが、そんな彼女に俺はニヒッと笑った。

「そうだな。じゃあ、面白いもんも見れたしそろそろ殺すわ」

俺はそう言って笑い、黒い塊にグランを振り下ろす。
すると、驚くように滑らかに黒い塊は斬られて地面に落ちた。

「えっ……」
「悪いな。全部演技なんだわ。ルーシーが妹の方が強いアピールしてたから試してたんだよ。確かにこの魔法は強いが、相手が悪かったな」
「ど、どうして…どうして斬れるのよ!」
「この剣な、宿を斬ることができるんだよ」

俺がそう答えてやると、絶望したような顔をして彼女はへたり込んでしまった。
そこからの決着は早かった。
手加減なしでルーシー妹の放つ黒い塊を切り落として首筋に剣を添える、たった10秒ほどで詰まされた事実に少女は固唾を飲み怯えることしかできなかった。
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