232 / 250
七章 決戦
26話 面倒ごと
しおりを挟む
デートを満喫した翌日、俺たちは久しぶりに学校に登校した。
最近の学校のことをミリーナに聞くと、特に変わったことはなくいつも通りだと返された。
クラスに着くと、クラスメイトにどこにいってたんだなどと質問ぜめに会うぐらいで特に変わったことはなく平凡な日を過ごせた。
学校が終わりミリーナの帰ろうとすると、王国の騎士団の人たちが学校の門の前で俺たちを待っていた。
「どうかしたんですか?」
「ミリーナ王女。今回はアラストール殿に至急王宮に来ていただきたくこちらに伺いました。自宅に伺ったのですが姿がお見えになりませんでしたので」
ミリーナが声をかけると、その場の代表らしい人が出てきて頭を下げながらそういった。
「そうですか。ではすぐに呼んできますのでお待ちください」
ミリーナが俺に目配せして、俺は走って家の方角に向かった。
子供の姿の俺がアラストールだと知っているのは学校の奴らと国王ぐらいで、王国の兵士や一般人には俺はただの学生やミリーナの護衛だと思われている。
俺は家に向かうと思わせて裏路地に入り姿を変えた後、ミリーナの場所に戻った。
「待たせたな」
「ううん!全然待ってないよー」
「な、なぜそんなに早くこれるかは謎ですが……早速行きましょう」
たしかに早すぎるが、いちいちそこまでしてたら面倒いためしなかった。
高級な馬車に乗って俺たちは王宮に向かい、10分程度でたどり着いた。
王宮ではセーバスさんが待ち受けていて俺たちが馬車から降りると謁見の間まで案内してくれた。
「多くの貴族がいますが気にせず堂々としてくださいね。今やアスト様は公爵なんですから」
「わかった」
セーバスさんに後押しされた後俺は一人で謁見の間に入っていった。ミリーナとは途中で分かれていて、今は謁見の間の国王の隣でおめかしして座っている。
周りに目をやると、敵意や好意の目が向けられていて少し居心地が悪いがミリーナに目を向けると微笑まれてそれらの目が気にならなくなった。
今まで通りみたく、真ん中あたりで頭を下げておっちゃんの言葉を待った。
「面をあげよ」
「はっ」
隣でミリーナが必死に笑いを堪えていておっちゃんは苦笑いをした。
「此度はお主のお陰で他国におく無駄な死が…少なくはなかったが多くもなかった。元帝国の住民約80万人、元工国の住民2000万人の命を救ったお主の働きに敬意を払い、帝国があった土地をお主が治める権利をやろう」
「…………ッ!?」
「さらに、この国の公爵を退き、新たな国家としてその領地を使うことも許可する」
「……発言してもよろしいでしょうか」
「良い」
「それはつまり、私を新たな国の国王とし貿易回路を作らせることが目的でしょうか?」
「それもあるが、お主の力は世界にすでに知れ渡ってしまった。それを危惧して、あの家では不安要素があるため、お主を新たな国の国王とする事でその不安要素をなくそうとしたのだ」
「……不安要素とはなんでしょうか」
「お主の力を求めて現在も他国から引き取りの手紙が何通か届いておる。もちろん公爵であるお主をみすみす他国に譲ろうなどとは思っておらん。そうすると、お主を狙って争いが起こる。儂はそれを望んでおらん。して、お主を国の王とすれば、その問題は解決すると思ったのだ」
「……なるほど。要するに、私がこの国にいれば争いの元となってしまう可能性があるため国を作り上げその国の王となり他国の要望をこちらに丸投げしようという事ですね」
「まぁ、そういう事だな。すまないな」
「そうですね。すごく迷惑ですがこれも仕方がない事ですからしっかりとその責務を全うしようと思います」
「本当か!それは助かる」
「ただ条件として、物資をいくらか送って欲しいのですが大丈夫でしょうか」
「大丈夫だ。ほかに必要なものがあったら言って欲しい。すぐに準備しよう」
「ありがとうございます」
「では、次の話題に入ろう」
「え?」
俺が疑問の声を上げると、おっちゃんはいたずらが成功した子供のように笑った。
「魔族の襲撃の際、魔族を撃退した功績を認め、二つ名に『英雄』を使用することを許可する。それとともに工業国家ナリュマーの所有権利をお主に譲渡する。このことはナリュマー全国民の総意であり拒むことは不可能である。もちろん意見することも不可能だ」
俺は、目眩が起こるのを必死に堪えながらも頭を下げた。
「……謹んで頂戴いたします」
面倒くさいことになるな。と、心で思いながら俺はそう宣言した。
最近の学校のことをミリーナに聞くと、特に変わったことはなくいつも通りだと返された。
クラスに着くと、クラスメイトにどこにいってたんだなどと質問ぜめに会うぐらいで特に変わったことはなく平凡な日を過ごせた。
学校が終わりミリーナの帰ろうとすると、王国の騎士団の人たちが学校の門の前で俺たちを待っていた。
「どうかしたんですか?」
「ミリーナ王女。今回はアラストール殿に至急王宮に来ていただきたくこちらに伺いました。自宅に伺ったのですが姿がお見えになりませんでしたので」
ミリーナが声をかけると、その場の代表らしい人が出てきて頭を下げながらそういった。
「そうですか。ではすぐに呼んできますのでお待ちください」
ミリーナが俺に目配せして、俺は走って家の方角に向かった。
子供の姿の俺がアラストールだと知っているのは学校の奴らと国王ぐらいで、王国の兵士や一般人には俺はただの学生やミリーナの護衛だと思われている。
俺は家に向かうと思わせて裏路地に入り姿を変えた後、ミリーナの場所に戻った。
「待たせたな」
「ううん!全然待ってないよー」
「な、なぜそんなに早くこれるかは謎ですが……早速行きましょう」
たしかに早すぎるが、いちいちそこまでしてたら面倒いためしなかった。
高級な馬車に乗って俺たちは王宮に向かい、10分程度でたどり着いた。
王宮ではセーバスさんが待ち受けていて俺たちが馬車から降りると謁見の間まで案内してくれた。
「多くの貴族がいますが気にせず堂々としてくださいね。今やアスト様は公爵なんですから」
「わかった」
セーバスさんに後押しされた後俺は一人で謁見の間に入っていった。ミリーナとは途中で分かれていて、今は謁見の間の国王の隣でおめかしして座っている。
周りに目をやると、敵意や好意の目が向けられていて少し居心地が悪いがミリーナに目を向けると微笑まれてそれらの目が気にならなくなった。
今まで通りみたく、真ん中あたりで頭を下げておっちゃんの言葉を待った。
「面をあげよ」
「はっ」
隣でミリーナが必死に笑いを堪えていておっちゃんは苦笑いをした。
「此度はお主のお陰で他国におく無駄な死が…少なくはなかったが多くもなかった。元帝国の住民約80万人、元工国の住民2000万人の命を救ったお主の働きに敬意を払い、帝国があった土地をお主が治める権利をやろう」
「…………ッ!?」
「さらに、この国の公爵を退き、新たな国家としてその領地を使うことも許可する」
「……発言してもよろしいでしょうか」
「良い」
「それはつまり、私を新たな国の国王とし貿易回路を作らせることが目的でしょうか?」
「それもあるが、お主の力は世界にすでに知れ渡ってしまった。それを危惧して、あの家では不安要素があるため、お主を新たな国の国王とする事でその不安要素をなくそうとしたのだ」
「……不安要素とはなんでしょうか」
「お主の力を求めて現在も他国から引き取りの手紙が何通か届いておる。もちろん公爵であるお主をみすみす他国に譲ろうなどとは思っておらん。そうすると、お主を狙って争いが起こる。儂はそれを望んでおらん。して、お主を国の王とすれば、その問題は解決すると思ったのだ」
「……なるほど。要するに、私がこの国にいれば争いの元となってしまう可能性があるため国を作り上げその国の王となり他国の要望をこちらに丸投げしようという事ですね」
「まぁ、そういう事だな。すまないな」
「そうですね。すごく迷惑ですがこれも仕方がない事ですからしっかりとその責務を全うしようと思います」
「本当か!それは助かる」
「ただ条件として、物資をいくらか送って欲しいのですが大丈夫でしょうか」
「大丈夫だ。ほかに必要なものがあったら言って欲しい。すぐに準備しよう」
「ありがとうございます」
「では、次の話題に入ろう」
「え?」
俺が疑問の声を上げると、おっちゃんはいたずらが成功した子供のように笑った。
「魔族の襲撃の際、魔族を撃退した功績を認め、二つ名に『英雄』を使用することを許可する。それとともに工業国家ナリュマーの所有権利をお主に譲渡する。このことはナリュマー全国民の総意であり拒むことは不可能である。もちろん意見することも不可能だ」
俺は、目眩が起こるのを必死に堪えながらも頭を下げた。
「……謹んで頂戴いたします」
面倒くさいことになるな。と、心で思いながら俺はそう宣言した。
1
お気に入りに追加
3,453
あなたにおすすめの小説

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました
遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。
追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。
やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる