クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath

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七章 決戦

20話 想定外

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「ん……いつのまにか寝てたのか」

目を覚ますと、隣にはミリーナが俺の肩に頭を置いた状態で眠っており、窓の外は日が落ち始めていた。

「ミリーナ、起きろ」
「んん……おはよアスト」
「ああ、おはよ」
「雫ちゃんたちは?」
「外に行ったっきりだ。まぁすぐに帰ってくるだろ」
「分かった。じゃあ……エイッ!」

俺がそう返すと、いきなりミリーナが抱きついてきた。

「お、おい。何してんだよ」
「ふふふん…抱きつきたかったから抱きついたのです」
「なんだよそれ」

俺は頭を撫でながらミリーナを優しく包んだ。

「しばらくこうしてなかったからさ」
「たしかに……そうだな」

最近は邪神やらなんやらで構ってやれなかったからな。

「だからこうやって甘えてる」
「ははっ。ミリーナは甘えん坊だな」
「……ずっとこうしてたいよ。アスト」
「……ずっとこうしてやるよ。だからさ、泣かないでくれよ」

いつのまにか泣いていたミリーナを俺は強く抱きしめた。最初は声を抑えて泣いていたが、しだいに抑えきれなくなったのか、俺にしがみつきながら泣いた。

「私……アストと離れ離れになりたく無い……ずっと一緒に居たい」
「おいおい。ずっと言ってるだろ?俺はどこにもいかないよ」
「アストと、これからも一緒にいる。死ぬまで一緒にいる!死んでもいる」
「ああ、そうだな。俺だって死んでもミリーナと一緒にいるさ」
「離れたく無い……一秒も」
「手の届くところにいるさ。ずっと……」
「お願い……いかないで。どこにも、いかないで」
「それは……すまないが無理だ」
「ど、どうして……」
「俺が行かなきゃ、ミリーナと一緒に過ごせないからさ。俺はミリーナとこれからもずっと一緒にいるために行く。でも絶対帰ってくるよ」
「約束……できる?」
「ああ、約束してやる」

心配そうに俺を見るミリーナを安心させようと右手の小指を前に出した。

「ミリーナも小指を出してくれ」
「なんで?」
「俺の世界のおまじないだよ」
「……分かった」

しばらく俺の小指を見つめた後、ミリーナも小指を前に出した。その差し出されたミリーナの小指を俺の小指と絡ませた。

「これは約束のおまじない。約束を破ったら針を千本飲むんだ」
「怖いね…それ」
「破らなきゃいいんだよ…………絶対に戻ってくる。約束だ」
「うん、約束」

互いに唇を重ねて約束をした後ミリーナは料理の支度に入った。
そのすぐ後に雫たち全員が帰ってきた。

その日は、飯を食った後はすぐに眠りに入った。


翌朝、セーバスさんが息を切らしながら俺の家に訪れてきて「訳は後で、急いで王宮に来てください」と切羽詰まった状態で言うため急いで支度してセーバスさんと転移で王宮に向かった。
ミリーナたちはまだ寝ていたため起こさなかった。

「どうしたんだよセーバスさん」
「…………昨夜、ナリュマーが滅びました」
「…………は?」

サーバスさんが言ったことに俺は驚きすぎて変な声が出てしまった。

「来たか」
「どう言うことだよ、おっちゃん」

おっちゃんのところにはすぐに着き、すぐに話し合いを始めた。

「どうもこうも、聞いた通りだ」
「聞いたのは滅んだってだけだ」
「誰がなにをどうしてとかはわからねぇのか」
「分かっているのは魔物によって滅ぼされたと言うだけだ」
「クソ……予知のまんまかよ」
「連絡が入ったのはついさっきだ。ナリュマーの兵が来たのだ」
「…………ん?どうやってだ」

少なくてもナリュマーからここまでは2ヶ月近くかかるはずだ。馬とかそんなのでこれるはずがない。

「そのものが言うには、よくわからない竜に転移させられたと言っていた」
「…………なんでだよ」

俺の想像していることが確かなら……邪神が生きている。
あの竜になれる邪神が生きているとすれば話の筋は通るかもしれない。だがまずあいつは死んだはずだ。心臓をきっちり潰したんだから。
不死身って訳でもないだろう。どんな生物でも命は一個までだし不死身なんてのはアンデットだけだ。
とりあえず……現場を見たほうがいいだろう。

「おっちゃん、ちょっと俺現場に行ってくる」
「それは良いが気をつけるんじゃぞ。今も魔物が暴走している可能性もある」
「分かった」

俺は転移でナリュマーに飛んだ。

そこでは、黒煙がそこらじゅうから出ており、国の中では魔物が動いていた。

「なんでだよ……なんでこんなことになってんだよ!」

たしかに魔物は殺したはずだ。一匹も残ってなかった。邪神も殺したはずなんだ。なんで……なんでなんだ。

「それは俺が生きてたからさ」
「!?」

声が聞こえた方に振り向くと、背中から竜の翼を生やした人間がいた。
その姿と先ほどの声で誰なのかは一瞬で検討がついた。

「なんで生きてんだよ……邪神」
「はははっ!驚いたでしょう?私の固有能力…ではなく貰い物なんですがね。即死無効の能力があるんですよ」
「即死……無効?」
「見覚えがあるんじゃないですか?神界にいた邪神もとい最高神とおんなじ能力ですよ?あ、今はあなたとおんなじスキルでしたかね」
「クソが……」

たしかに、固有スキルとはあるが世界に1人だけの能力ではなかったな。エンシェントオーガの時に知ったはずなのに……やはりまだまだだな俺は。

「なら……何度でも死ぬまで殺すだけだ」
「はははっ!やれるものならやってみてくださいよ」

ーーーーーーーーー
作者より。
邪神の喋り方はこっちが素だと思ってください。怒ったら前みたいな喋りかたになります。

以前に感想をいただいて、雫編は新しく別の話で作ろうと言うことになりました。

これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!
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