クラス転移したからクラスの奴に復讐します

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七章 決戦

10話 VS神龍 バジリスク

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神龍より放たれた雷の球を2人は左右に分かれながら躱した。

「さっきのステータスを見る限り魔法は効かない!物理攻撃で行くしかないよ!」
「了解!」

翔也が饒舌スキルを上手く使いながらそう説明し、橙里が短くそう返した。

「ハァァァ!!」

橙里は無詠唱で腕に部分竜化と部分筋力増加を発動しバジリスクに肉薄した。

『グラァァァァ!!!』
「んな!?」

しかし、あともう少しのところで神龍が咆哮し当たった部分がまるで硬い何かに当たったかのような甲高い音を立てて弾かれた。

「クソッ俺の筋力が無理だ!」
「僕が付与する!『鋭利化』、『貫徹』、『防御不可』、『爆発』!!」

翔也の付与を終え、もう一度肉薄した橙里は前脚の人間でいうアキレス腱があるところに向かって斬りつけた。
神龍は先ほどと同じように咆哮したが、今回は刃が中程まで切り込まれ、刃が止まったところで小規模の爆発が起こった。小規模といってもそこらの家屋が一瞬で消し炭になるほどの威力と規模だ。

これは、先ほどと翔也が行なった付与で『爆発』というものでありその能力は、付与された武器を持つ者が念じることで刃に触れている場所から爆発を引き起こすというものだ。
しかし、この能力で引き起こされた爆発において武器の持ち主はダメージを受けないが衝撃までは殺せないため使う先は気をつけなくてはならない。

その攻撃のせいでバジリスクはバランスを崩し前かがみに倒れこんだ。

「よし!畳み掛けるぞ!」
「うん」

そして2人は、それぞれ真紅に輝く剣と蒼海のように美しい剣を構えた。

その武器は、家を出る前にアストが2人に渡したものであり、どちらも驚異的な能力を保有している。

橙里に与えられた真紅に輝く剣の能力は、
如何なるものも斬りつけることができ、血がこの剣に触れると血の持ち主に対して圧倒的な破壊力を得れる。さらに、火を支配下に置くことができ刃の温度も調節することができる。
そして、その真名を呼ぶことで覚醒する。

翔也に与えられた蒼海のように美しい剣の能力は、
ありとあらゆる液体を支配下に置くことができ、刃に触れた箇所を液体にすることができる。さらに、支配下にある液体は、自由自在に変化させることができ温度も調節することができる。
そして、その真名を呼ぶことで覚醒する。


「行くぜ!アカツキ!」
「行くよ!ヨイ!」

2人はそれぞれ手に持つ剣の真名を呼んだ。
すると、剣はいきなり輝き出しまるで脈打つように剣身に白のラインが現れたり消えたりを繰り返した。
特にそれ以外には変わったようには見えないが、その武器を持っている2人は今までとは大きな差があった。

「すげー、なんか力が漲ってる!」
「これなら……いけそう!」

覚醒後の追加能力。
それは、武器の所有者に生物を超越した力を授けることである。
単純ながら、もっとも強力な能力だ。

「翔也!付与!」
「分かった!」

そして、橙里は翔也にそう声をかけながら神龍に向かって走りだした。
その速さは先ほどまでとは次元が違いたった一瞬でお互いの距離が0となった。
さらに、翔也の付与速度も次元を超え、この時にはすでにの付与を終えていた。

「ハァァァァァアア!!」

先ほどと同じように腕に部分竜化を施し、大跳躍を得て神龍の上空に飛び上がり、上段の構えから一気に首へと剣を振り落とした。

神龍は自身の持つ硬化スキルをふんだんに使いその攻撃に耐えようとするが、如何なるものを斬りつける剣に対してそれは愚行だった。

剣はまるでバターを切るかのように滑らかに刃が通っていき、首に深い傷を与えた。

すこし遅れて、翔也がその傷口に剣を突き刺した。

「逆流せよ!!」

翔也がそう叫んだ直後、神龍の調子がだんだんと悪くなっていった。
翔也が行ったのは、体内に剣を突き立て『ヨイ』の能力である、あらゆる液体を支配下に置くことで神龍の血液を逆流させたのだ。
その能力で、神龍の体内のいたるところが破壊され目が血走ったようになり口を閉じたり開けたりを繰り返しながら数分後には事切れた。

「「や、やったーー!!」」

2人はそれぞれ手を取り合って討伐したことに喜んだ。

「さすが翔也だ!ナイス付与!」
「橙里にいちゃんこそ!ナイスアタック!」

2人はそう言い合ってハイタッチをした。

「さて、こいつをやったのはいいけど」
「うん。どうやって帰るかだよね」

2人が来た道は現在、岩盤によって閉ざされていた。

「『ヨイ』の能力でこの岩盤液体に変えれないか?」
「試してみるよ」

翔也が『ヨイ』を構え目の前の岩盤で振り下ろす瞬間、視界の端にいた通りが一瞬で消えた。

「えっ……」

振り返ると、先ほどまで橙里がいたところには自分たちの数倍はあるほどの巨大な尾があった。そして、左側を見ると岩壁に埋まって身体中から血を流している橙里がいた。

それを確認し、もう一度目線を巨大な尾に向けると訳もわからず吹き飛ばされた。

「カハッ!」

橙里と同じように岩壁に体が埋め込んだが、翔也はさらに足があらぬ方向へと曲がっていた。

「クゥゥ……翔也、翔也!」

なんとか岩壁から抜けることができた橙里はそう叫びながら翔也のところに向かおうとするが、それを拒むものがいた。

「な、なんで…なんでまだ生きてんだよ!」

そこには、先ほど確かにとどめを刺したはずの神龍がいた。

ーーーーーーーーー
作者より。
今日は二話更新しときます!
バレンタインだとでも思っといてくださいw
今後も頑張るので応援よろしくお願いします。
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