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五章 一時の帰還
13話 生みの母親
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「どう言うことだよ」
俺は生気を取り戻して親父に聞いた。
「お前たちの母さんは雫を生んですぐに死んでしまったんだ」
俺はその衝撃的な事実を聞いて最初の6つの反応があったスキルの判別をもう一度行い確認したところ、俺が最初に不思議に思った1つの反応が日本にあった。ここも判別の弱点で生死が判別できないのだ。
「お前たちの母さんの名前は灞熾蘑 桜。お前たちの生みの親だ」
俺は自然と涙を流した。
「母さんの遺言でな。手紙があるんだ」
親父はよろけながらも立って奥からボロボロの一通の手紙を持ってきた。
どれだけ長くの年月が経っているのかがよくわかる。
「俺は何も見ていない。お前の目で確かめろ」
俺は目をこすって涙を拭き取って手紙を開いた。
『煌羈へ。
まだ生まれたばかりのあなたには早いと思ったからこの手紙を残します。
大きくなったら読んでください。
今、私の体にはあなたの妹がいます。それと同時に虚血性心疾患もありました。
今、虚血性心疾患の手術をするとお腹にいる赤ちゃんに悪影響が出て流産してしまう可能性があったから手術ができない状態でした。
赤ちゃんがお腹の中で大きくなるにつれて私の心臓も苦しくなるのが分かってた。だからもしものために貴方には手紙を書きました。
これを貴方が読んでいる頃には、私はこの世にいるかどうかも分かりません。
だから、最後にこれだけは言わせて、
私は貴方を、愛してるわ。
これからも、私は貴方を愛してるから。
どんな生き方をしようと、変わらず私は貴方を見守っているからね。
貴方がどんな人生を歩んで、どんな最後を迎えるのかはわからないけど最後まで私は、貴方のことを見守ってるから。
だから、例え私が死んでも、哀しまないで、笑って見送ってね。
もし生きてたら、私とこの娘と琇斗さんと貴方の四人で向日葵畑に行きましょ。
向日葵の花言葉って知ってる?
花言葉は、『私は貴方だけを見つめる』って言うの。
私は、どんな時でも貴方の味方で貴方のことを見守っているからいつも向日葵のように満開の笑顔で私たちの心の在りどころにあってね。
もしこの娘が産まれたら、優しくしてあげてね。貴方はお兄ちゃんになるんだから。
煌羈、全然構ってあげられなくてごめんね。先立ってしまう不甲斐ない私だけど、貴方は私の宝物で、私の子供だから、それは変わりようのない事実でそれが私たちの親子の印だから。
だから、これでお別れだとしても、泣いたりしないで笑顔で見届けてね。貴方は強い子だから。みんなをよろしくね。
貴方を愛する母より』
俺は、読み終わった頃には目元を涙でいっぱいにしていた。
「母さん……」
多分母さんは、自分が死ぬことを分かってたんだろうな。なのにわざわざ向日葵を見に行きたいだなんて……俺はそう思うとさらに涙がこみ上げて来た。
「泣きたいなら泣け。今はその時だと思うぞ」
「い、いや……手紙…には、グスン……笑顔で、見送ってほしいって……だから、泣いたりは……しない」
「…………そうか」
俺は目に溜まっていた涙を拭き取って静かに天を見上げた。
「……母さん……俺のことを見守っててくれたのかな。こんな出来の悪い俺でもさ」
「それでも、お前は俺たちの子供だ。見えなくても思うことは忘れてないし母さんだからな、きっと見守っていたさ」
「……そうだといいな」
「ああ」
俺は涙は流したが決して泣いたりはせずに天にいる母さんに向けて、笑顔を向けながら言った。
「母さん……俺を産んでくれて、ありがとう」
ーーーーーーーーー
作者より。
今日は早めに更新しときまーす!今後とも頑張っていきますので応援の方よろしくお願いします!
俺は生気を取り戻して親父に聞いた。
「お前たちの母さんは雫を生んですぐに死んでしまったんだ」
俺はその衝撃的な事実を聞いて最初の6つの反応があったスキルの判別をもう一度行い確認したところ、俺が最初に不思議に思った1つの反応が日本にあった。ここも判別の弱点で生死が判別できないのだ。
「お前たちの母さんの名前は灞熾蘑 桜。お前たちの生みの親だ」
俺は自然と涙を流した。
「母さんの遺言でな。手紙があるんだ」
親父はよろけながらも立って奥からボロボロの一通の手紙を持ってきた。
どれだけ長くの年月が経っているのかがよくわかる。
「俺は何も見ていない。お前の目で確かめろ」
俺は目をこすって涙を拭き取って手紙を開いた。
『煌羈へ。
まだ生まれたばかりのあなたには早いと思ったからこの手紙を残します。
大きくなったら読んでください。
今、私の体にはあなたの妹がいます。それと同時に虚血性心疾患もありました。
今、虚血性心疾患の手術をするとお腹にいる赤ちゃんに悪影響が出て流産してしまう可能性があったから手術ができない状態でした。
赤ちゃんがお腹の中で大きくなるにつれて私の心臓も苦しくなるのが分かってた。だからもしものために貴方には手紙を書きました。
これを貴方が読んでいる頃には、私はこの世にいるかどうかも分かりません。
だから、最後にこれだけは言わせて、
私は貴方を、愛してるわ。
これからも、私は貴方を愛してるから。
どんな生き方をしようと、変わらず私は貴方を見守っているからね。
貴方がどんな人生を歩んで、どんな最後を迎えるのかはわからないけど最後まで私は、貴方のことを見守ってるから。
だから、例え私が死んでも、哀しまないで、笑って見送ってね。
もし生きてたら、私とこの娘と琇斗さんと貴方の四人で向日葵畑に行きましょ。
向日葵の花言葉って知ってる?
花言葉は、『私は貴方だけを見つめる』って言うの。
私は、どんな時でも貴方の味方で貴方のことを見守っているからいつも向日葵のように満開の笑顔で私たちの心の在りどころにあってね。
もしこの娘が産まれたら、優しくしてあげてね。貴方はお兄ちゃんになるんだから。
煌羈、全然構ってあげられなくてごめんね。先立ってしまう不甲斐ない私だけど、貴方は私の宝物で、私の子供だから、それは変わりようのない事実でそれが私たちの親子の印だから。
だから、これでお別れだとしても、泣いたりしないで笑顔で見届けてね。貴方は強い子だから。みんなをよろしくね。
貴方を愛する母より』
俺は、読み終わった頃には目元を涙でいっぱいにしていた。
「母さん……」
多分母さんは、自分が死ぬことを分かってたんだろうな。なのにわざわざ向日葵を見に行きたいだなんて……俺はそう思うとさらに涙がこみ上げて来た。
「泣きたいなら泣け。今はその時だと思うぞ」
「い、いや……手紙…には、グスン……笑顔で、見送ってほしいって……だから、泣いたりは……しない」
「…………そうか」
俺は目に溜まっていた涙を拭き取って静かに天を見上げた。
「……母さん……俺のことを見守っててくれたのかな。こんな出来の悪い俺でもさ」
「それでも、お前は俺たちの子供だ。見えなくても思うことは忘れてないし母さんだからな、きっと見守っていたさ」
「……そうだといいな」
「ああ」
俺は涙は流したが決して泣いたりはせずに天にいる母さんに向けて、笑顔を向けながら言った。
「母さん……俺を産んでくれて、ありがとう」
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作者より。
今日は早めに更新しときまーす!今後とも頑張っていきますので応援の方よろしくお願いします!
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