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17.傷跡
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(アルバート視点)
執務室に入った時、そこには誰もいなかった。
すぐさま戸棚が調べられ、あまり時間もかからず戸棚のカラクリが解かれる。
ガチャンと音がして戸棚が横にズレると、目の前には地下へ降りる薄暗い階段が現れた。
「ここか!!フィーネ!!!」
「閣下!我々より前に出ては・・・!」
アルバートは真っ先に階段を駆け下りた。
後ろから焦った声でノアが諫めてくるが知った事ではない。
階段を降り切った先で見たものは。
広い空間一つのだだっ広い部屋だった。
部屋には幾重にもベールの垂れ幕がかけられ奥の方は見渡せない。
「フィーネ!!返事をしろ!!どこだ!!!」
アルバートは叫んだ。
フィーネがどこかにいる。それは確信していた。
ベールを剣で切り裂き、中央へ足早に進めると真ん中から濃厚な空気が漂って来た。
麻薬か。
厄介な・・・・。フィーネは無事か!?
ドクドクと嫌な予感に心臓がうるさく鳴る。
どれだけ長い時間ここに閉じ込められたのか。
バサリと最後の布を翻した時、アルバートは信じられない光景を目の前にした。
「フィー・・・!!!?」
天幕の中央でスラックスを寛げる男と。
血だらけで横たわり、こちらをガラス玉のような瞳で見るフィーネだった。
「き、貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「こ、公爵!!?ぐあっ・・・」
頭がガンガン沸騰する気がした。
目の前が赤く染まる。
アルバートは目の前の目障りな男を一瞬で切り倒し、その男には目もくれずフィーネの元に走った。
後ろでノアが男にトドメを刺したようだ。
フィーネの足元に辿り着くと、アルバートはフィーネを抱き起した。
「フィーネッ!!!遅くなって済まない!!フィーネ!!しっかりしろ!!」
「・・・・アル・・・」
「ああ・・・!私だ・・!ここにいる!!迎えに来たから一緒に帰ろう・・・・」
フィーネは呼びかけても意識が朦朧としているのか弱い反応しか返さない。
ギリギリとアルバートの奥歯が鳴る。
フィーネの足元を見ると、錠がかけられ鎖で繋がれていた。
怪我していた右足は悲惨な事に抵抗したのか、腫れ上がりドス黒くなっている。
アルバートは怒りでどうにかなりそうだった。
私の失態だ。
あの時嫌われても無理矢理にでも公爵家へ連れて行くべきだった。
フィーネをこんな目に合わせてしまった。
商人の男も徹底的に制裁をしておけば・・・。
後悔ばかりが過る。
アルバートは鎖を叩き切り、フィーネを抱き上げた。
「・・・・屋敷に帰るぞ。医師と錬金術師を手配しろ」
「御意。馬車の中で出来る限りの応急処置をしましょう。かなり強い麻薬も吸わされているようですね」
「・・・ああ。媚薬の類かあるいは・・・」
「後遺症など残らないと良いのですが」
現在フィーネの意識はない。
血の気が引いて一瞬死んでいるのでは、と思わせる顔色だ。
だが心臓は動いている。まだ助かるだろう。
しかし、こんなはずではなかったのに。
一度引き下がりはしたが、フィーネには時間の許す限り許しを請おうと思っていた。
何度でも、迷惑がられても。
スラムでの生活がきついようであれば援助も惜しまず安寧な生活が送れるように手配するつもりだった。
それがどうしてこんな事に。
「閣下。こちらにフィーネ様を寝かせて下さい」
ノアが馬車のドアを開けアルバートに言う。
「ああ」
「私は騎士団の傷薬と水と包帯を集めてきます」
「頼む」
アルバートは馬車のソファにフィーネを横たえた。
傷だらけのフィーネにアルバートの心が痛む。
殴られた頬が痛々しく痣になっていた。
待っている間、アルバートはフィーネの足にかけかれた錠を破壊する。
右足は異様なほど腫れ、骨に異常が出ているかもしれない。
怖い思いをさせてしまった。
すぐさまノアが戻って来て適切に処置をしていく。
ムチの痕が全身にあり、ミミズ腫れが凄まじい様子にアルバートもノアも顔を眇めた。
「一刻も早く戻りましょう。傷の手当もですが麻薬を早く抜かなくては」
「わかっている。おい、出せ。急げ」
御者にアルバートは命令しすぐさま動き出した。
騎士団も建物から撤収し、捕縛した人間も大勢連行される。
商会の主人と上層部の人間は皆殺しであった。
執務室に入った時、そこには誰もいなかった。
すぐさま戸棚が調べられ、あまり時間もかからず戸棚のカラクリが解かれる。
ガチャンと音がして戸棚が横にズレると、目の前には地下へ降りる薄暗い階段が現れた。
「ここか!!フィーネ!!!」
「閣下!我々より前に出ては・・・!」
アルバートは真っ先に階段を駆け下りた。
後ろから焦った声でノアが諫めてくるが知った事ではない。
階段を降り切った先で見たものは。
広い空間一つのだだっ広い部屋だった。
部屋には幾重にもベールの垂れ幕がかけられ奥の方は見渡せない。
「フィーネ!!返事をしろ!!どこだ!!!」
アルバートは叫んだ。
フィーネがどこかにいる。それは確信していた。
ベールを剣で切り裂き、中央へ足早に進めると真ん中から濃厚な空気が漂って来た。
麻薬か。
厄介な・・・・。フィーネは無事か!?
ドクドクと嫌な予感に心臓がうるさく鳴る。
どれだけ長い時間ここに閉じ込められたのか。
バサリと最後の布を翻した時、アルバートは信じられない光景を目の前にした。
「フィー・・・!!!?」
天幕の中央でスラックスを寛げる男と。
血だらけで横たわり、こちらをガラス玉のような瞳で見るフィーネだった。
「き、貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「こ、公爵!!?ぐあっ・・・」
頭がガンガン沸騰する気がした。
目の前が赤く染まる。
アルバートは目の前の目障りな男を一瞬で切り倒し、その男には目もくれずフィーネの元に走った。
後ろでノアが男にトドメを刺したようだ。
フィーネの足元に辿り着くと、アルバートはフィーネを抱き起した。
「フィーネッ!!!遅くなって済まない!!フィーネ!!しっかりしろ!!」
「・・・・アル・・・」
「ああ・・・!私だ・・!ここにいる!!迎えに来たから一緒に帰ろう・・・・」
フィーネは呼びかけても意識が朦朧としているのか弱い反応しか返さない。
ギリギリとアルバートの奥歯が鳴る。
フィーネの足元を見ると、錠がかけられ鎖で繋がれていた。
怪我していた右足は悲惨な事に抵抗したのか、腫れ上がりドス黒くなっている。
アルバートは怒りでどうにかなりそうだった。
私の失態だ。
あの時嫌われても無理矢理にでも公爵家へ連れて行くべきだった。
フィーネをこんな目に合わせてしまった。
商人の男も徹底的に制裁をしておけば・・・。
後悔ばかりが過る。
アルバートは鎖を叩き切り、フィーネを抱き上げた。
「・・・・屋敷に帰るぞ。医師と錬金術師を手配しろ」
「御意。馬車の中で出来る限りの応急処置をしましょう。かなり強い麻薬も吸わされているようですね」
「・・・ああ。媚薬の類かあるいは・・・」
「後遺症など残らないと良いのですが」
現在フィーネの意識はない。
血の気が引いて一瞬死んでいるのでは、と思わせる顔色だ。
だが心臓は動いている。まだ助かるだろう。
しかし、こんなはずではなかったのに。
一度引き下がりはしたが、フィーネには時間の許す限り許しを請おうと思っていた。
何度でも、迷惑がられても。
スラムでの生活がきついようであれば援助も惜しまず安寧な生活が送れるように手配するつもりだった。
それがどうしてこんな事に。
「閣下。こちらにフィーネ様を寝かせて下さい」
ノアが馬車のドアを開けアルバートに言う。
「ああ」
「私は騎士団の傷薬と水と包帯を集めてきます」
「頼む」
アルバートは馬車のソファにフィーネを横たえた。
傷だらけのフィーネにアルバートの心が痛む。
殴られた頬が痛々しく痣になっていた。
待っている間、アルバートはフィーネの足にかけかれた錠を破壊する。
右足は異様なほど腫れ、骨に異常が出ているかもしれない。
怖い思いをさせてしまった。
すぐさまノアが戻って来て適切に処置をしていく。
ムチの痕が全身にあり、ミミズ腫れが凄まじい様子にアルバートもノアも顔を眇めた。
「一刻も早く戻りましょう。傷の手当もですが麻薬を早く抜かなくては」
「わかっている。おい、出せ。急げ」
御者にアルバートは命令しすぐさま動き出した。
騎士団も建物から撤収し、捕縛した人間も大勢連行される。
商会の主人と上層部の人間は皆殺しであった。
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