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13.公爵家へ
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(アラン視点)
「公爵様に取り次いで下さい!!」
「こら!待て!!」
アランは連れて来てもらったグライア公爵家の前で必死に頼み込んでいた。
屋敷というよりもはや小さな城に見える屋敷は敷地の範囲が掴めないひど広く、広大な土地を囲む巨大な塀と門に行く手を阻まれていた。
「たく、どこから来たんだ。ここはお前が来るような所ではない!」
「時間がないのです!!公爵様に会わなければいけないんです!!」
涙目になりながらアランは必死に門番の騎士に頼み込むが聞いてもらえない。
騎士としても不審者を屋敷に入れるわけにはいかない。
ちらりと見えるローブの中に着ている衣服は貧民のそれだ。
公爵と面識があるとはとても思えない。
どうしてこんなところにこんな子供が。
そう首を傾げるしかなかった。
「いい加減にしろ!約束のない者は通せないんだ!!諦めて帰れ!」
アランは焦りで突破しようとするが、叶うはずもなく門番の槍に阻まれていた。
アランはババ様に公爵家の場所を教えて欲しいと言ったら、ババ様は護衛?の人をアランにつけて送り出してくれた。
護衛に案内されるがままに貴族街に入ろうとした所、無言で護衛に上着としてローブを渡された。
着ろということかなと思って素直に身に着けたら、そのまままた道を進み始めた。
着てから中に入ってみてわかった。
貴族街にいる人々はみな身綺麗な恰好の人ばかりだ。
おそらくスラムの人間だとわかると目立つし不信感を与えかねないのかもしれない。
どんどん進む護衛の人に必死で付いて行くと、一際大きな敷地を持つ巨大な門がある邸宅に着く。
敷地を覆う塀の端が見えないほど広い邸宅の門には屈強で強そうな騎士が外敵から守るように立っていた。
そこに、アランが怖いもの知らずにも突進したのだった。
普段子供らしくない頭脳で物事を冷静に見るアランらしくない行動だった。
アランは何とかグライア公爵本人へ繋いでもらおうと話しかけるが、当然それは叶えられない。
「お願いします!急がないといけないんです・・・!」
迷惑そうに騎士はアランを追い払おうとする。
「あの、ちょっと失礼します」
「うわ、なんだ!?」
と、突然騎士の目の前に現れた男に騎士たちは面食らう。
だが一瞬で警戒の目で男を見た。
「これをご覧ください。もしくはこれの価値が分からなければ分かる方にお取次ぎを」
「・・・・分かった。ここで待っていろ」
護衛の人が懐から取り出したのは紫色の紋章だった。
見せられた門番は不審そうに見ながらもその紋章を受け取った。
「これをこの邸宅の主人かもしくは側近の方にお見せいただければ分かると思います」
「もし、知らないと言われたら真っ直ぐ帰れ。妙な真似はするな」
「もちろんです」
騎士の一人がその紋章を持ち邸宅の方へ歩いて行った。
その様子をポカンと見ていたアランはチラリと護衛を見た。
「アラン様。こういう場合は大人を頼って下さい。先に突撃してしまったので焦ったではありませんか」
やっと喋りかけてくれたかと思えば、そんな風に言われた。
「ごめんなさい・・・」
アランがしょんぼりとしていると、焦ったように屋敷から騎士が走って来た。
「た、大変失礼致しました!公爵閣下がお会いになるそうですので直ぐにこちらに!」
「!!」
「良かったですね」
「はい!!」
騎士に促され、公爵家の屋敷に足を踏み入れた。
「公爵様に取り次いで下さい!!」
「こら!待て!!」
アランは連れて来てもらったグライア公爵家の前で必死に頼み込んでいた。
屋敷というよりもはや小さな城に見える屋敷は敷地の範囲が掴めないひど広く、広大な土地を囲む巨大な塀と門に行く手を阻まれていた。
「たく、どこから来たんだ。ここはお前が来るような所ではない!」
「時間がないのです!!公爵様に会わなければいけないんです!!」
涙目になりながらアランは必死に門番の騎士に頼み込むが聞いてもらえない。
騎士としても不審者を屋敷に入れるわけにはいかない。
ちらりと見えるローブの中に着ている衣服は貧民のそれだ。
公爵と面識があるとはとても思えない。
どうしてこんなところにこんな子供が。
そう首を傾げるしかなかった。
「いい加減にしろ!約束のない者は通せないんだ!!諦めて帰れ!」
アランは焦りで突破しようとするが、叶うはずもなく門番の槍に阻まれていた。
アランはババ様に公爵家の場所を教えて欲しいと言ったら、ババ様は護衛?の人をアランにつけて送り出してくれた。
護衛に案内されるがままに貴族街に入ろうとした所、無言で護衛に上着としてローブを渡された。
着ろということかなと思って素直に身に着けたら、そのまままた道を進み始めた。
着てから中に入ってみてわかった。
貴族街にいる人々はみな身綺麗な恰好の人ばかりだ。
おそらくスラムの人間だとわかると目立つし不信感を与えかねないのかもしれない。
どんどん進む護衛の人に必死で付いて行くと、一際大きな敷地を持つ巨大な門がある邸宅に着く。
敷地を覆う塀の端が見えないほど広い邸宅の門には屈強で強そうな騎士が外敵から守るように立っていた。
そこに、アランが怖いもの知らずにも突進したのだった。
普段子供らしくない頭脳で物事を冷静に見るアランらしくない行動だった。
アランは何とかグライア公爵本人へ繋いでもらおうと話しかけるが、当然それは叶えられない。
「お願いします!急がないといけないんです・・・!」
迷惑そうに騎士はアランを追い払おうとする。
「あの、ちょっと失礼します」
「うわ、なんだ!?」
と、突然騎士の目の前に現れた男に騎士たちは面食らう。
だが一瞬で警戒の目で男を見た。
「これをご覧ください。もしくはこれの価値が分からなければ分かる方にお取次ぎを」
「・・・・分かった。ここで待っていろ」
護衛の人が懐から取り出したのは紫色の紋章だった。
見せられた門番は不審そうに見ながらもその紋章を受け取った。
「これをこの邸宅の主人かもしくは側近の方にお見せいただければ分かると思います」
「もし、知らないと言われたら真っ直ぐ帰れ。妙な真似はするな」
「もちろんです」
騎士の一人がその紋章を持ち邸宅の方へ歩いて行った。
その様子をポカンと見ていたアランはチラリと護衛を見た。
「アラン様。こういう場合は大人を頼って下さい。先に突撃してしまったので焦ったではありませんか」
やっと喋りかけてくれたかと思えば、そんな風に言われた。
「ごめんなさい・・・」
アランがしょんぼりとしていると、焦ったように屋敷から騎士が走って来た。
「た、大変失礼致しました!公爵閣下がお会いになるそうですので直ぐにこちらに!」
「!!」
「良かったですね」
「はい!!」
騎士に促され、公爵家の屋敷に足を踏み入れた。
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