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35.激闘の果て

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俺は、苦渋の選択を迫られた。

ロボットを創造し、盾となってもらい貫通してくる剣を目で見切りよける。

もしくは、創造したロボットで攻撃しながら貫通してくる剣を見極めてよけるか。

どちらも難しい。

早く決めなければ、あの敗北を呼ぶ八本の剣がソリット目掛けて放たれてしまう。

(もうこれしかないな。失敗したら死ぬかもしれないが、あそこまで本気になられたら全力で答えるしかない)

ソリットは決死の覚悟で作戦に臨む。

「これで終わりじゃ、敗北をうけとれ!」

剣が来る前にソリットは魔法を発動する。

「来い!ロボットΣ!」

ソリットの前に現れたロボットはまるで守っているかのように立ちふさがる。

放たれた全剣がソリットを襲う。

「魔法で作ったものなど無意味じゃ!」

だが、その余裕にソリットはつけこむ。

「今だ!、ガイデスを攻撃しろ!」

主を守らずガイデスの方へとロボットが向かう。

「運試しだ!ガイデス国王!」

ソリットは前の世界で空手をやっていた。

当然のこと、空手仕込の避け方を熟知している。

「くっ!」

まず、2本の剣を避けていく。

かすったり、腹部に傷を負いながらも最小限の動きで何を凌ぐ。

一方で、ガイデスも苦戦している。

「何という威力!
大振りでありながらすきがない」 

機械剣で鋭い豪快に剣を振るう。 

ソリッドの方も、いよいよ大詰めの3本となった。

「はぁ、はぁ……」

意識が飛びそうになるほどの傷をおっている。

流れる血もものすごい量だ。

両者とも、ものすごい血と汗。

「いっ!、ぐ!」

ソリットはあと、2本の剣を防げば凌げる。

ガイデス国王は、ロボットを倒すかソリットが倒れるかで決まる。

ソリットは滴る汗を気にせず、意識が落ちそうになりながらも最終局面で集中する。

「ここっ!」

冷静に受け流す。

「さい、ご……」

限界に近く意識が一瞬遠のいたところで、最後の剣をくらう。

「ぐ!、は」

ガイデスも意識が朦朧とするほどのダメージを受けているためか、重い一撃を受ける。

「ご!、は」

両者同時に倒れる……と思ったがソリットは倒れない。

「おおーっと!ソリットさん耐え、?」

そこで審判の人が確認しに行く。

「なっ!これは……」

審判が目にしたものは、胸部に近いところに剣が刺さったまま、意識もなく立っているソリットだった。

勝利条件はどっちが立っているか。

よって結果は……

「勝者!ソリットさん!」

結果を報告すると、すぐさまタンカーを呼ぶ。

ソリットとガイデスは重傷だった。

ソリットはもうすぐで心臓に当たりそうなところに剣が刺さり、ガイデスは肩から腹部までを深くロボットに斬られている。


だが両者とも、満足げな顔をしながら治療されていったことを、観客達が拍手しながら見送ったのだった。

こうして、魔法使いの中で二番目に強い国王ガイデスを倒したソリットは、北の国の住民たちの夢を与えた英雄の魔法使いとして名を残すという。




そんな壮絶なバトルをしていたころ、西の王国では。

~西の王国、王城~

「フッハハハハハハ!嗅ぎ回るハエどもに目にもの見せてくれるわ!」

笑いながら話すのは、西の国王ドルタノス。

「俺のやっていることがばれるようなら、召喚したこいつに殺させる」

ドルタノスの隣にいる、髪が縦ロールで銀髪、服が傷ついている女の子に言っている。

「いや、嫌よ!。私をもとの世界に返して!!」

女の子は涙ながらに、強く望みを言い放つ。

「だめだ!言うことを聞かなければ、お前の大切なお友達とやらがどうなるか分かってんだろうな!」

ゲスイ顏でドルタノスが脅してくる。

「大丈夫だよ真美、私負けないから!こんな奴に負けないから!」

真美と呼ばれる女の子の友人は、拘束されながらも強い威嚇した目つきでドルタノスに向かって言い放った。

「由美ちゃん!」

だが、由美ちゃんと呼ばれている女の子を心配しながら名を呼びかける真美。

(誰か助けて!私の一番の親友なの、だから誰か…)

親友を失うかもしれない怖さや自分の命の危機である状況が、心の中で絶望の中助けを求める。

「お前のお友達は俺好みの体だ、後でかわいがってやるからおとなしくしていろ」

由美に対し卑猥な目線を向けながら話すドルタノス。

「あ、あ!、いや、嫌!」

由美は我慢できず、泣きながら言い続ける。

そのあと、髪を引っ張られながら牢獄へと連れていかれる。

「真美、生きてね」

その言葉を聞いてから、連れていかれ扉が閉まる。

「由美!、由美ちゃん!」

(誰かいないの、本当に助けは来ないの?)

手錠で縛られてから国王に暴行を受け、気絶という形で眠りについた。



「俺も強いが、あいつを使えば勝てるな。なぜならあいつらは、ほかの世界から召喚した勇者なのだから」


この情報は残念ながら、まだソリットたちも知る由もない。
































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