上 下
7 / 36

7. レイナとルイス

しおりを挟む
僕は授業が終わると、レイナと約束した待ち合わせの場所に行っていた。

「もう来てるかな?」

するとレイナちゃんともう一人、誰か女子と話しており、隠れて様子を見た。

「あんたね!、ソリット様と一緒におしゃべりなんて生意気よ!。
私だっておしゃべりしたいのに!」

そんなこと、勝手に話しかけるだけでいいじゃん。

人を巻き込むなよと、僕は思った。

すると動きがあった。

「私はただ、かんゆ、うして、ただけ。ぶか、つの」

声が小さく、喉の調子が悪いのに、自分の言葉で話している。

そんな光景が、ちょっと手助けしたくなる。

僕は、不思議な子だと思った。

「聞こえない!、聞こえないわよ!そんな小さな声で!、」

すると、魔法を使おうとしていたので。

「α(アルファ)!、ハンドバージョン!」

俺は拘束できるよう、魔法を使い、試験のとき使ったロボットの、手のあるバージョンを作り、その子を拘束した。

「それは、やりすぎだよ。
話しかけられない、そちらが悪いと思うな。しかも、八つ当たりとかも良くないよ」

と、核心をつく。

「なっ!、ソリット様は、その女をかばうおつもりですの?」

なんでか知らないが、やけに僕に固執しているようだ。

「どうして、そこまで僕にこだわるの?」

疑問を口にすると話してくれた。

「それは、
私はあなたに助けられたからです」

意味のわからないことを言ってきた。

初対面のはずなんだけどな。

「僕は、君とは初対面のはずなんだけど」

そう言うと、

「私は初の登校日の日、
あなたに、助けていただいたものです」

それを聞き、あのときかと思いだした。

「名前は?。あのときは、初登校で浮かれてて、姿も名前も聞かず行っちゃったから聞いてないんだ」

そう説明すると、

「そうでしたわね。 
私の名前は、ルイスと申します」

確かに僕は、ルイスを助けた。

モンスターに襲われている馬車を見て、撃退したのが僕だ。

あのときたぶん、彼女は馬車の中で見ていたのだろう。

さっきも言ったが、初登校で浮かれており、顔を見ていなかったので、僕が知らなかったのも無理ないと思う。

「あと、あの演説により、いじめをする問題児が、少なくなっております。その件でも、救われている人は多いです」

なるほど、ということはまだ、他にも話しかけたくても、話せない人がいるかもしれないな。

「今回は僕も落ち度があったみたいだ。謝罪する。だけどね、自分の意思をはっきり言えるその子は、決して侮辱されるいわれはない。それだけは覚えておいてね」

というと素直に、

「わかりました。つい嫉妬心で、八つ当たりしていたのは事実です。 
レイナさん、ごめんなさい!」

なるほど、嫉妬心が暴走しただけか。

なんかのしょうもない恨みなら、もうちょい懲らしめてやろうと思ったけど、

「だい、じょう、ぶ、です。しゃざ、い、を、うけ、いれます」

こちらも、了承したようだ。

「これで、やっと問題が解決したようだね。あとはレイナちゃんおいで」

すると、疑問を持ちながらも来てくれた。

「今から、君の喉を直す。だから約束してほしい。もう病気になるほど無理なバイトはしないと」

心配しながら言うと、了承してくれた。

「僕からも、一緒に先生に掛け合って、補助金を出してくれないか、頼むから、その時は、一緒に行こうか。それじゃ治すね」

そして僕は、創造魔法を使う。

喉の破損部分を、自分で作る。

こればかりは、前にいた世界の知識を使わなければならなかった。

「これで治ったはずだよ。喋れる?」
 
そう聞くと、

「はい、はい!。えっと、あの、
ありがとうございました」

もともと小さい声なのか。

それでも前より聞きやすく、言葉が途切れなくなった。

「うん、やっぱ、かわいいね」

自然に、そんな言葉が出てしまい。

「あわわ!、えっと、あうう!」

レイナちゃんの顔が赤くなる。

しかし、彼女の顔が赤くなってしまったのに僕は気づかなかった。

さてと、ルイスの話に戻る。

「ではルイス、こちらへ」

そう言うと、来てくれた。

「すまなかったね、話もせず行ってしまって、でもそれとこれとは、話が別だ。分かるね」

複雑な顔をしてうなずく。

「では改めて、僕はソリット。創造魔法、攻撃魔法、操作魔法の系統が使える。よろしくね」

改めて自己紹介をし、

「君の感情は、どっちかわからないけど、友達になってくれるかい」

そう提案する。

「もちろん君もだよ、レイナ」

そう二人に言うと。

「「はい!」」

と、いい返事が聞けた。

「それは良かった。
レイナは部活頑張ってね。
今度見学に行くよ」

そして、ルイスには、

「ルイス、君にもしも罪悪感が残っているのならばレイナの部活に入ってやってくれ。それで二人のわだかまりも、なくなるはずだ。それと話したいなら、ちゃんと教室に自分から来て、誘ってくれ。
じゃ、また学校で」

そう言って、その場を去った。

そして、彼女たちは知らない。

ソリットの心の内を、

(ヤバ、女の子と、しかも二人と喋っちゃったよ。緊張した緊張した。レイナは
声が出ないのが、かわいそうだったからだけど、もう一人は、はっきり言ってどうでもよかったのにな。早く帰って、ロボット作ろ)

とてもマイペースなソリットだった。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

龍帝皇女の護衛役

右島 芒
ファンタジー
最年少で『特技武官』になった少年「兵頭勇吾」は学園に通いながらある任務に就いていた。 それは一人の少女を護る事。しかしただの護衛任務ではなかった。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

転生悪役令嬢は、どうやら世界を救うために立ち上がるようです

戸影絵麻
ファンタジー
高校1年生の私、相良葵は、ある日、異世界に転生した。待っていたのは、婚約破棄という厳しい現実。ところが、王宮を追放されかけた私に、世界を救えという極秘任務が与えられ…。

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~

てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。 そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。 転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。 そんな冴えない主人公のお話。 -お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-

処理中です...