月坂寮の日々

Midnight Liar

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いたって平凡な一日

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 三階に着くと、廊下の突き当たりのドアを開ける。これまた真っ暗なフロア。
 このフロアの中に五つの部屋がある。部屋と言っても仕切りがあるだけで上の方は空いており、トイレの個室のような仕様だ。
 そのうちの一番奥の外側にあたる部屋が俺の自室だ。三月の終わりにあった部屋替えのときにじゃんけんで勝ちとった一番人気のあった部屋である。
 さて、ドアを……。
「ああ……鍵を取るの忘れた」
 ため息とともに、学生鞄とエナメルバッグを上から投げ入れ、また事務室へと引き返す。
「鍵、忘れてました」
 戻ってきた俺に怪訝そうな顔をした川田寮監にそれだけ言うと、ガラス窓の近くにある鍵ボックスから自分の部屋の鍵を取る。
 寮を出る際には、必ず自室の鍵を預けるようになっている。帰寮すると、鍵ボックスから自室の鍵を取るようになっている。
 なぜ、鍵ボックスに鍵を預けるのかは、貴重品を取られないようにするためと、日中、寮に戻るのを防ぐためらしい。
 分かりやすくサッカーボールのキーホルダーを付けた鍵を手に、また三階まで階段を駆け上がる。
 鍵を開け、スリッパを脱いで自室に入ると、部屋に備え付けの小机の電灯をつける。
 ちなみに自室の電気はこれだけである。天井についている部屋全体の電気は、現在一コマ目の自習真っ只中なため消されている。他の部屋の住人がいないのも自習に出ているか、俺のように部活で遅いからだ。
 ぼちぼち部活連中は帰ってくる頃だと思うんだけど。そんなことを考えながら、窓の外を見る。
「吉田はともかく、中林と水口遅くないか」 
 学校で部活があるにしては中林も水口も帰ってきた様子がない。敷地内だから移動時間はかからないのに。
 どうせ、学校のすぐ近くのコンビニに週刊誌の漫画でも買いに行っているのだろう。寮監にバレれば無断外出で外出禁止ものなのによくやるよ。
 とりあえず、誰も帰ってくる様子がないし、一人で飯食いに行くしかないようだ。
「魚フライじゃ物足りないよな」
 ちょっとした備え付けの棚の食糧置き場(俺が勝手にそうよんで使っているだけ、他の人は別のものを置いている)から買い溜めたカップラーメンを一つ取って一人食堂に向かうのだった。
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