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「今って夜の10時ですか? お風呂に入ってきます」
私は時計を指さした。
「ああ。食べたばかりで大丈夫か?」
「平気です」
裸イコール無防備だ。従業員用のお風呂はそれほど広くなくて、でも客室や外からは見えない死角ではある。
一日に二度も誘拐される間抜けがどこにいましょうか。
はい、ここにいます。
酸素濃度の違いで目が覚める私は肺とか鼻が敏感なのかもしれない。
「どこだろ?」
いい匂いだけれど息苦しい。
私の目に飛び込んできたのは花だった。一面である。その中で私は埋もれていた。
オレンジのポピーのような花が窓外で揺れている。
白い壁、ここはどこだろう。呼吸をするほどに苦しくなる。気候は地獄と違って涼やか。そして、眩しい。懐かしい明るさだ。
「目が覚めた? 地獄から一気に天国では息苦しいでしょう? ゆっくり眠って」
魔女なのだろうか。その美人さんの掌が私の顔に近づいたところで私はまた眠くなった。
私は時計を指さした。
「ああ。食べたばかりで大丈夫か?」
「平気です」
裸イコール無防備だ。従業員用のお風呂はそれほど広くなくて、でも客室や外からは見えない死角ではある。
一日に二度も誘拐される間抜けがどこにいましょうか。
はい、ここにいます。
酸素濃度の違いで目が覚める私は肺とか鼻が敏感なのかもしれない。
「どこだろ?」
いい匂いだけれど息苦しい。
私の目に飛び込んできたのは花だった。一面である。その中で私は埋もれていた。
オレンジのポピーのような花が窓外で揺れている。
白い壁、ここはどこだろう。呼吸をするほどに苦しくなる。気候は地獄と違って涼やか。そして、眩しい。懐かしい明るさだ。
「目が覚めた? 地獄から一気に天国では息苦しいでしょう? ゆっくり眠って」
魔女なのだろうか。その美人さんの掌が私の顔に近づいたところで私はまた眠くなった。
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