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デート その2
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私が離れても、戻っても、花は枯れたままだった。外的な要因があったとしても、枯れた部分は修復しないのだろうか。
花を一心さんの部屋に戻したとき、
「デート楽しかった。おやすみ」
と声をかけられた。
デートだったのだろうか。監禁ではなく? そしていつものようにキスをした。それを麻美さんに見られてしまった。
「さっき、キスしてたでしょ?」
「え?」
「婚約者なのに、なに赤くなってるの?」
キスじゃない。でも唾液をもらっていると伝えたらもっと気持ち悪いだろう。
私の力は地獄にいて強くなったのだろうか。弱くなって消えてくれてもいい。
「ふう」
やっぱり大きなお風呂が気持ちいい。戻って来れてよかったとつくづく思う。
不思議だな。麻美さんを好きという気持ちと一心さんに対する思いは同類のようで、別物。ちょっと痛い。
私の能力は落ち着きつつあるのだろうか。嫌な人が周りにいなければ発揮されない能力ではある。ここにいたら守ってもらえる。あっちにいたって家に閉じこもっていればいい。そうもいかないか。親にすら言えない。何も知らない彼らにはひきこもった私はただの怠惰な娘。私の事情を押し付けるのもまた違う。いがみ合ったらまた力が暴走しそう。
わからないことだらけだ。
花を一心さんの部屋に戻したとき、
「デート楽しかった。おやすみ」
と声をかけられた。
デートだったのだろうか。監禁ではなく? そしていつものようにキスをした。それを麻美さんに見られてしまった。
「さっき、キスしてたでしょ?」
「え?」
「婚約者なのに、なに赤くなってるの?」
キスじゃない。でも唾液をもらっていると伝えたらもっと気持ち悪いだろう。
私の力は地獄にいて強くなったのだろうか。弱くなって消えてくれてもいい。
「ふう」
やっぱり大きなお風呂が気持ちいい。戻って来れてよかったとつくづく思う。
不思議だな。麻美さんを好きという気持ちと一心さんに対する思いは同類のようで、別物。ちょっと痛い。
私の能力は落ち着きつつあるのだろうか。嫌な人が周りにいなければ発揮されない能力ではある。ここにいたら守ってもらえる。あっちにいたって家に閉じこもっていればいい。そうもいかないか。親にすら言えない。何も知らない彼らにはひきこもった私はただの怠惰な娘。私の事情を押し付けるのもまた違う。いがみ合ったらまた力が暴走しそう。
わからないことだらけだ。
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